好きなお料理を好きな分だけ取り分けて食べる食事スタイルのことを「ビュッフェ」や「バイキング」と呼びます。
この2つはどちらも“食べ放題”という形式のことを指しており、実は何の違いもありません!
しかし、世界的に見て「バイキング」という呼び名が使われているのは日本だけ。
日本で“食べ放題”のことを「バイキング」と呼ぶようになった理由と、そのルーツを解説します!
「バイキング」の名づけ親は帝国ホテル
「バイキング」が日本に登場したのは、今からおよそ60年前。日本に初めて食べ放題のスタイルを導入したのは、「帝国ホテル」です。

新館の建設が計画されていた帝国ホテルでは、目玉となるようなレストランの構想を練っていました。
当時の料理長は、ヒントを得るためにヨーロッパ中を視察。すると北欧の国・デンマークで、「自分で好きな料理を選び、好きなだけ食べられる」という目新しい食事形式に出会います。
料理長は「この形式はきっと注目されるに違いない!」と考え、帰国後に“食べ放題”スタイルのレストランを日本で初めてオープンさせたのです。
「海賊」と名づけた意外な理由
食べ放題スタイルのレストランの名前は、「インペリアルバイキング」。ホテルの名である「帝国(Imperial)」と、海賊を表す「バイキング(Viking)」を合わせた名前が付けられました。
しかし、なぜホテルのレストランを「海賊」という名前にしたのでしょう?
それは当時に大ヒットした、北欧の海賊を題材にした映画「バイキング」が関係していました!
その映画には、海賊たちがガツガツ食事をするシーンが登場します。
新しいレストランの「好きな料理を好きなように取って食べる」というコンセプトが、海賊たちの豪快な食事シーンと合っていたため、お店の名前にも「バイキング」という言葉が使われることになりました。
日本全国に次々と「バイキング」のお店が!
「インペリアルバイキング」は、もりそば1杯30円だった時代に、ランチ食べ放題が1200円という高額設定。
それにもかかわらず、行列ができるほどの人気を獲得!有名人も数多く訪れて話題となりました。

すると、“食べ放題”の形式を取り入れた飲食店が各地へ続々とオープン!
「インペリアルバイキング」の人気にあやかって「バイキング」という言葉を前面に出したお店も多かったため、“食べ放題”はいつしか「バイキング」と呼ばれるように。

海賊映画が元になっていたのは意外ですが、そもそも“食べ放題”を「バイキング」と呼ぶのは日本だけ、というのもちょっと驚きでした。
今度バイキングやビュッフェに行くことがあったら、一緒に行く人に伝えたい雑学ですね!
ちょっと気になる“差”を徹底調査
この差って何ですか?
(TBS系列火曜よる7時~)
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