約300度の炎に突入⁉海上自衛隊で“最も過酷”といわれる新人隊員の訓練とは

公開: 更新: TBS Topics


海上自衛隊にいる「応急工作員」は、“船の消防士”とも呼ばれ、船の火災・浸水を防ぐ専門の隊員。応急工作員を目指す新人隊員たちは、海上自衛隊で“最も過酷”といわれるほどの訓練を行っていました。

約300度の炎や、約2トンの水圧に耐え…

応急工作員を目指す隊員たちは、船内火災や浸水に対処する超過酷な2つの訓練を、必ず乗り越えなければなりません。

訓練① 約300度の炎の中で消火活動

新人隊員の訓練の中で最も過酷といわれる「防火訓練」は、機械室を忠実に再現した部屋に実際に火を放ち、約300度にもなる炎の中で消火活動を行うもの。

300度の炎に突入300度の炎に突入

防火服や防煙マスクを装着し、さらに約20kgもの機材を背負い、炎の中に突入します。

防火服を着ていても、体感温度は40度超え。息をするのも苦しい中、声をかけ合いながら消火を行います。

応急工作員応急工作員

密閉度の高い船内火災でよくある残り火の自然発火や、ホースの漏水などのトラブル対応も求められる、厳しい訓練です。万が一、船で火災が起きた場合は、応急工作員が中心となって消火活動を行います。

訓練② 約2トンの水圧に耐えて浸水を止める

座礁や攻撃で船体に穴が空いた場合を想定し、船底を再現した区画で水圧に耐えながら浸水を止める「防水訓練」も過酷な訓練。一か所でも船体に穴が空くと、勢いよく海水が流れ込んで、沈没してしまう恐れがあります。

蝶番パッチで海水を塞ぐ蝶番パッチで海水を塞ぐ

特殊なフタ「蝶番パッチ」を使って穴を塞ぎますが、約2トンにもなる水圧に耐えて穴に近づき、正確な位置に取り付けるのは至難の技です。

「蝶番パッチ」「蝶番パッチ」

また、扉の隙間からの浸水に対しては、角材を組み合わせて“つっかえ棒”のようにして、扉をがっちり閉めることが必要。

浸水への訓練浸水への訓練

水がどんどん流れ込む中、重さ10kgの角材を的確に組まなければならず、隊員のチームワークが求められます。

応急工作員は、乗組員の命を守る最後の砦

応急工作員を目指す隊員は、神奈川県横須賀市にある「海上自衛隊第2術科学校」で、半年にわたり部品の修復や排水管の溶接なども学びます。

火災や浸水に対処することは船を守るための絶対条件であり、応急工作員は、乗組員の命を守る最後の砦のような存在です。

応急工作員は、乗組員の命を守る最後の砦のような存在応急工作員は、乗組員の命を守る最後の砦のような存在

船の大きさにもよりますが、約200名が乗る護衛艦には、厳しい訓練を乗り越えた応急工作員が5~6名ほど乗船しています。逃げ場のない船内でのトラブルに対処すべく、備えているのですね。

 

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