8月28日放送の『クレイジージャーニー』(月曜よる9時)に出演したアンティークディーラーの石井陽青さんにお話を伺いました。

イギリスの骨董市巡りを振り返っていかがですか?
買い付けにはいつも一人で行くんですが、今回はテレビの方たちが一緒。いいものが見つかった時にお金が足りないと格好悪いので、普段よりちょっと多めにお金を持っていったんですよね。「いいものが見つかるかどうかは本当にわかりませんよ」と言って始まった旅ですが、結果的に見つかったし、お金もだいぶ使ったので、今、一生懸命商売しています(笑)。
今回の旅で特に思い出深いことはありますか?
一番うれしかったのは、みんなでものを探して、見つけた時に喜びを共有できたこと。プロデューサーやディレクター、運転手さん・・・それぞれが自分の仕事を一生懸命されていて、その皆さんから「いやー、いいものが見つかりましたね~」と言ってもらえた時はすごく感動しました。

スタッフの方たちは骨董市の同行取材だけでなく、早朝から夜まで撮影をして、ホテルに帰ってからも映像チェックやオンライン会議をされていたそうです。僕も日頃、買い付けやお客様と向き合う時は夢中になってしまって、休みもあまりない状態。だから今回、チーム感や昭和を感じられて楽しかったです。普通では味わえない経験をさせてもらいました。
お父様の背中を見て、この世界に入ったそうですね。
父親はもともと広告デザインの仕事をしていて、その後、骨董屋になりました。そのためアンティークに対してフィルターがかかっていなくて、まずは感覚でものを選ぶんです。反対に僕は真贋をすごく大事にするし、細かい部分まで調べてお客様に伝えるスタイルなので、父から「おまえは細かいとこを言い過ぎだ」なんてよく言われました。でも実際、お客様もたとえ無名の陶磁器でも、やはりキレイな絵に惹きつけられるんですよね。そういうことの大切さは父から学びました。僕も今、自分のスタイルに加え、父のような感性を磨いているところです。

我が家には昔から、父が趣味で集めたヨーロッパのおどろおどろしい置物や剥製がいっぱい飾ってあったんです。子どもの頃はそれが怖くてね。友達からも「アダムスファミリー」と呼ばれていました(笑)。
買ったアンティーク品を手放したくなくなることはありませんか?
そうですね。でもそういうものから売れていくんですよね(笑)。ただ、自分がいいと思ったものを誰かがいいと思って、僕の審美眼を信用して買ってくれる。それってすごくうれしいことです。その「もの」がなければその人とも出会わなかったかもしれないし、僕が価値を正確に調べ抜いて伝えることで、きっと大切にしてくれるでしょう。そうすることで「もの」も喜ぶし、この先も残っていく。いいものだから残るんだと思います。

世界中を旅しながら時間軸も旅をする。すてきなお仕事ですね。
ありがとうございます。僕はコインも扱うので、例えばローマの遺跡を訪ねた時に「もしかしたらカエサルもこのコインを手に取ったかもしれないな」と空想したり、イギリスのアンティークジュエリーには刻印が入っているので「これは僕のお爺ちゃんのお爺ちゃんが生きていた時代だな」と思ったり。そういう古いものが自分の手の中にあると思うと、すごく不思議な気持ちになります。
「もの」を通して時代と自分がつながっていると感じられるのがアンティークの良さだし、それをお客様と共有できるのがディーラーという仕事の魅力。勉強すればするほど世界も広がっていくので楽しいです。
番組情報
『クレイジージャーニー』
毎週月曜よる9時から放送中