ふりかけを愛するコスタリカ男性が、日本一のふりかけと伝統のちりめん山椒に感動:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

続いて紹介するのは、中米・コスタリカに住む、「ふりかけ」を愛してやまないガブリエルさん。

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お米大国ニッポンが生んだ、ふりかけ。年間7億食も食べられている「のりたま」など、ふりかけ市場は今も拡大中。近年は世界で注目され、万能調味料として使うレストランもあるそう。

ふりかけの起源は鎌倉時代。塩干しした鮭などを細かく切ってご飯にのせたのが始まりとされています。現在に近い形が生まれたのは、大正時代初期。熊本の薬剤師・吉丸末吉が、食糧難によるカルシウム不足を憂いて、いりこなどの小魚を混ぜたふりかけの元祖「御飯の友」を考案。発売以来100年以上愛され続けています。

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ニッポンにはまだ一度も行ったことがないガブリエルさん。6歳の時、親戚からもらった「のりたま」の味に衝撃を受け、ふりかけの虜に。コスタリカではなかなか手に入らないので、自分で作ろうと10年前から試行錯誤しています。醤油で炒めた牛挽肉やほうれん草を使い、電子レンジで乾燥させれば、オリジナルの「のりたま」が完成!

コスタリカでは食べられない、生タイプのふりかけにも興味があるというガブリエルさん。最も興味を持っているのが「ちりめん山椒」です。「生タイプのふりかけがどうやって旨みを引き出しているのか、ぜひ見たいです」と熱く語るガブリエルさんを、ニッポンにご招待! 4年前に初来日しました。

向かったのは、兵庫県神戸市。「全国ふりかけグランプリ」で史上初の2連覇を果たした「いか昆布」を作っている「澤田食品」を訪ねます。いか昆布は、イカをかつお節のように薄く削り、北海道産昆布やオキアミなどと合わせた生タイプのふりかけ。ガブリエルさんの熱意を伝えたところ、三代目社長・澤田大地さんをはじめ、従業員の皆さんが快く出迎えてくださいました。

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早速、日本一のふりかけ「いか昆布」の出来立てをいただくことに。生タイプのふりかけも、ニッポンのお米も初めてのガブリエルさんは、「永遠に食べられます」と大興奮!

2杯目はあられをちらし、お茶漬けに。いか昆布から旨味が出るため、出汁はいりません。3杯目は、いか昆布の卵かけご飯。いか昆布の塩の風味を卵でまろやかにする裏レシピです。「人生で一番かも!」と感動。3杯とも完食しました。

戦前、ふりかけはお米よりも高価で、庶民は買えない高級品だったそう。「今手軽にふりかけが食べられるのは、皆さんの努力のおかげだと思います」というガブリエルさんの言葉に、「パーフェクト! 言いたかったことを先に言われてしまった」と澤田さん。

最後に澤田さんから、いか昆布はもちろん、三陸沖のさばを使ったさば昆布も入ったふりかけ全部入りセットをいただきました。

あれから4年。「澤田食品」では、ガブリエルさんとの出会いがきっかけで、海外の方にも人気のホタテを使った「ゴロっと北海ホタテの焦がし醤油ふりかけ」を考案。「第1回ごはんのおともの会」で最優秀賞を受賞したそう。澤田さんは「ガブリエルさんのようなふりかけ愛に満ちた方に出会えて、本当にありがたく思います」とメッセージを送りました。

続いて向かったのは、しらす干しの消費量が国内トップクラスの和歌山県にある、湯浅町。創業約120年「しらす屋 前福」四代目・前田芳宏さん一家にお世話になります。前田さん一家が作るしらすは、高級料亭や百貨店の他、旅客機のビジネスクラスで機内食に採用される逸品。

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念願だった、ちりめん山椒をいただきます。「おいしいです! 噛めば噛むほど魚の旨味が出てきます」と、出来立てを堪能。前田さんによると、海がない京都市内で保存食として作ったのがちりめん山椒だそう。

生しらすを日持ちするように茹でて乾燥させた「ちりめんじゃこ」。奈良時代には、すでに、茹でた後、天日干しをして作られていたそう。江戸時代になると、塩を強めて茹でることでさらに保存がきくようになり、全国へ広がっていきました。
そして約60年前、京都の花街の料理人が山椒と一緒に炊き合わせ、ちりめん山椒が誕生したのです。

京都では、塩で保存していた名残りから塩の風味が特徴ですが、海に面した和歌山では、しらすが新鮮な状態で作れるため、おかずとして食べられるようまろやかな味わいに仕上げています。

江戸時代から続く伝統製法を見せていただくため、案内されたのは、しらすを入札している湯浅湾しらす市場。いくつもの川が流れ込む湯浅湾は、山からの栄養分が豊富な絶好の漁場。最盛期の5月には、1箱1万5千円ほどで取引されることも。

しらすは、イワシの稚魚。中でも色が白く、かつお節と同じイノシン酸が豊富なカタクチイワシが上物です。2cmほどのものが舌触りも良く、ちりめん山椒に最適だそう。
生のしらすは内臓や皮膚が弱く傷みやすいため、買い付けたらすぐに調理場へ。水揚げして20〜30分以内に釜茹ですると聞き、「スーパーフレッシュですね」とガブリエルさん。

お店に戻り、作り方を見せていただきます。まず、しらすに混ざった汚れを洗い流します。これによって熱通りが良くなり、ふっくらとした仕上がりになるのです。塩で茹でるのは、鮮度を保ちながら旨味を閉じ込めるため。身が折れると旨味が流れ出てしまうので、あまりかき混ぜないようにしているそう。

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多くの店が全自動の機械で茹でていますが、「前福」では伝統製法にこだわり、人の目で加減を見極めながら茹でています。わずか2分で釜揚げしらすが出来上がり。熱々のしらすをいただいたガブリエルさんは「こんなにふっくらした魚は食べたことがありません」と感動!

