事件の現場で活躍する警察犬。
実は、現在約1,300頭いる警察犬のうち、1,000頭以上が一般の人から預かったペットを訓練した「嘱託警察犬」です。警察犬になるためには、一体どのような訓練が行われているのでしょうか。
警察犬になるために必要な3つの訓練
警察犬になるには、「服従」「選別」「足跡追求」をマスターすることが必要です。
まずは、基本となる「服従」。
人間と同じ歩幅で歩き、止まったり、指示通りに待てや伏せを行うことを覚えます。

続いて「選別」。においのついた布を嗅ぎ分ける訓練です。
優れた嗅覚を持つ犬は、においを判別すること自体はできますが、同じにおいのものをきちんと持って帰ってくることは、訓練を重ねないとできません。

嗅ぎ分けて持ち帰ることができるようになるには、数週間かかることもあります。粘り強い訓練が必要です。そして、においだけを頼りに目標を追跡する「足跡追求」。広い河川敷で、実際に足跡や遺留品を配置して追跡の訓練を行います。

「足跡追求」の訓練は、ベテラン警察犬でも感覚を鈍らせないために行うことがあります。このような訓練を重ねていき、試験に合格すれば警察犬となることができます。
訓練に大切なことは、犬とわかりあうこと
訓練を行うときに大切なのが、犬の性格を見極めること。

例えば、エサへ素早く反応することができるのは集中力がある犬。そのため、エサへの反応がおとなしい犬は、集中力を高める訓練を繰り返します。
犬がどんなものに興味を持っているのか、性格や個性を理解し、適切な訓練を行ってコントロールするのが訓練士の仕事。そして、命令がきちんと実行できたときは、しっかりと褒め、犬の気持ちに応えてあげることが大切です。

また、叱るときは、その犬のことを考えて叱ります。
訓練する側の人間の怒りをぶつけてしまうと、犬との距離が離れていってしまうのです。
これまで、55年にわたり1,000頭以上の犬を訓練してきた訓練士の佐藤さんによると、「本当の犬の気持ちを分かってあげないと訓練はできない」といいます。

今でも新たな疑問が湧くこともあるそうで、「前向きにやっていかないと訓練士の仕事はできない」と佐藤さんは語ります。
訓練士と犬。その間にあったのは決して恐怖による主従関係ではなく、ともに成長していく心強いパートナーとしての姿でした。
知られざる舞台裏の物語
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