「ガイアの夜明け」20周年企画 世界に感謝される日本人 その後

公開: 更新: テレ東プラス

5月27日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「世界に感謝される日本人 その後」。
番組が追い続けてきた"世界に感謝される日本人たち"。世界70ヵ国を相手にするリサイクル会社社長と、途上国の人に安全な水を届け続けた信念の経営者...その後の物語をおくる。

メード・イン・ジャパンの良質な中古品を海外へ!世界とビジネスする男は今...

神奈川・川崎市の団地。家の中の片づけが進められ、長年埃をかぶっていたモノが、続々と出てくる。日本リユース・リサイクル回収業事業者組合の加藤敬太さんは、「片付けの依頼がどんどん増えている」と話す。

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古いカメラやミシン、石原裕次郎のレコードやこけし、土佐犬の置物まで...。実はこれらは廃棄されるのではなく、あるところに持って行くという。
こうした業者が頼りにするのが、国内19カ所に拠点を持つ「浜屋」(埼玉・東松山市)。この業界では知られた存在だ。
買取り値段は状態やグレードによって上下するものの、ラジカセの場合、約50~450円。エアコンは約3000~6000円、ミシンは約400~3000円。犬の置物やこけしなどは、まとめて1キロ約100円。

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「浜屋」は日本の中古品をいち早く海外に送った企業。常時40カ国以上、累計で70カ国に輸出している。この「浜屋」を一代で築き上げたのが、社長の小林茂さん(68歳)だ。高校卒業後は、プロボクサーやトラック運転手など、職を転々としてきたが、鉄のスクラップを扱っていた30年前、コンテナの隙間に中古家電を詰めて送ったことがきっかけで、この商売を始めた。
小林さんは、「私がこの仕事をできたのは、"メード・イン・ジャパン"がすごかったから。日本人が思っている以上に、"メード・イン・ジャパン"の人気はどこに行ってもすごかった。もう一つが"日本人の信用"。日本人の信用のおかげで、私は商売ができた」と話す。

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番組は18年前、当時50歳の小林さんを取材。その頃の主力商品はオーディオ機器で、世界中のバイヤーが買い付けに来ていた。
その「浜屋」を出たコンテナを追っていくと、たどり着いたのは、パキスタンに隣接するアフガニスタンの町。砂漠の真ん中に中古家電を扱うマーケットができていた。まさに"アフガニスタンの秋葉原"だ。

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ここで売られている商品の多くが、「浜屋」が日本から送った使い古しの家電だった。メード・イン・ジャパンは、修理しやすく壊れにくいと評判は上々だった。小林さんはさらなる販路拡大を目指し、約500軒を超えるアフガニスタンの販売業者に飛び込み営業をかけた。

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商品の売買が始まると、日本で「浜屋」から商品を買い付けたバイヤーのムハマド・ヤクブさんと買い手が、布切れの中で指を握り合って値段を決める。競りが始まってわずか30分で、コンテナ1台分が全て売り切れた。

アフガニスタンでは、テレビ番組が少ないので、ラジカセが特に人気だった。そのマーケットで赤い日本製のラジカセを買ったアフガニスタン人の男性がいた。取材陣が家までついて行くと、そこにはお父さんの帰りを首を長くして待っていた子供たち。一家に初めてやってきた真っ赤なラジカセ。早速、カセットテープをかけてみると、楽しそうな音楽が流れ始めた。音楽に合わせて踊り始めた子供たち。日本で捨てられた一台のラジカセが、海を越え、子供たちに笑顔をもたらしていた。

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そして今年の5月、「浜屋」の倉庫を訪ねると、そこにいたのはアフガニスタンで取材したバイヤーのヤクブさん。今も「浜屋」とビジネスを続けているのだ。驚くべきことに、18年前、約500軒ほどだった"アフガニスタンの秋葉原"の販売業者が、約6000軒にもなっていた。今の人気商品は、ガスコンロやガスストーブやミシンだった。日本の中古品は、中国や韓国の新品よりも、頑丈で埃にも強いため壊れにくいという。

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「浜屋のものは、すごくきれいでクオリティがいい。ビジネスをスタートしてから20年、私は浜屋とだけ取引をし、今は大きいビジネスになった」とヤクブさん。「浜屋」の倉庫にはいろんな国からバイヤーが訪れ、子ども連れのパキスタン人のバイヤーは「最初はお父さん、2代目は私、3代目は息子。とても浜屋を信用している」と話す。小林さんは世界から信頼され、感謝されている日本人なのだ。

そんな「浜屋」のモットーは「もったいないを広めよう」。SDGsという時代の波に乗り、会社の売り上げは18年前の約5倍に。社員の数も5倍になり、平均年齢もぐっと若返った。
そして小林さんは、世界を相手に"新たなビジネス"を始めていた。
海外で廃棄家電から基盤などを集め、日本に帰るコンテナに詰め込んで輸入しているのだ。小林さんは、「日本の製錬技術は世界トップクラスだから世界のものを集められる」と、今後はレアメタルを取り出すビジネスに力を入れると言う。そのための専用工場も作った。多くの国とつながる浜屋だからできる新規事業だ。世界で感謝される日本人は今、未来に向け「宝の山」を採掘中だ。

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世界中の人に安全な飲み水を!81歳の創業者に待っていた感動の再会

番組は、複数回にわたって「日本ポリグル」会長・小田兼利さんを取材。2008年6月放送「世界を救うニッポンの技術」では、バングラデシュ・ポリルカル村を訪れた小田さんに密着した。

この村で生活用水として使われていたのは、汚れた池の水。しかしこの池の水に、小田さんが持参した浄化剤をほんの少し入れてかき混ぜると変化が...。

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この浄化剤の主な原料は納豆の粘り成分で、汚れた水の中に入れてかき回すと、ものの2~3分で不純物と結びつき、沈殿。キレイな水ができるのだ。これをろ過すれば、安全な飲み水として利用できる。小田さんはこの浄化剤を、貧しい人達にも買える値段で売っていた。

「もしも私がボランティアだけでやろうとしていたら息切れすると思う。事業をやっているからこそ、こういうこともできる」。

小田さんは村にろ過装置も作り、池の水をきれいにして飲み水として使えるようにした。蛇口から無色透明の水が出始めると、笑顔になる子どもたち...。
その後も番組は、世界へ活動の場を広げる小田さんを追った。

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今年で81歳になった小田さんは、今どうしているのか...。ポリグルの活動はその後どうなったのか? さらに番組では、小田さんの人生を変えた"ある少女"との感動の再会劇も。

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