続いて、せいろという網の上にしらすを広げて天日干しする工程へ。手袋の摩擦でも傷ついてしまうため、素手で丁寧に広げきます。機械ではなく天日干しにこだわる理由は、太陽の光に殺菌効果があり、味も凝縮されて美味しくなるから。ミネラルを含んだ潮風と太陽光によってイノシン酸などの旨味が凝縮され、カルシウムがイワシと比べて6倍以上と、栄養抜群のちりめんじゃこになるのです。

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2時間後、満遍なく日光を当てるため、身が崩れやすいしらすになるべく触れないよう、素早く裏返しにします。ガブリエルさんもお手伝いしますが、うまく裏返せず……職人技に感心しきり。
天日干しの目安は基本4時間。季節や天候によって時間を調整します。極限まで旨味を凝縮させ、いよいよちりめん山椒を作る工程へ。

使うのは、ぶどう山椒。和歌山県は山椒の生産量が日本一。中でも、有田川町で作られるぶどう山椒は粒が大きく肉厚。爽やかな香りとしびれる辛味から「緑のダイヤ」とも呼ばれる最高級品です。

このぶどう山椒を15分茹で、アクを抜いてえぐみが和らげば、下ごしらえは完了。
次は、手作りの醤油を使ってタレ作り。和歌山県湯浅町は、ニッポンの醤油作り発祥の地と言われ、700年の歴史があります。湯浅町の人々が千葉県の野田や銚子などに製法を伝え、醤油が全国に広まったそう。湯浅町の醤油に、北海道産昆布でとった出汁や砂糖などを加えてタレを作ります。

次に、タレと干したしらすを大釜で煮ていきますが、ここからが職人の技。釜の縁に魚がつくと熱が通らないので、まんべんなく混ぜるのです。特製のタレを染み込ませるため、80度近い蒸気を浴びながら、ひたすらかき混ぜること20分。ぶどう山椒は、香りが飛ばないよう完成間際に入れます。

炊き上がったちりめん山椒は、さらに旨味が増すよう、再び天日干しに。またまた熱々のところを味見させていただいたガブリエルさんは、「僕がここで働いたらずっとつまみ食いしちゃいます」と皆さんを笑わせる場面も。天日干しすること3時間。抜群の旨味を持ったちりめん山椒が完成しました!

続いて向かったのは、前田さんから教えていただいたぶどう山椒の産地・和歌山県有田川町。「かんじゃ山椒園」の永岡冬樹さんにお世話になります。約300本栽培しているこちらのぶどう山椒は、世界のトップシェフも惚れ込んで使っているそう。

ガブリエルさんが「山椒を加えると、料理が美味しく感じるのはなぜでしょうか?」と気になっていたことを質問すると、「痺れるような辛さが味覚を刺激してくれて、甘いものはより甘く感じさせる効果があります」と永岡さん。山椒に含まれるサンショオールという辛味成分が舌の神経を刺激し、味覚を鋭くさせるのです。

念願の山椒畑を見せていただくことに。元々日陰に自生していた山椒は水はけが良く、日当たりが良い急斜面に植え替えることで実が大きくなります。永岡さんによると、花も美味しいそう。

ぶどう山椒の収穫時期は4月〜10月中旬。収穫時期によって風味や辛さが違い、用途も異なります。4月に採れる花山椒は辛味が少なく上品な香りを持ち、お吸い物や鍋などに。夏前までの種が柔らかく最高の香りと風味を持つ若い実は、ちりめん山椒や煮つけに。熟した実は、上品な辛味と香りを持つ最上級品。陰干しして挽いたものが、鰻などにふりかける粉山椒になります。

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山椒の香り成分が最も含まれるのが、皮の部分。傷つきやすいため、人の手で丁寧に摘んでいきます。大きな木の場合、4時間かかることも! ガブリエルさんについて、「すごく真面目で勉強熱心なのでびっくりしました」と永岡さん。「頑張ってください、向こうでも」と励ましの言葉をいただきました。

その後、ガブリエルさんは再び「前福」へ。前田さんのお宅で、ご家族や職人さんたちが歓迎会を開いてくださいました。テーブルには、釜揚げしらすを使ったかき揚げや、しらすのかきたま汁など、しらす尽くしのご馳走が並びます。「ここにいたら食べ過ぎて太っちゃいますよ!」と大満足のガブリエルさん。

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別れの時。「僕たちの支えにして頑張りますので、これからもちりめん山椒を好きでいてください」と話す前田さん。ガブリエルさんはいろいろ教えていただいたこと、おもてなしへの感謝とご家族の絆に感動したことを綴った手紙を読み上げ、「遠く離れても皆さんとはずっと友達です」と伝えます。
最後は、前田さんからお土産にちりめん山椒の詰め合わせをいただき、皆さんとハグを交わして別れを惜しみました。

あれから4年。ガブリエルさんが帰国した後、「かんじゃ山椒園」には大勢の外国人が山椒を求めて来てくれたそう。「前福」では、今も変わらず美味しいちりめん山椒作りに励んでいます。

そしてガブリエルさんは…帰国後、さらにふりかけ熱に拍車がかかり、手に入る食材を使って自家製のふりかけづくりを楽しんでいるそうです!

夜8時からは、ゲストに犬飼貴丈を迎えて、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」“ご招待で人生変わっちゃった!”を放送!

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