アニメや吹き替えはもちろん、テレビ番組への出演やアーティスト活動など、活躍の場を広げている「声優」。小・中学生のなりたい職業TOP3にランクイン(※2021年 キッズ@nifty調べ)するなど、その人気はどんどん加速している。
一見、煌びやかに見える世界だが、果たしてその裏側はどうなっているのか?
「テレ東プラス 人生劇場」では、現役声優として活躍するSさん(仮名)を取材。ギャラ事情から裏話まで、声優業界の実態に迫った!
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準備に3〜4日...それでももらえるのは1本分のギャラ。時給換算したら恐ろしいです(笑)
――まずは、Sさんが声優を目指したきっかけを教えてください。
「小学校の時からアニメが大好きで、『アニメの登場人物になりたい!』と思ったのがきっかけでした。小学校高学年の頃にはすでに決めていて、『声優になる!』と卒業文集にも書いていました」
――現在はジャンルを問わず、幅広い作品にご出演されていますが、どのような段階を踏んで声優になったのでしょう。
「声優になるにはどうしたらいいかよく分からなかったので、まずは学校の演劇部に入って芝居を学びました。そして高校を卒業してから、声優コースがある専門学校に入りました」
――声優志望者は毎年3万人以上、プロを目指している人は30万人以上と言われています。
「そうですね、私の時も声優コースだけで10クラスほどありました。今も昔も人気の職業ですが、専門学校を出ても事務所に入れなければどうにもなりません。しかも事務所のオーディションに受かったとしても、いきなり所属にはなりません。たいていは事務所の養成所に入って2年間勉強し、最終的に所属オーディションで残れるかどうかという問題にぶち当たります。
このオーディションがかなり厳しくて、該当者なしで合格者0人ということも。事務所がその時に欲しい人材であるかどうかが大事なので、例えばすでに所属している先輩とキャラ被りしている場合、どんなに声が良くて実力があっても所属できないというケースもあります」
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――専門学校から養成所へ...そこで生き残ることができれば、晴れて事務所に所属となるわけですね。養成所からは、どのくらいの確率で事務所に所属できるのでしょうか。
「先ほども言った通り、合格者0という年もありますし、事務所にもよると思いますが、私の頃は養成所の1年生が100人くらいいて、2年目で30人に減らされました。そこから残れるのが1〜2人です。所属オーディションで落ちてしまった場合、諦めるか別の養成所に行くか...。なかなか所属できず、養成所を転々とする人もたくさんいます。私も一度落ちてしまったので、別の養成所に入り直し、さらに2年間勉強しました。最終的には、いろんな事務所の方が来るドラフト会議形式のオーディションで、所属する事務所が決まりました」
――ドラフト会議形式の所属オーディションとは、どのようなものなのでしょう。
「各事務所のマネージャーさんたちが来て、いいなと思った人の名前を書きます。婚活パーティーみたいですよね」
――たしかに!(笑) 事務所に所属するまで長く険しい道のりですが、途中で辞めようと思ったことは?
「それはなかったですね。トントン拍子に進む方が稀で、養成所に何度も入るのが当たり前な世界。だから私も、『ここがダメだったら次』という風に考えていました」