新番組『ジョンソン』担当・TBS高柳健人が語る、バラエティプロデューサー論

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放送がスタートとした新番組『ジョンソン』(月曜よる9時)は、2013年9月にレギュラー放送を終了した『リンカーン』の後継番組。かまいたち、モグライダー、見取り図、ニューヨークの4組が出演し、『リンカーン』でも人気を博した芸人大運動会などさまざまな企画を今後展開。

番組を手掛ける高柳健人プロデューサーに、『ジョンソン』にかける思いや、バラエティプロデューサーとしての考えを聞きました。

『ジョンソン』ではTBSが蓄積したバラエティのノウハウを発揮

ー『ジョンソン』は『リンカーン』の後継番組ということですが、『リンカーン』の後継番組を作ろうと思ったのはなぜですか?

高柳 『リンカーン』が2013年に終了してから、テレビ業界的にも情報をベースに作られた番組が多くなり、純粋なバラエティ番組がない状態が続きました。そんな中、TBSは2020年から『お笑いの日』をスタートし、『お笑いアカデミー賞』『キングオブコントの会』など新しいバラエティを作っていこうとする流れができました。そこで、「TBS=お笑いができる」というブランディング施策の一つとして、『リンカーン』のようなお笑い純度の高いコンテンツを作ってみようと始まったのが『ジョンソン』です。ダウンタウンさんにも、『リンカーン』の後継番組としてお墨付きをいただいています。

ー高柳さんはどういう経緯で『ジョンソン』のプロデューサーになったのですか?

高柳 『お笑いの日』『お笑いアカデミー賞』『キングオブコントの会』は同期の浜田諒介が総合演出、私がプロデューサーとして携わっているので、その流れで『ジョンソン』も一緒にやることになりました。

浜田は『リンカーン』のAD・ディレクターとして番組制作に参加していたので、『リンカーン』のノウハウが身に付いています。現役で『リンカーン』に携わっていた最後の世代でもあるので、このタイミングで『ジョンソン』をできるのはよかったと思います。

ー番組にはかまいたち、モグライダー、見取り図、ニューヨークが出演します。この4組を選んだ理由は?

高柳 自分が見ていてわくわくするような4組を選びました。かまいたちの濱家隆一さんは圧倒的な仕切りのうまさ、山内健司さんは突破力がある。モグライダーの芝大輔さんは元々吉本にいたこともあり、いろいろな事務所の芸人さんと仲が良く、信頼されていて、ともしげさんは自由度が高く予測不能な感じや、『水曜日のダウンタウン』で見せた相方愛がある。見取り図の盛山晋太郎さんはムードメーカーでイジられることも仕切ることもできるし、リリーさんはちょっと不思議でどんな人にも物怖じしないところがおもしろい。ニューヨークの屋敷裕政さんは何か起こった時に客観でも主観でもコメントできて、空間把握能力に長けているし、嶋佐和也さんは自分の感情を大事にし、嫌なことを嫌だとはっきり言えるところがおもしろい。8人それぞれのポテンシャルを引き出せるような空間を作っていきたいです。

ー番組ではどんなことをしていきますか?

高柳 初回は『リンカーン』でもお馴染みの大運動会で、芸人さんを60人ぐらい集め、山内さんと濱家さんのチームに分かれてさまざまな競技に挑んでもらいました。ほかにも、バラエティ的な体を張ったことや、8人ならではのいろいろな企画を考えています。

正直、お笑い番組なら深夜の方がいいだろうと思ったり、月曜9時からお笑い番組を見るかな?という疑問があったりしますが、視聴者に合わせて作るような番組ではないので、「月曜9時にジョンソンを見る」という習慣を作る必要があると思っています。最初はいろいろなパターンの企画をやると思うので、お口に合わないときもあるかもしれませんが、お付き合いいただきたいですね。

TBS高柳健人TBS高柳健人

『A-Studio+』や『水曜日のダウンタウン』で学んだ、番組制作の極意

ー『ジョンソン』や『お笑いの日』などすごく忙しいのでは?

高柳 全然です。私は出演者の皆さんが気持ちよくやれるように支えるだけなので。出演者の皆さんと演出・ディレクターの皆さんに非常に感謝しております。『お笑いの日』内で放送した『キングオブコント』も、番組として楽しんで見てもらうのはもちろんですが、ファイナリストの10組が本番で非常に良いパフォーマンスができるように、そして、これを機に今後思いっきり人気が出るようにしたいので、そのために頑張らせていただきました。

ープロデューサーとしてどんなことを意識しながら仕事していますか?

高柳 私は出演者がもう一度出たいと思える空間を作るように意識しています。やっぱり、「この番組に出るの嫌だったな」と思われたら、出てくれなくなってしまうので。そう思うようになったのは、『A-Studio+』の笑福亭鶴瓶さんのおかげだと思います。この番組は、鶴瓶さんと藤ヶ谷太輔さんの取材をもとにトークするので、ゲストの方に用意してもらうことが何もないんです。台本も2枚しかありません。それは、鶴瓶さんが「ゲストには来てもらうんだから、ゲストにカロリーをかけない。MCの俺らが汗をかく」「そして何より、気持ちよく帰ってもらいなさい」と仰っていたから。これを守ると番組は続くと思います。実際に、『A-Studio+』は15年近く続いていて、そのうち7~8年はプロデューサーをやらせてもらっています。

それと、出演者がつまらないと思ったら「つまらない」と言ってもらえる番組でありたいと思っています。例えば、『水曜日のダウンタウン』で松本さんが「今日はあんまりよくなかったな」と言ったところもオンエアするのは、健全だと思うんです。『あらびき団』の東野幸治さんと藤井隆さんもバッサリいってくれます。それが視聴者の気持ちを代弁しているのだろうし、だからこそ視聴者との信頼が生まれるのだと思います。

ー演者さんとのコミュニケーションで意識していることは?

高柳 出演者が番組のウィークポイントを言いやすい環境作りを心掛けています。やっぱり、出演者とスタッフが気を遣ったままだと指摘しづらいですし、出演者も何か提案する=文句を言っているように思われるとよくない、だから言わないとなると悪循環が始まってしまうので。ウィークポイントを言っても大丈夫というのは信頼してくれている証拠でもあるので、そうなれるように『ジョンソン』も頑張ります。

演出は自分が考えるおもしろいことを世の中に広げていきたいと考えていると思いますが、私は芸人さんが好きなので、どうしても演者さんに寄り添ってしまいます。無理をさせておもしろさを作るよりも、演者さんがやりたいことをストレートに表現している空間の方が自分は好きですね。

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■詳細:
TBS INNOVATION LAND 記事にて

 

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