消防士を愛するアルゼンチン女性がハイパーレスキューの訓練を体験!:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

続いて紹介するのは、南米アルゼンチンに住む、「消防士」を愛してやまないマリアさん。

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消防士のマリアさんは、ご主人とは別居中。実家に戻り、消防士として働きながら7歳になる一人娘のサクラちゃんを育てています。「サクラ」という名前は、日本文化が大好きなマリアさんが、ニッポンを象徴する花の桜から名づけたそう。

アルゼンチンでは、消防士は警察の組織に属しています。まずは警察官になり、その後消防学校で厳しい訓練を経て、消防士になることができるのです。
マリアさんは2014年に警察官となり、2年後、夢だった消防士になりました。消防士になったのは、15歳の頃、自宅が火事になったことがきっかけ。逃げ遅れた母親を助けた時、人のためになる消防士になろうと決めたそう。

そんなマリアさんが憧れているのは、阪神淡路大震災を機に結成された消防救助機動部隊、 通称ハイパーレスキュー。海外の災害救助にも医師団とともに派遣され、その能力は世界最高レベル。マリアさんはニッポンにはまだ行ったことはありませんが、インターネットの動画などでその技術を学んでいます。

「ニッポンではホースにも様々な巻き方があります。動画だけではわからない力加減や早く巻くコツなど、直に教わって習得したいです!」と熱く語るマリアさんを、ニッポンにご招待! 5年前、サクラちゃんと一緒に初来日しました。

マリアさんの熱意に応えてくださったのは、1万8000人以上の隊員を擁する、世界最大規模の消防機関・東京消防庁。今回は、目黒消防署でお世話になります。署長の榎本暁さんに続いて声をかけてくださったのは、消防署ではまだ少ない女性管理職の一人、副署長の宇津澤弥生さん。目黒消防署には、女性職員が18人もいます。

アルゼンチンの制服に着替えると、マリアさんの前にはしご車が! 運転するのは、はしご車機関員の高橋侑里さん。はしご車の運転と操縦ができるのは特別な資格を持った隊員だけで、機関員とは、消防車両の運転と機械操作を熟知した隊員のことを指します。マリアさんは「彼女のサインをもらいたいです! はしご車を操縦できる女性隊員がいるなんてアルゼンチンでは考えられません」と大興奮!

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はしご車に乗るのは初めて! 高橋さんの操縦で上空に上がります。住宅街では電線や看板などの障害物が多いため、はしごの上げ下げにも細心の注意が必要。実際の現場では、バスケットと呼ばれるカゴに乗る隊員が放水箇所や救助する場所を指示。高橋さんは、不安定なバスケットを素早く慎重に扱います。
ビルの10階以上にも届くというはしご車。この時は、わずか50秒で最高地点に到達しました。「あまり揺れないのには驚きました。私もはしご車の操縦ができるようになりたいです」。

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マリアさんが学びたかったホースの巻き方も教えていただきます。ホースを2つ折りにしてから巻く「二重巻き」は、アルゼンチンと同じ。コンパクトになるため収納や保管しておくのに適した巻き方です。他にも、放水後、水を抜きながら巻くのに便利な「巻き島田」や、一人でも素早くホースを伸ばせる「折り島田」など、用途に合わせて使い分けています。消防車には、折り島田の状態で積んであることが多いそう。

早速、覚えたばかりの折り島田を使って放水訓練を行います。お手本となる隊員の動きに「無駄な動きがひとつもありません!」と感心。いよいよマリアさんも挑戦します。

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ホースの先を下にして抱えれば走る力で自然と解けていきますが、マリアさんは逆に抱えてしまった上、束の半分を残したまま走ったため、折り島田がうまく解けず、大きな時間ロスに……。「上手く使えるようになるまで、もっと練習しないといけませんね」。

訓練終了後、署長から特別に修了証と帽子をいただいたマリアさんは、「点検、訓練、出動、どの行動も迅速で、徹底していて勉強になりました。女性隊員の皆さんが活躍する姿にとても勇気づけられました」と話しました。

2日後に向かったのは、東京・大田区にある第二消防方面本部。実はここ、マリアさん憧れの部隊・ハイパーレスキューの訓練施設なのです。
ハイパーレスキューは、大規模災害での高度な救助に対応できるよう結成されたエキスパート部隊。志願した消防隊員450名ほどの中から、年に一度の厳しい試験で約60名を選抜。25日間に渡る「地獄の研修」を乗り越え、選ばれた者だけが配属される、最高峰の救助隊です。

