TBSで現在放送中の日曜劇場『下剋上球児』。高校野球をとおして、さまざまな愛を描く、ドリームヒューマンエンターテインメントだ。鈴木亮平、黒木華、小日向文世、井川遥、生瀬勝久、小泉孝太郎、松平健ら豪華俳優陣が毎週熱いドラマを繰り広げている。
いよいよ第5話を終え、鈴木亮平演じる南雲脩司が教師を目指した理由も明らかになった。今回はそんな南雲の葛藤をメインに前半を振り返る。
南雲が背負った十字架

――南雲の罪“教員免許偽造”
三重県立越山高校の社会科教師・南雲脩司は、生徒に寄り添い、保護者からも信頼される熱心な教師。しかし、彼は人には言えない秘密をずっと抱えたまま、3年もの教師生活を続けていた。
南雲は教師という夢を追い、30歳を過ぎてから大学に入り直したという異色の経歴。しかし、教員採用試験に合格したものの、単位が足りずに大学を卒業できないという問題に直面した。卒業資格がなければ教員免許は取得できない。さらにこの時、妻の美香(井川遥)が娘のなぎさ(倉田瑛茉)を身ごもっていたこともあり、すぐにでも定職に就かなければならない事情もあった。
やっと掴めそうな夢が手からこぼれ落ちていく。迷ったあげく、南雲がとった行動が“教員免許偽造”。弱さに負けてしまったのだ。
もちろんこれは立派な犯罪であり、教育職員免許法違反に加え、有印公文書偽造・同行使の罪にあたる。これまでの給与も全額返納しなければならない。
偽りの教師生活で、南雲の罪悪感は募るばかりだった。“早く辞めなければ”と頭の中で反芻する。これが公になれば大変なことになり、家族にも迷惑がかかる。しかし、そんな中でも、生徒たちの秘めた可能性を何度も目の当たりにすると、南雲の決意も揺らいだ。

――生徒たちの情熱が南雲の決意を鈍らせる!
そんな南雲の教師生活も、第1話で家庭科教師の山住香南子(黒木華)が赴任してきたことで一変する。彼女は自身でもプレーを熱望していたほどの野球好き。南雲が元高校球児だったと知り、弱小野球部の監督になってほしいと迫ってくる。おまけに校長の丹羽慎吾(小泉孝太郎)や、元監督の横田宗典(生瀬勝久)からも“形だけ”と頼まれる始末。南雲は頑なに拒み続けた。とにかく、目立つわけにはいかなかったのだ。
実は、毎年のように南雲は丹羽に辞職を申し出ていたのだが、そのたびに“生徒たちが選んで良かったと思える学校にしていきませんか”と引き留められていたのだ。罪悪感に苛まれたこの3年。このままでは絶対にいけない、しかし…。
第1話の1人素振りをする野球部キャプテン・日沖誠(菅生新樹)の姿。
地元草野球チームとの試合で躍動する生徒たち。
第2話では星葉高校にコールドで負け、悔しさを爆発させた。
グローブをプレゼントされた根室知廣(兵頭功海)の嬉しそうな表情。
第3話で兄をかばった日沖壮磨(小林虎之介)。
ベンチからチームを支えると決意した日沖。
第4話では1回戦負けをしながらも、“コールド負けはしなかった”と生徒たちは歓喜した。
引退する3年生たちが、1年生エースの犬塚翔(中沢元紀)に素直に感謝を示す姿。
南雲の心に火を点けるのは…いつだって生徒たちだった。

――“人との出会いに恵まれた”南雲の過去
南雲の学生時代は教師に恵まれたものだった。幼少期、父親はギャンブルに溺れ、あげくに行方不明となり、母親も出て行くという荒れた家庭環境。そんな南雲少年の前に現れたのが、寿竜矢(渋川清彦)という男性教師だった。“勉強を教えるだけが先生じゃない”が寿の口癖。身寄りのない南雲は寿の自宅に引き取られ、彼から多くのことを教わった。
高校へ進学した南雲は、そこで野球部の監督・賀門英助(松平健)と出会う。“やってきたこと、考えたこと、悩んだこと、無駄なことなんて1つもない”と励ます賀門を尊敬し、野球に打ち込んだ高校3年間。南雲はいつしか教師を目指すようになっていた。
その十数年後、教員免許を偽りながらも越山高校に赴任。当初、生徒指導を任された南雲は、越前恵美(新井美羽)という女子生徒と出会う。“パパ活をしている”など良くないウワサが絶えない問題児だ。南雲はそんな彼女を放っておけず何かと気にかけるも、なかなか心を開いてくれない。しかし、お節介を焼く南雲の思いが届いたのか、ある日、彼女はスーパーでアルバイトを始めた。パパ活で稼ぐことをやめたのだ。“奇跡”が起きたと、南雲の心は震えた。

――いよいよ後半戦へ!南雲の贖罪は生徒たちにどう映るのか!?
「教師として正しいことを言えば言うほど自分に還ってくる」と、南雲は意を決し、第4話ラストで地元警察署へ出頭する。“ニセ教師南雲”のウワサはすぐに広がり、周囲は動揺を隠せない。南雲は事件が検察に送致されるまで、自宅で取り調べを受けることになった。
尋ねてきた山住によると、南雲が去った野球部には、新監督として塩尻(町田啓太)が就任。塩尻は未来を見据えてスカウトに力を入れているらしく、野球部は良いとは言えない状況だという。
そんなある日、南雲は、遠方から通学する根室が、睡眠不足で授業も練習もままならなくなったことを知り、自宅に住まわせることに。すると、それを聞きつけた野球部員たちが南雲宅へと押し寄せた。卒業生も合流し、まるで合宿所のようなワイワイとした光景が。生徒たちは南雲の罪など気にしていないかのようだ。そんな賑やかな時間を過ごすうち、寿との生活を思い出す南雲。すると、目には自然と涙が溢れていた。
いよいよ、第6話で南雲の処分が決まる。一時の気の迷いで罪を犯し、周囲を失望させ、家族にも迷惑をかけた南雲は、純粋に慕ってくる生徒たちに、“つまずいた”大人の背中をどう見せていくのか。熱い試合とともに、南雲の再起をかけた後半戦も注目だ。
■番組概要
[タイトル]
日曜劇場『下剋上球児』
[放送日時]
毎週日曜よる9:00~9:54