神奈川御三家の一角を担う「浅野高校」。学校初「国際化学オリンピック」日本代表も誕生!生徒たちが”校訓”を大切にする理由とは?

公開: 更新: テレ東プラス

名門校の知られざる姿を、生徒や親、教師など、さまざまな視点を通して紐解く情報ドキュメンタリー「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回紹介する名門校は、神奈川御三家の一角「浅野中学校・浅野高等学校」。東大をはじめとする難関大学合格者を多く輩出する、県内屈指の進学校だ。学業だけではなく、部活動や課外授業にも力を入れており、数々の大会で優秀な成績を収めている。
そんな名門校に、"ある悩み"を抱える2人の生徒が...。番組は、自らの可能性を追い求める彼らの青春の1ページに密着した。

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神奈川県横浜市。横浜の街や港を一望できる丘の上に「浅野中学校・浅野高等学校(以下、浅野高校)」がある。1学年、約270人の完全中高一貫の男子校で、2022年春には東京大学に36人、早慶上智に254人が合格するなど、県内屈指の進学実績を誇る。
1920年、セメントや海運、鉄道事業など数多くの事業に携わり、"京浜工業地帯の父"と呼ばれた実業家・浅野總一郎により、「浅野綜合中学校」として創立。1951年、現在の校名に。

「横浜で学び、横浜から世界へ羽ばたいてほしい」という創立者の願いが込められた学び舎へ。
正門から続くレンガ敷きの緩やかなスロープを登ると、コの字に並ぶ中学棟、本館、高校棟が見えてくる。恵まれた立地に加え、設備も充実。本館にある講堂は、式典や集会、講演などで利用され、500人以上を収容できる。

2階建ての独立した図書館「清話書林(せいわしょりん)」には、司書が常駐。約5万9000冊の蔵書を誇り、幅広いジャンルの専門書が充実している。

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購買部では、文房具の他、パンも販売。現在はコロナ禍のため使用が制限されているが、広いランチスペースが併設されており、昼休みはお弁当を食べる生徒で賑わうそうだ。
パソコンルームに足を踏み入れると、ずらりと並ぶモニターが。校内Wi-Fiを整備し、昨年から、中学生に個人端末を導入した。

浅野高校は、「浅野で良かった」という生徒の声を聞くため、さまざまな学校改革に取り組んでいる。

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学校改革は、学習環境だけにとどまらない。広さ約10000㎡のグラウンドでは、野球やラグビー、サッカーの公式試合も行われるが、2016年、全面人工芝に改修した。
「打越アリーナ」は、県内有数の広さと最新設備を誇る総合体育館。トレーニングルームや屋内プールも完備しており、放課後は、生徒たちが汗を流すという。
運動部と文化部合わせて34の部活があり、進学校では珍しいアーチェリーやアメフト、ボクシング部も。

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日本史の授業をのぞいてみると...なぜか机の上の教科書は閉じられたまま。浅野高校では、教師たちが長年のノウハウと実績に基づいたオリジナルテキストを作成、それをもとに授業を行っている。

「グローバル実践教育」の一環として、成田国際空港で搭乗待ちの外国人に突撃インタビューする課外授業も。英語圏以外の人にも話を聞き、語学力とコミュニケーション能力を高めるなど、ユニークな授業を行っている。

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校内を見学すると、行く先々で見かける四字熟語が。浅野オリジナルの文房具、体育館の入り口や宅配ロッカー、通学用のバッグや部活動の練習着の背中にも...。
「九転十起」――。浅野高校の校訓で、創立以来受け継がれる浅野總一郎の座右の銘でもある。失敗しても立ち上がり、チャレンジを続けようというメッセージが込められているが、生徒たちは校訓を大切にしている。

「第一志望は別の学校だった」

神奈川御三家と呼ばれる名門校にもかかわらず、中学受験で人生初の挫折を味わい、入学した生徒も少なくない。しかし、ユニークな授業やさまざまな部活動を体験するうち、生徒たちの心境にも変化が...。

「胸を張って浅野と言える」「浅野には、すべてのことに全力で取り組める環境がある」

古梶裕之校長も、「さまざまな事情で入学してくるが、『楽しい6年間でした!』と言って卒業していく生徒が多い」と話す。

50以上の大会で優秀な成績を収めた努力家の悩み

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幅広い分野を学ぶことができる浅野高校。坂本優樹くん(高校3年生)は、知的書評合戦と称される「全国高等学校ビブリオバトル」や、「エコノミクス甲子園(全国高校生金融経済クイズ選手権)」、スピーチコンテストや模擬国連など、中学2年生から4年間で50以上の大会にエントリーし、優秀な成績を収めてきた。坂本くんは自習するため、毎朝一番に登校するという。

実は、浅野高校が第一志望ではなかったという優樹くん。しかし、入学したからには絶対に後悔しないと心に決め、何ごとにも全力で取り組んできた。

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優樹くんは中学2年生の時に仲間を募り、学校に直談判して「クイズ研究同好会」を立ち上げた。その後はクイズで培った知識をもとに、さまざまな大会にエントリー。夢は「東京大学」への進学だ。
ジャンルを問わず幅広く学んできた経験を生かし、世界中のスペシャリストをつなぐ、コーディネーターのような仕事に就きたいと考えている。

そんな優樹くんだが、実は最近"迷い"が生じていた。

「広く学んだだけで、何も残らなかったらどうしようとか...。最初から一つのことに絞って深く学んでいたら、もっと行けたのでは...と後悔する可能性は十分ある」

果たして、自分が走ってきた道は正しかったのか...。優樹くんは自宅の部屋で、そんな不安を明かしてくれた。

物理・数学・化学...「国際化学オリンピック」代表が選んだのは?

