富栄ドラム『VIVANT』まさか自分が出演できるとは

TBSでは毎週日曜よる9時から日曜劇場『VIVANT』を放送中。堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、二宮和也、松坂桃李、役所広司ら豪華俳優陣が集結した、限界突破のアドベンチャードラマだ。

今回はSNSでも大注目の元力士の俳優・富栄ドラムに、『VIVANT』に参加した経緯や役作りなどを聞いた。

毎日、笑顔の練習をしました

ーー出演が決まったときの感想をお聞かせください。

当初、僕はエキストラのオーディションに参加していました。福澤克雄監督の作品ですので、何とか選ばれたいと思っていたら、どんどん話が進んで。まさかレギュラー出演できることになるとは夢にも思いませんでした。

ーー俳優の道に転身されたきっかけは何だったのでしょう？

子どもの頃からTVドラマを観るのが好きで、憧れは強く持っていました。また、相撲を辞めるときに、それまで努力してきたこと、経歴も含めて自分の見た目や運動神経を活かしたいと考えたときに、俳優が頭に浮かびました。
去年の今頃は、まさか自分が堺さんたちと一緒の画面に映って演技をするなど想像すらしていませんでした。自分が今、ここにいるというのが、いまだに信じられないです。

ーーセリフを喋らないドラム。役作りで大変だったことはありますか？

最初はあまり感情のない機械の声のようなイメージで、表情の練習をしていたのですが、ドラムの声を務める林原めぐみさんの収録に立ち会わせていただいたときに、それまで自分が考えていたものが違うと思って役作りの仕方を変えました。林原さんの声があまりにもかわいすぎたんです。自分の芝居もかわいらしくしなければと、とても悩みました（笑）。

ーーモンゴルでの撮影で印象残っているエピソードはありますか？

第1話の登場シーンで運転していますが、実は事前の運転練習の時に、お腹がつかえてハンドルが回らなくなってしまったことがあって。そこから撮影までに必死にダイエットをしました（笑）。やせなかったら登場シーンが変わっていたかもしれません。
阿部さんには何度も励ましの言葉をかけていただき、堺さんにはお芝居のことを相談させていただきました。二階堂さんは、僕のせいでカットがかかっても、優しく微笑んでくれて。経験のない僕が演じることができたのも、皆さんの優しさがあったおかげです。

ーー原作・演出を務める福澤克雄監督の印象をお聞かせください。

撮影前に福澤監督から「表情というのは気持ちで作る」と教えていただいたおかげで、何とかドラムらしい表情が掴めてきました。野崎さん（阿部寛）やチンギスさん（Barslkhagva Batbold）とのシーンでは、監督のイメージと違ったらどうしようという不安もありましたが、キャラが濃いと褒めていただき、とても自信に繋がりました。
また、クランクインの前、素人の僕がいきなり現場に入って戸惑わないようにと、福澤監督の配慮でスタッフさんたちと親しくなる機会を与えてくださいました。スタッフさんたちと同じように赤坂に通い、行動を共にすることで早く溶け込めました。福澤監督は、僕にとても愛情を注いでくださり、本当に尊敬できる方です。
相撲では頑張っても結果を残せず、挫折を経験したのですが、そんな時にこのドラムというチャンスをいただいて……。

（やっと掴めたチャンスに感極まり言葉に詰まるドラム。ここで飯田プロデューサーが助け船）

飯田「彼は出演が決まってから、スタッフと食事も一緒にするという生活を続けていました。衣装合わせで、俳優さんにスタッフたちを紹介する時も最後にスタッフに混じって“ドラム役の富栄ドラムさんです”と紹介されていたぐらい浸透していましたね。自分の出演シーンがない現場にも、彼は顔を出していました。お芝居をあまり経験していない状態で、あれだけのキャストと同じ画面に映るためには、そうした立ち振る舞いは非常に重要です。この現場に限ったことではありませんが、そうした姿勢はキャストもスタッフも見ています。カメラマンは愛情を持って撮っていますし、そういった周りの気持ちが彼に伝わって、今回のドラムというキャラクターに現れているのではないかと感じています。福澤監督の愛情とアプローチの仕方があって、ここまで来られたのではないかと。毎日怒られていますけど（笑）。指摘されたことをしっかりと吸収して、素直に受け入れるところが彼が成長する一番の要素ですね」

ーー『VIVANT』を楽しみにしている視聴者の皆様に一言メッセージをお願いいたします。

堺さんたちがお芝居している後ろでの僕の仕草など、細部まで注目してくださっている視聴者さんがいらっしゃって、本当に嬉しく思います。
ぜひこれからの『VIVANT』も楽しんで観ていただければと思います。