2月18日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「熱烈ファンをつかめ!~ヒットの条件は"つながり"にあり~」。
かつては、テレビなどで大量に広告を打つことでヒットを生んできたが、今はそれでヒットが約束されるわけではない。商品を末永く愛してくれる"ファン"の力に迫る。
"コンビニパトロール"で新商品情報を発信する女性
大手コンビニは、毎週火曜日に新商品を発売する。コンビニスイーツを熱烈に愛する人気ブロガー・わんたさんは、毎週火曜日の朝コンビニに向かい、新商品をチェックする"コンビニパトロール"を行う。
これまでに食べたスイーツの数は5000個以上。わんたさんの影響力は絶大で、ブログは7年間毎日アップしており、月間閲覧者は133万人にも上る。コンビニスイーツの熱烈なファンが、さらにファンを増やしているのだ。
「初めて食べたのが『ファミリーマート』さんのチョコレート尽くしのケーキ。専門店並みにおいしいと思って、それからコンビニスイーツにはまってしまいました」と話すわんたさん。ファミマだけでなく、他のコンビニもパトロールし、買ってきたものを早速撮影する。
こちらはケーキ生地がチョコでくるんであり、見た目がアイスのように見えるスイーツ。
重視するのは、映えよりありのまま。ブログを見る人のために、スイーツの裏側や断面の写真も必ず掲載する。
単なる感想だけでなく、時には辛口なコメントも。この正直さが、多くの読者から支持されている。
一方のコンビニ側も、ファンが重要な存在であることに気づいていた。
「ファミリーマート」では、ファンを巻き込んだプロジェクトを計画。商品本部 地区MD部長の島田奈奈さんは「ファミリーマート初めての試みで、ファンが商品開発をし、ファン投票で発売商品を決めるという企画を実施しました」と話す。
「ファミリーマート」が大事にしているのは、2つのファンだ。まずは店で働くストアスタッフ、そして商品を買ってくれるお客さん。この2つのファンを使って、「スフレ・プリン」の新たなヒット商品を生み出すという。果たして、ファンが作り、ファンが選んだスイーツとは?
独特の世界観でファンをつかむチョコの会社
2月上旬。バレンタイン商戦で賑う一角で売られていたのは、コンビニのレジ横でよく見かけるチョコレート菓子「ブラックサンダー」。熱狂的なファンが多いことでも知られている。
東京・小平市にある直営店では、箱買いが基本だ。
「ブラックサンダー」を製造する「有楽製菓」では、さらなるファン獲得のための取り組みが行われていた。社長の河合辰信さんは、4年前に先代から社長を引き継ぎ、ファンとの関係を変えた。ある異変を感じていたからだ。
「徐々にお客様に届いているものもあれば全く響いてないものも出て来てしまって、自分たちだけで考えている限界を感じました。ブランドは我々のものではなく、ファンのものだと思っているので」。
昭和30年、ウェハースの製造からスタートした「有楽製菓」。手軽なお菓子を売り出そうと28年前に誕生したのが「ブラックサンダー」だった。
ヒットのきっかけは、生協の白石さんや元体操選手・内村航平さんの口コミで、今では年間2億本を販売している。「ブラックサンダー」は、熱烈なファンによって育てられた商品なのだ。
去年、河合さんは、ファンとつながる場所をネット上に作ることを思いついた。
その運営を任されたのが、入社4年、マーケティング部 商品戦略課の鈴木達也さんだ。
鈴木さんは、「ブラックサンダー」のイメージをファンに聞き、それを参考にして、コミュニティーの場を"黒い広報室"と命名。鈴木さんが広報室長となり、ファンを"広報員"と呼ぶことにした。
そこで生まれる独特な交流...。熱烈ファンのために楽しい企画を次々と打ち出す「有楽製菓」の今を取材した。
「かつお節」離れが止まらない! 人気回復にもがく老舗企業
東京・日本橋。創業から322年、かつお節専門店「にんべん」も、ファンをつかむためにもがいていた。理由は、購入量の激減。一世帯当たりのかつお節購入量が、60年前と比べ、7割も減少していたのだ。
「にんべん」は、江戸中期、日本橋の地で乾物屋として始まった。以来、伝統的な製法で作られたかつお節を販売。かつお節の使いきり商品は、「にんべん」が業界に先駆け、開発したものだ。
新たなファン獲得に向け、だしを使ったいろいろな料理を提供するレストランやひきたてのだしが飲める店舗を出店。さらに、オンラインでのかつお節教室も開催。このイベントを企画したのが、入社4年目、経営企画部の森沙織さんだ。
この日、森さんが連絡を取っていたのは、「にんべんだしアンバサダー」と呼ばれる人たち。このプロジェクトは7年前に始まり、現在メンバーは500人ほど。彼らにかつお節とだしの魅力を発信してもらい、さらなるファンを獲得しようというのだ。
しかし、アンバサダーの運営管理者である森さんは、プロモーションの途中で行き詰まりを感じていた。そこで経営企画部は、ファンマーケティングの専門家「アジャイルメディア・ネットワーク」マーケティング部部長・出口潤さんに相談。プロジェクトの立て直しを依頼する。
もがき続ける「にんべん」は、かつお節離れにストップをかけられるのか。
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