江戸時代に興った「江戸懐石」を受け継ぐ料理道・近茶流(きんさりゅう)。その近茶流の料理教室から、お家で簡単にできる本格的な日本料理を教えていただきました。和食の基本となる出汁と筑前煮、ワンランク上の味を試してみませんか。
ほんのひと手間がコツ!本格出汁
日本料理の基本となる、お出汁。「出汁を引く」と聞くと手間がかかるイメージですが、とても簡単にできます。

① 昆布を入れて火にかける
まず、水(6カップ)の入った鍋に洗った昆布(20センチ)を入れてから、中火に5分ほどかけます。しだいに昆布や鍋の周りに小さな気泡がつきはじめたら、さっと昆布を引き上げてください。

あまり長い時間昆布をつけたままにしておくと、昆布の持つぬめりや色・においが強く出てしまい、風味が損なわれます。そのため、昆布はつけすぎないようにしましょう。
② 鰹節を入れる
①が沸いたら一旦火を止め、削り節(15グラム)を静かに入れます。
このとき、ぐるぐると削り節をかき混ぜず静かに抑えるのがポイント。混ぜてしまうと、削り節の酸味が出てしまいます。

削り節を入れたら、静かに1分ほど置くと旨味が出ます。
③ さらしでこす
その後、煮出した出汁をさらしでこし、キュッと絞れば「本格出汁」の出来上がりです。

料理のベースとなる、優しく深い味わい。ちょっとしたコツをおさえるだけで、本格懐石のお出汁をお家でも味わえます。
混ぜなくてOK!筑前煮レシピ
続いては、おせち料理にも使える「筑前煮」の作り方です。

① 具材を切って炒める
味をしみ込みやすくするため、野菜は乱切りにするのがポイント。ごぼうを切るときは、包丁ではなくごぼうを回転させて切りましょう。また、ごぼうは油で炒めることでアクが中和されるため、水にさらす作業は不要です。
具材を切り終えたら、ごま油(大さじ1杯)をひいた鍋で炒めていきます。

ごぼう(1/2本)、レンコン(100g)、里芋(3個)、人参(150g)、こんにゃく(1/2枚)、鶏もも肉(300g)の順に、火の通りにくい具材から炒めていきましょう。
② 出汁を入れて煮る
具材に油が回ったところで出汁(2L)を入れ、落とし蓋をして具材に火が通るまで5分ほど煮ます。落とし蓋をすると、具材をかき混ぜなくても味が均等にしみ渡るため、混ぜる必要がなく煮崩れしません。
③ 調味料を加えてさらに煮る
具材に火が通ったら、調味料(砂糖大さじ4杯・酒大さじ1杯)を入れて再び落とし蓋をし、火力を弱めます。調味料が入ると沸点が変化しますので、火力調整を忘れずに行いましょう。
さらに、みりん(大さじ1杯)・戻した干ししいたけ(3枚)・醤油(大さじ3.5杯)を回し入れ、絹さや(20グラム)を加えて彩りを添えます。

仕上げに、照り用にみりん(大さじ1)を加えて、ここで初めて軽く混ぜたら完成。
お出汁の優しい風味と、野菜や鶏から出る自然の旨味が絶妙な美味しさを醸し出します。普段の筑前煮とはレベル違いの美味しさに驚くはずです。
伝統を受け継ぐ料理教室
今回、作り方を教わったのは赤坂にある「柳原料理教室」。江戸時代から続く近茶流を、現代に受け継ぎ守っています。

近茶流の料理指導や研究にあたるだけでなく、テレビドラマで料理監修や所作指導も行う、日本食文化のスペシャリスト。
伝統ある料理教室直伝の本格日本料理、ぜひ一度お家で作ってみてください。
店名:柳原料理教室
住所:港区赤坂1-7-4
日本全国の絶品グルメ&穴場スポット巡り
ぴったんこカン・カン
(TBS系列:金曜よる8:00~)