隊員だけが着ることを許された金のワッペン付きの制服を、総括隊長の下山正敏さんから特別に貸与されたマリアさん。「憧れの皆さんの前に立っていることが信じられません。お会いできて本当に光栄です。よろしくお願いします」と挨拶します。

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まずは、火災現場での煙の動きや温度をリアルに体感できる特別施設にやって来ました。よく見ると、煙が溜まっているのは上の方。その下は意外とクリアで、奥まで見通すことができます。煙は火で熱せられると軽くなり、上昇するのです。
さらに施設内の温度を見てみると、煙が溜まった上部は360度、地面近くでは44度と、300度以上の温度差が! 「火災現場では姿勢を低く」というのが救助の鉄則。

続いては、火災現場での救助を想定し、人を探す訓練を行います。5階のマンションの一室で火災が発生、逃げ遅れた人を救助するという設定。様々な現場を乗り越えてきたハイパーレスキューのノウハウを、一つひとつ教えていただきます。

救助する際は脇を抱えるのではなく、負傷者の腕を棒のように使い、抱え上げます。煙の中では低い姿勢をとるため、この抱え方が救助に最も適しているそう。さらに、火災現場では床が抜け落ちる危険があるため、膝をつかないのが鉄則。煙で視界を奪われるため、合図は腰に結びつけたロープで伝えます。

いよいよ本番。防火服と呼吸器、合計20kgの装備で臨みます。煙を充満させて訓練がスタート。機材を持って進入し、5階に到着するまでわずか50秒!

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ここからはマスクを装着します。マリアさんの後に続くのは、ハイパーレスキュー歴3年の櫻井祐さん。腰に命綱を結び、入口で待機する隊員がその端を握ります。
無事救助はできましたが、「まだまだ訓練が足りないと自覚しました」と涙を浮かべるマリアさん。櫻井さんに「気持ちは一緒! 訓練して人のために、人命救助を頑張りましょう!」と励ましの言葉をかけていただきました。

訓練が終了し、チームワークの大切さを実感。隊員の皆さんに感謝を伝え、一人ひとりハグを交わします。最後に、下山さんからチームの言葉「勇気、規律、矜持」が書かれた手ぬぐいをいただきました。

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あれから5年、マリアさんからビデオレターが届きました。帰国してすぐ、消防署の当直部屋に同僚を集め、東京消防庁での経験を説明したそう。下山さんにいただいた手ぬぐいにある「勇気、規律、矜持」の言葉を今も胸に刻んでいます。

お世話になった皆さんからもメッセージが。ハイパーレスキュー隊の総括隊長だった下山さんは、「どんな仕事でもマリアさんの根性があれば大丈夫! できる、全力投球で頑張れ!」、訓練でパートナーを組んだ櫻井さんは、「違う国、立場が変わっても、消防士として目指すことは一緒。人命救助最優先」とエールを送ります。

また、はしご車機関員・高橋さんも「同じ女性としてとても心強く思っております。お互い体に気をつけて頑張りましょう!」と激励の言葉を送りました。

山形の消防団で、地域住民も交えて訓練を体験…帰国後思わぬ報告が

続いては、地域住民で結成される消防団を学ぶため、山形県酒田市へ。ニッポンの消防団の起源は、今から300年前。死者10万人にも及んだという「明暦の大火」をはじめ、住宅が密集した江戸の町では、火事が頻繁に発生。そこで八代将軍・徳川吉宗が、町人による町人のための防災組織「町火消し」を設けたのが始まりです。

地域住民で結成された消防団は、消防署とともにニッポンの要。消防隊到着前の初期消火などを担い、団員の数は全国になんと80万人以上。マリアさんの熱意を伝えたところ、本業はミキサー車の運転手だという団長の佐藤薫さんが受け入れてくださいました。

制服を貸していただいたマリアさんは、手袋の丈夫さに「最高です」と感動! 酒田市では、耐熱性に優れたケブラー手袋を消防団員全員に支給しているそう。

午後は、マリアさんに一つでも多く消防団の活動を見てもらいたいと、防災学習会を開いてくださいました。女性消防団の方もたくさん! ここ酒田市は、女性消防団発祥の地。今から100年以上も前、飛島という漁師町で男性が漁に出かけている間に何度も火事があり、婦人火防組(かんぽぐみ)という女性だけの消防団が発足しました。

