“別班は実在します”『VIVANT』公安監修者インタビュー

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TBSでは毎週日曜よる9時から日曜劇場『VIVANT』を放送中。堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、二宮和也、松坂桃李、役所広司ら豪華俳優陣が集結した、限界突破のアドベンチャードラマだ。

今回は、野崎守(阿部寛)や新庄浩太郎(竜星涼)が所属する警視庁公安部外事4課をより深掘りするため、公安監修として本作に携わっている勝丸円覚氏に具体的な仕事内容やドラマの魅力などを聞いた。

阿部さんと竜星さんは、公安部として理想的な組み合わせ

日曜劇場『VIVANT』公安監修者インタビュー日曜劇場『VIVANT』公安監修者インタビュー

――今回、監修のオファーがあった経緯をお聞かせください。

プロデューサーの方が私の著書を読んでくださっていたようで、お声掛けをいただきました。そして1年前ぐらいから、台本への監修として携わらせていただきました。
現在も、撮影現場で公安の立ち振る舞いや言葉づかいなど、確認事項が発生する度に、スタッフさんとやりとりをしています。

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――出来上がった台本を読んだときの感想はいかがですか?

野崎さんや新庄さんのように海外の大使館で情報収集する人たちを“警備対策官”と呼ぶのですが、警備対策官か自衛隊の大使館勤務経験者が書いた物語かと思いました。もしくはそれらの経験者に限りなく近い場所にいる方が書いたのだと。
あとで、福澤克雄監督と脚本家の皆様で作ったと知り、とても驚きました。

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――野崎が所属する警視庁公安部外事4課とはどういう部署なのでしょうか?

公安部は警視庁の中にある部署で、刑事部が殺人事件などを捜査するのに対し、公安部はそれぞれ監視対象を決めて、事件を未然に防ぐことを目的として動いています。
野崎さんたちの外事4課は、日本に有害なスパイ活動やテロ活動をする団体や個人を監視しています。
また、海外では警備対策官のほかに領事としての肩書きも持っていますので、普段は日本人がパスポートを紛失したときに再発給したり、被害に遭って警察署に保護された日本人を救出したり。警備対策官としてはそれらの業務の合間を縫って活動していることになります。普段は地味で単調な仕事です。
いざ本格的に活動するとなると、大使館に出勤することはありません。このときは他の大使館職員はまったく知らず、直属の上司だけが状況を把握しています。
今回、取り上げていただき、そういう仕事があると皆さんに知っていただけて嬉しいです。

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――公安の仕事で苦労したエピソードをお聞かせください。

野崎さんたちのように海外で活動する“外事警察”は仲間がいないということです。
日本のロシア大使館や中国大使館にいるスパイは日本で活動します。それらを追う外事警察は、国内に仲間がたくさんいて、捜査によっては人員を確保することができます。ワシントンのような大規模な日本大使館には警備対策官が複数配置されていますが、通常は1人体制なので、国内で動くときのような応援は見込めません。
さらに、情報提供者の身元が怪しい場合は本当に危険です。誘拐されるかもしれないですし、銃を突きつけられるかもしれない。すべて1人で危険を回避しなければならないところが、海外においての情報収集の大変なところです。
私が海外赴任していたときは、自宅周りを散歩したことすらありませんでした。常に命の危険が付きまとう仕事です。

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――野崎を演じる阿部寛さん、新庄を演じる竜星涼さんの印象はいかがですか?

私がいた世界をカッコイイお2人が演じてくれているのが単純に嬉しいです(笑)。野崎さんは自身の才覚でピンチを切り抜けるのですが、阿部さんは絶対に取り乱さない。冷静に判断し、行動している姿はとてもリアルに演じてくれているという印象です。実際に、選び抜かれた野崎さんのような人物がこの部署や役職へ配属されるので。
新庄さんは、“相棒を組むならこういう人物”という姿を見事に見せてくれています。1つ指示したら、気転を利かせて、5も10も動いてくれるような部下。それを的確に演じられている竜星さんは、素敵な俳優さんだと思いました。
野崎と新庄の組み合わせはとても素晴らしいです。

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――『VIVANT』という作品をどう思われますか?

野崎さんのセリフに“日本にはアメリカ軍施設や重要施設がたくさんあるのにテロが起きていない”とあるように、日本でこれまで大きなテロが発生していないのは、海外も含めてテロの計画を未然に防いでいる人間たちがいるということ。
そのことがドラマを通して人々により伝わるという意味で、この作品が社会に与える影響は大きいと思います。
実際に口外できない情報はたくさんあります。

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――最後に。“別班”は実在しますか?

……います。自衛隊には情報本部という部署があり、その中に秘密部隊の“別班”があるんです。
“別班”ができた経緯などを記した本も出版されていますので興味のある方はぜひ。

【勝丸円覚(カツマルエンカク)プロフィール】
作家。セキュリティコンサルタント。
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてからは、一貫して公安、外事畑を歩む。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活動。

■番組概要
[タイトル]
日曜劇場『VIVANT』
[放送日時]
毎週日曜よる9:00~9:54

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