「久我健二郎というカメラマンについて調べて欲しいんだ」
刑事の浅野は、同僚の安田悟(忍成修吾)に久我について調べるよう頼んでいた。
「お、どんなヤマだ?」
「まだ言えない」
「また署長賞、獲る気かよ」
出世街道まっしぐらの浅野の頼みとあり、安田は久我について調べることにした。
久我は不動産会社経営者の息子で、10年前に父が死んだことで、多額の遺産を受け取っていた。その遺産を元手に、3年前イタリアに渡り、カメラマンとして活動。イタリアで大きな賞も獲ったが、日本では人間関係のトラブルが多く、業界から干されていた。
「それから5年前、元恋人の女性が久我によるストーカー被害を相談していることも分かった」
「…その女性の名前は?」
「桑村みどり」
「!」
「事件化まではされていないが、久我は警察から何度か厳重注意を受けていたみたいだな」
その頃、久我は自宅スタジオで女性モデルのヌード写真を撮っていた。
「久我さんに撮ってもらえるなんて嬉しいです」という女性に、久我はしらけた様子で「美しくない」と呟く。
「さっさと出ていけ!」
「…なにそれ、酷い」
女性は怒りながら帰ってしまう。
「やっぱり俺にはみどりしかいない…」
夜。一日みどりの家にいた敦子は、「当分の間、外出しない方がいいですよね?」と尋ねる。明日図書館で働く男性と食事の約束をしているが、「断ります」と敦子。
「外出していいと思いますよ」
「え?」
「日常の喜びまで奪われちゃダメですから。ただ念の為に…」
みどりが敦子に催涙スプレーを渡す。
「もし押本に襲われたら、それを使って逃げてください」
「すみません。調査は終了したのに…どうしてここまでしてくれるんですか?」
みどりは久我とのことを話すか迷うが、「友人が似たような経験をしていて、押本みたいな人間が許せないんです」と話した。
◆
翌日。みどりが探偵事務所に出勤すると、押本が物陰から恨めしそうにみどりを監視していた。一方、敦子がみどりの家で出かける支度をしていると、玄関のチャイムが鳴り、久我が訪ねてくる。
「君、誰? 私はみどりの恋人の久我です。今日約束があって」
「彼氏さんですか! 私、みどりさんのお家に少しお邪魔してて」
「そうか、彼女言ってました。家に今、友人がいるって。中で待ってもいいですか?」
一瞬迷うも、久我を家に上げてしまう敦子。
「みどりさんには本当にお世話になっていて、感謝してもしきれません。優しくて強い…私もあんな女性になりたいです」
「分かります。私も彼女以上の女性に出会った事がありません」
「ラブラブなんですね」
「ええ」
にっこりと笑う久我。するとそこに、みどりが帰ってくる。久我の姿を確認すると、言葉を失うみどり。
「なに…してるの?」
「君の友人にご挨拶を。そうだ、ツーショット写真撮らせてよ。写真集にはそういうページも欲しいから」
「帰って。あ、敦子さんは気にしないで。そろそろ時間でしょ?」
「でも…」
「どうぞ行ってください」
戸惑いながら部屋を出て行く敦子。2人になり、みどりが久我に何しに来たのか聞くと、「君に謝りに来たんだ」という。みどりに向かって土下座する久我。
「僕は酷いことをしてしまった」
「…どういうこと?」
「浮気をしたんだ。君以外の女性の裸を撮影してしまった。でも、やはり君じゃないとダメだ。僕を許してくれないか?」
「出てって!」
「信じてないな。これを見てくれ」
久我がみどりの前で脱ぎ始める。その肩には、みどりの顔が彫られていた…。愕然とするみどり。
「君と僕は一心同体だ」
「もうやめて…」
「もう君以外、僕の人生には必要ない。だから君も俺以外の男と会うんじゃない。もちろんあの浅野という男も…。約束してくれるよな?」
そう言いながら、みどりの髪をつかむ久我。
「君だけが僕の希望なんだよ。君が僕を生かしてくれたんだ。今の僕なら、君の美しいヌードを撮ることができる。その写真を見れば、君も納得するはずさ」
怯えるみどりに無理矢理キスをする久我。みどりは久我を突き飛ばし、なんとかその腕から逃げる。
「なら、なぜ僕と付き合ったんだ」
「あの頃は、あなたの本性が分かってなかった。私はあなたのことが…この世の誰よりも嫌いだから!」
久我はみどりに覆いかぶさり、両手で首を絞める。
「僕は君を愛してるのに…何で分かってくれないんだ! 君がいない人生なんて、生きてる意味がない。来世でもまた一緒になろう。君を殺した後に僕も死ぬから…!」
久我は狂気に満ちた顔でさらに強くみどりの首を絞める。果たして、みどりの運命は…!
【第4話 あらすじ】
探偵の桑村みどり(倉科カナ)は、元交際相手でストーカーだったカメラマンの久我(竹財輝之助)に復縁を持ち掛け、二人で初めてデートをした埠頭へ向かう。復縁に喜ぶ久我は、みどりのヌードを撮影しようとカメラを構えるが、みどりのある行動により状況は一変。激高した久我がみどりに襲い掛かり、みどりは反撃に出る。
一方、みどりの婚約者で刑事の浅野は、久我とみどりの過去を調べていた。そこへ、押本が働いていたラーメン店・店主から押本に店の金を持ち逃げされたと連絡が入る。
そんな中、久我が行方不明になったというニュースが流れ、岡庭(高橋英樹)や敦子(久保田紗友)も知ることに…。その夜、みどりの前に、突然押本が姿を現すのだった。