交通事故を未然に防ぐため、近年様々な自動車に搭載されている「被害軽減ブレーキシステム」。中でも、大手自動車メーカーSUBARUが独自に研究開発を行い実用化した「アイサイト」は、ドライバーの安全運転をサポートしてくれる、高性能の運転支援機能システムとして広く知られています。
『BACKSTAGE』では、被害軽減ブレーキシステム「アイサイト」のテストに潜入。そこでは交通事故ゼロを目指し、綿密な試験が行われていました。
開発者自ら行う試験
「アイサイト」は、車に搭載されたカメラが衝突の危険を感知し、ドライバーへ3段階に分けての注意喚起を促すシステム。
今回行われていた試験は、先行車との衝突を避けるための「プリクラッシュブレーキ」とよばれる、衝突の危険を段階的にドライバーに知らせるシステム。

試験は、まずコース上に実物に似せたダミーの車や人形を設置することから始まります。

様々な歩行者を想定して行うため、人形は大人サイズから子どもサイズのものまでが揃っています。
試験コースの下準備からすべてをアイサイトに携わる開発者たちで行うのが、SUBARU流。
すべての作業に関わることで、新しい発見や気づきが得られます。
あらゆる場面を想定して…
今回の試験では、ダミー車に対して、車幅100%が衝突する危険性がある場合、半分の50%が衝突する危険性がある場合…25%の場合、0%の場合と4段階に設定。

それぞれのケースに対して、警報やブレーキのタイミング・車間距離などのデータを計測します。

算出された数値の信頼度をより高めるため、試験は一度ではなく、何度も行われます。
また、あらゆる場面にも対応できるように、実際の車種やドライバーの運転技術の違い、道路状況の違いなど様々な状況が、細かく設定されています。
こういった地道な試験の積み重ねが、アイサイトの正確な制御を生み出しているのですね。
安全と快適の境界線を探る
試験の一例となる、ダミー車に対して、車幅の50%が衝突する危険性がある状態。
これは、路肩駐車や左折車を想定したものです。

この時にプリクラッシュブレーキが作動し、

こんなにギリギリの距離で大丈夫だろうかと思ってしまいますが、実はこれは開発者の狙い通り。
真正面に車がある時は、追突する可能性が極めて高いため早めにブレーキが作動しますが、車幅50%程度の重なりであれば自分で避けられるドライバーも多いという予見です。
開発者の強い思い
避けられたのに被害軽減ブレーキが作動するのは、運転するドライバーにとって嫌なもの。被害軽減ブレーキがスムーズな運転の妨げにならないよう、ドライバーにとっての快適な運転を考慮しながら、安全性を高める試験が行われています。
現在、アイサイト搭載車の追突事故発生率は、非搭載車に比べて84%も減少したとのこと。

交通事故ゼロを目指して、繰り返し行われるアイサイトの試験。
そこには、安全と快適の境界線を探り、事故になる前にドライバーへ「気づき」を伝えたいという開発者たちの強い思いがありました。
知られざる舞台裏の物語
BACKSTAGE(バックステージ)
(CBCテレビ:日曜よる11時30分~)
■10/20放送の「BACKSTAGE」は、肉フェスの裏側!