TBSで現在放送中の日曜劇場『下剋上球児』。高校野球をとおして、さまざまな愛を描く、ドリームヒューマンエンターテインメントだ。鈴木亮平、黒木華、小日向文世、井川遥、生瀬勝久、小泉孝太郎、松平健ら豪華俳優陣が出演するのも見どころの1つ。
今回は鈴木亮平演じる南雲脩司の妻・南雲美香を演じる井川遥に三重のロケ現場での話や、南雲家の話を聞いた。
子どもたちのハプニングもあって賑やかで楽しい現場

――台本を読んでどんなことを感じましたか?
高校野球が題材の作品を、新井順子プロデューサー、塚原あゆ子監督、そして脚本家の奥寺佐渡子さんと女性中心のチームが描くというのが面白いと思いました。作品に温もりがあって女性の描き方も受け身ではなくて自立していますね。
回を追うごとに生徒1人ひとりのキャラクターがくっきりとしてきて、チームとしても形になっていく様子はとても応援したくなります。
また黒木華さん演じる山住先生によるナレーションが凛々しく、瑞々しくて作品にテンポを与えてくれて小気味良く青春を感じます。
その一方で早くも不穏な空気が広がって…この先にどんな困難が待ち受けているのか、明かされないでほしいような複雑な気持ちになりました。

――三重県での撮影はいかがでしたか?
三重は何度か旅していて、お伊勢さんはもちろんのこと、鳥羽で遊覧船に乗ったり大好きな牡蠣を食べたりと楽しい思い出があります。今回は牡蠣の養殖業を営む家の娘という役どころ。南雲家は海の目の前にあり、牡蠣の養殖の作業場と家屋が繋がっていて土間もあり独特なんです。その暮らしぶりや、波の音、光の反射…心地よくてとても気に入っています。
三重の持つ、のどかで心地よい風土も、お父ちゃんがいる3世代のつながりもいいなと思います。

――井川さんが演じる美香の役どころを教えてください。
鈴木亮平さん演じる南雲先生の妻で2児の母です。かつて東京で働いていて、今は実家に戻ってきています。美香は再婚で年上女房です。長男の青空と脩司が親子として暮らしていけるか1番の心配事だったと思うんですね。さらに自分の実家に拠点を移し、生活をスタートさせてくれた脩司の懐の深さに救われ、惹かれたんだと思います。
私自身は私生活ではもう幼児期の子育ては過ぎたので、撮影現場で眠気と闘ってうとうとしているなぎさ役の倉田瑛茉ちゃんを見ていると、懐かしくて可愛くて。でも私はこの可愛い時期は目の前のことに精一杯で楽しんだり出来なかったななどと回想しています。そんな中でも眠る前になんとか食べさせようとする母の逞しさ、みたいなものを活かしていければと思っています。子どもたちもいるので本番に起こるハプニングもひっくるめて賑やかに楽しくやっています。
塚原監督は新しいシーンを始める際、それぞれの役のその時々の心情を私たちにも聞いてくださったり、常に環境づくりに心配りをしてくださるので集中して撮影に挑めています。プランを一緒に練ることを楽しんで下さるので安心感がとてもあります。こういう気持ち、要素を滲ませてください、などと具体的な言葉を頂くことも多く、アプローチが変わるのでとても尊いと思っています。

――主演を務める鈴木亮平さんの印象は?
鈴木さんは責任感が強くてみんなをまとめていくんだという強い覚悟を感じます。現場ではいつも関わる人すべてに声掛けされていて、細やかで頼もしい人です。そして何事にもチャレンジすることをとことん楽しんでいるように見受けます。物事を構築的に捉えていて緻密。洞察力があるから何者にもなれるのかもしれないと想像します。でも時々大きな体でチャーミングなところもあって、ちょっとほっこりすることもあります(笑)
南雲家のシーンでは食卓を囲むことが多く、食事を共にする度に5人が家族らしくなってきたのを感じます。子どもが中心となるシーンが多いので、2人のシーンでは描かれていない夫婦のこれまでの時間や関係性を擦り合わせたりしています。

――これまで野球に興味を持っていましたか?
子どもの頃は家族と一緒に毎日のように野球中継を観ていました。解説やその後のプロ野球ニュースまで(笑)。セパ両リーグの話なんてする女の子はあまりいなかったので男の子とはスポーツの話をよくしていました。
姉がソフトボールを本格的にやっていたので付き合わされてバッティングセンターにもよく行きました。毎日お弁当を2食分早朝から用意したり、ユニホームの洗え替えが間に合わないと大急ぎで乾かしたり、選手を支える母の姿も6年間ぐらい見ていましたね。ですから野球がテーマの作品のオファーは嬉しかったです。

――このドラマの魅力をお聞かせください。
つまづきや挫折、また漠然とした不安に躊躇してしまったり、諦めてしまったり、なかなか前に進めないという経験している人は多いと思います。見守ってくれている人の存在に気づいたり、1つの出会いによって自分の可能性を切り拓いていくことを経験できることは素晴らしいと思います。今、悩みの中にある球児たちの姿からドラマを観て下さる方にエールを届けられたらいいですね。

――視聴者へメッセージをお願いします。
ドラマも中盤を迎え、南雲家も野球部も大きな局面を迎えています。甲子園を目指すこれからの球児たちの軌跡と、過ちをどのように償っていくのか、家族、地域の人々…それぞれの成長物語を見守って頂けたらと思います。球児たちの頑張りに手に汗握ると思います。応援していただける嬉しいです。ぜひご覧ください。
以前勤めていた東京のアート会社への復帰を決め、自身のキャリアを背負いながら、夫や家族を力強く支える決断をした南雲美香。演じる井川の“支えっぷり”をぜひ見届けたい。
■番組概要
[タイトル]
日曜劇場『下剋上球児』
[放送日時]
毎週日曜よる9:00~9:54