地域の方に火事の正しい知識を伝えたいと、手作りの道具を使って火災現場を疑似体験してもらう取り組みも。「楽しく参加できるので、アルゼンチンでもやってみたいと思います」。同じ消防に携わる女性同士、女性消防団の皆さんとすっかり意気投合した様子。

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翌日、案内された先には大勢の人が! 実は佐藤さん、市内に30近くある消防団のトップ。この日は年に1度の合同演習会で、酒田市の消防団員、約2000人が一同に会して訓練の成果を披露します。最近は女性の乗り手も増えている「はしご乗り」も行われ、締めくくりは、団員の規律が試される2000人の一斉行進。マリアさんも行進に参加しました。

酒田で過ごす最後の日。マリアさんが消防団の活動に参加している間、サクラちゃんは浴衣を着せてもらい、大喜び。佐藤さんに抱っこされてご機嫌です。マリアさんが戻ると送別会を開かれ、特別団員として半纏をプレゼントされると、思わず涙が……。

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「皆さんの優しい心遣いが、この地域を守っているのだと実感しました。特に女性団員の頑張っている姿は、同じ女性としてとても感激しました」。消防団の皆さんに想いを伝え、佐藤さんと握手を交わしました。

あれから5年。マリアさんからのビデオレターを佐藤さんの元へ届けます。佐藤さんは2020年に退団。消防団に34年間従事した功績が認められ、酒田市から特別表彰を受けたそう。

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「消防団の半纏は、私の誇りです。だから誰にも触らせていません」。合同演習の時に履いていた消防団お揃いの長靴は、帰国後も活躍中です。サクラちゃんは5年で身長が40cmも伸び、酒田の女性消防士さんがくれた浴衣はすっかり寸足らずになりましたが、大切にしています。

ここで、マリアさんから報告したいことが。実は人事異動で警察署へ配置転換され、消防の現場から離れることになったのです。上司に取り消しを頼んでも辞令が覆ることはなく、毎日泣き続けたそう。

しかし、ニッポンでの経験を生かしたいマリアさんは、ボランティアが運営している消防団の活動に参加する予定だそう。実はアルゼンチンには、ニッポンの消防団のように地域住民で結成された消防団があり、普段は他の仕事に就きながら、無給で消防活動を行っています。
酒田市消防団のように、ボランティア消防団で地域の皆さんに防火訓練を行い、初期消火の大切さなどを教えたいと思っているそう。「火災や災害が起きた時は、地元の活動が大切だということ。伝えたいものが伝わった」と佐藤さん。

サクラちゃんも「私はいきいきと輝いているママを見ているのが幸せなんです。これからは私がママの夢を応援していきたいです」と話します。実はサクラちゃん、15歳になったらニッポンへ行こうと日本語を猛勉強中。「佐藤さん、待っていてくださいね」と呼びかけると、佐藤さんは「待ってる、待ってる!」と目を細めました。

マリアさんをニッポンにご招待したら消防士としての使命感がさらに強くなり、ニッポンで学んだ知識をアルゼンチンに広めようとしていました!

夜8時からは、ゲストにつるの剛士を迎えて、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」“ご招待で人生変わっちゃった!”を放送!

「“竹細工”の作り方を勉強したい!」
独学で竹細工を作っているアメリカのカリッサさん。竹細工の聖地・大分県別府市で4代続く別府竹細工の職人、伝統工芸士・森上仁さんの元で、材料となる“竹ひご”を薄く割く方法と網代(あじろ)編みの竹かご作りに挑戦。さらに、憧れの竹工芸家・4代目田辺竹雲斎さんの元へ。代々伝わる“竹を曲げる”奥義を教えていただく。
あれから5年…個展を開催するなど竹細工が驚きの進化を!

「大好きな“ふりかけ”を味わいたい!」
電子レンジなどを使い、独自に「のりたま」を作っているコスタリカのガブリエルさん。
「全国ふりかけグランプリ」で2連覇した「澤田食品」の「いか昆布」を堪能。さらに、和歌山で創業約120年の「しらす屋 前福」で4代目の前田芳宏(よしひろ)さん一家が手仕事で作る「ちりめん山椒」を教えていただく。他にも、「緑のダイヤ」と呼ばれる有田川町の「ぶどう山椒」作りも!