2018年、ガラス製品作りの技術で黄綬褒章(おうじゅほうしょう)を受章した職人さんがいます。その職人さんが行っているのは「谷川工法」という技法。
いったいどんなすごい技術なのでしょうか?
ガラスをハサミとヘラで成形?!
ガラス製品といえば、熱したガラスへ息を吹き込む「宙吹き」という作り方が一般的。
しかし「谷川工法」では、炉でドロドロに熱したガラスをハサミでカットして、ハサミとヘラを使って延ばします。

延ばしたガラスを素早く落とし型にのせて成形すれば、美しい平皿の出来上がり。

どの工程にも長年の経験や感覚が必要とされる、とても高度な技法です。
高度な工程をスムーズにこなす黄綬褒章職人
2018年に黄綬褒章を受章した高橋さんは、ガラス職人歴49年の大ベテラン。

10年以上ガラス職人をやっていてもマスターするのが難しい「谷川工法」ですが、高橋さんはまるで簡単な作業であるかのようにこなしてしまいます。
炉で熱したガラスはすぐに固まってしまうので、すべての工程は一発勝負。
必要な分量を見極めて熱いガラスを切り、形がゆがまないように注意しながら延ばし、手早くすくって落とし型へ移動させ、成形します。

どの工程にも無駄な動きや迷いは一切なく、その手際はとても鮮やか。カットするガラスの量も、規定からプラスマイナス50g以内の誤差しかない正確さです。
ガラスをさまざまな形で炉から取り出す「巻き屋」の技術
ガラスを切って延ばし成形する「谷川工法」には、もう1つ欠かせない手順があります。
それが、熱したガラスを棒に巻いて取り出す工程。この工程を担当する職人さんは“巻き屋”と呼ばれ、中でもNo.1の技術を持つのが高橋さんと同期入社の小林さんです。

小林さんのすごいところは、作るお皿の形によってガラスの巻き方を毎回変えているところ。長方形のお皿を作るときはガラスを長く垂らしやすいように円盤型に、正方形のときはガラスを丸く垂らすために真ん丸に巻きます。

ガラスがきれいに延びるかどうかを決める“巻き屋”は、その後の工程を左右する重要なポジション。もちろん、高橋さんや他の職人さんとのスムーズな連携も不可欠です。
黄綬褒章を受章した高橋さんは、「お客さんが使うことを考えながら製品を作ること」が仕事の極意だと話します。チームで作るガラス製品の数は、なんと年間1万個以上。
難易度の高い「谷川工法」は、ガラス職人さんたちの高い技術としっかりとしたチームワークによって守られていました。
会社名:上越クリスタル硝子株式会社
住所:群馬県利根郡みなかみ町後閑737-1
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