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優樹くんが、そう思うきっかけとなった生徒がいる。同じく東大進学を目指す直井勝己くん(高校3年生)だ。理数系の仕事をする両親の影響で、幼い頃から数字が大好き。高校生の化学の祭典「化学グランプリ2021」で金賞を受賞した。

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「(化学は)自然界の謎を解明できるところが面白い」と楽しそうに語る勝己くん。実は先日、世界の高校生が競い合う化学の国際大会「国際化学オリンピック」の日本代表の1人に選ばれた。
日本代表に選ばれたのは、3257人の中からわずか4人だ。

だが、このうれしい知らせを受けたことで、勝己くんには"ある悩み"が生じていた。

「化学オリンピックで優秀な成績を収めると、化学分野で東大の推薦入学が取れる可能性がある」

勝己くんは、化学と同じくらい物理にも興味があり、もしも推薦で入学した場合、「物理や数学を追求する可能性をつぶしてしまい、化学一辺倒になってしまう」と話す。
大会に集中して東大推薦を勝ち取るべきか、他の可能性を考えるべきか...。勝己くんは、将来の道を決めかねていた。

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4月下旬。2人の生徒は、奇しくも同じ頃、決断の時を迎える。
勝己くんは「国際化学オリンピック」の日本代表が集まる合宿訓練に参加していた。勝己くんは、濃密な合宿訓練を通して何を学び、何を感じたのか...。

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一方、幅広く勉強することへの不安を抱えていた優樹くんは、日本最大のイスラム教の礼拝堂「東京ジャーミイ」にいた。浅野高校では、グローバル実践教育の一環として、希望者が留学生会館や宗教施設などへ赴き、国際情勢や国際感覚を学ぶ課外授業を行っている。神妙な面持ちで礼拝に参加する優樹くん。

翌日。異文化に触れ、仲間と熱い議論を交わす中で、優樹くんは「覚悟が決まった」と笑顔を見せた。果たして、2人が出した答えとは......ぜひ番組で確認を!

さまざまなことを幅広く学べる浅野高校。何度転んでも立ち上がり、活路を見出す。生徒たちは「九転十起」の校訓を胸に、横浜から世界へと羽ばたいていく。

番組ではこの他、全国規模の書道大会で何度も表彰された生徒が、校訓「九転十起」を書きおろし。「化学グランプリ」に挑む勝己くんとサポートする先生たちの様子、優樹くんが参加した「東京ジャーミイ」の礼拝の様子などを紹介する。

次回の「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「本郷高校...躍進の秘密は本数検?上級生が下級生に授業?」と題して送る。

今回の名門校は、今年で創立100周年を迎える「本郷中学校・高等学校」。
ここ10年間で東京大学を始め、難関大学への進学実績が急上昇。教育界からも注目を集める進学校だ。

学校があるのは、東京・豊島区。都会の住宅地だけに、敷地は有効的に活用されている。ラグビーやサッカーの公式試合もできる広大なグラウンドがある一方で、校舎の屋上にはバレーやテニスのコートが。こうした環境でラグビーを始め、多くの運動部が活動している。

そんな部活動が盛んな本郷で、長年受け継がれているのが「先輩は後輩の面倒を良く見る」という精神。この伝統を勉強にも活かしているのが、中学2年生が教師役になって1学年下の中学1年生に教える「合同授業」の時間だ。
使う教材は自分が1年前に受けた実際のテストなど。自分の経験をもとに問題のポイントを説明すると、下級生のためになるだけでなく、自分の基礎力強化にもつながるというユニークな取り組みだ。

さらに、ここ10年間で飛躍的に進学実績が上昇した理由の一つが、年に3回行われる「本郷数学基礎学力検定試験」通称「本数検(ほんすうけん)」という独自のテスト。数学の教師たちが問題を作り、生徒は得点に応じて「級」や「段」を獲得。優秀者は朝礼で表彰される。
こうした取り組みを行う工夫を重ねて、押しつけの勉強ではなく、生徒自らのモチベーションをじわじわと上げているのだ。

そんな中、カメラは、東大や京大などを目指す「特進クラス」に所属する一人の高校2年生に注目。将来の目標が高いだけに勉強一辺倒かと思いきや、現在は生徒会の活動に夢中だという。
勉強の時間を削りながら、「全校生徒のために...」と率先して学校行事の準備に汗をかく毎日。
その熱意の裏には、仲間や後輩を思いやる本郷の伝統と、ある先輩から託された思いがあった。果たしてその思いとは?

どうぞお楽しみに!

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