TBSでは、毎週火曜よる10時から福原遥&深田恭子のW主演ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』を放送中。福原が演じるのは、キュレーターになるという夢に向かって歩き始めた直後に予期せぬ妊娠が分かった18歳・仲川有栖。そして深田が演じるのはアラフォーで仕事に生きて恋を後回しにしてきたアートスペシャリスト・成瀬瞳子。この2人が年の差を超えた"シスターフッド(=女性の絆)”を築き、それぞれが訳アリ男子と恋に落ちるというラブストーリーだ。
今回は、本作の医療監修を務める産婦人科医の野間桃氏にインタビュー。女性の生涯に寄り添う存在である産婦人科医の立場から、本作について感じていることなどを聞いた。

18歳の有栖が直面する「若年妊娠」
日本では2022年4月、成年年齢が18歳に引き下げられました。それに伴って、日本産科婦人科学会でも、18歳、19歳の青少年期の妊娠に対する考え方や、妊婦さんへのアドバイス内容も変化していると感じます。もちろん、患者さんによって状況は異なるので一概には言えませんが、今回の主人公・有栖のように18歳であればパートナーが不在でも、自分自身で産む、産まないの選択をすることができるようになりました。
18歳であれば産婦人科にかかることすら初めてという患者さんも多いかと思いますが、安心して受診・検診を受けていただけるよう、心がけています。
産婦人科医の立場としてお伝えしたいのは、有栖のように出産を決断するというのはあくまでも症例のひとつだということ。松本若菜さん演じる柴崎薫先生のセリフにあったように、望まない妊娠だったり、産めない事情があった場合、妊娠を中断することは決して悪いことではありません。ほかの決断もありえたと思っています。

40歳の瞳子が直面する「婦人科疾患」
もう一人の主人公・瞳子のように、仕事一筋などを頑張ってきた女性が、婦人科を受診して初めて自分の身体について知り、悔しい思いをする…というケースは少なくありません。40代に限ったことではなく、20代や30代でも、血液検査で残された卵子の数が判明し妊娠しづらいという診断結果が下ることもあります。
私は不妊治療を専門としているので、年齢によるリミットを特に理解しています。自然妊娠率が数%にまで低下する40歳は、“まだ”ではなく、“そろそろ”でもない。“もう”選択を迫られる年齢であることは事実です。けれど生殖医療分野の進歩により、40歳以上で初めて不妊治療開始して、妊娠出産する例も増えました。昨今では社会的卵子凍結が話題となり、体外受精・顕微授精などの高度な技術によりさまざまな治療選択ができます。実際45歳以上でも年1600人以上の方が出産されています。
治療を受けることで、わずか数%の可能性を少しでも高めることができるなら挑戦したいという思いで治療を受けられています。もちろん医療費も高額ですし母体の身に危険が及ぶ可能性も少なくありません。
幅広い年齢層の患者さんと接している産婦人科医として、瞳子のようにこれから好きな人と出逢い、将来を考える人にも、納得できる人生を過ごすためのお手伝いが出来たらと思っています。

後悔ではなく幸せを見つけるきっかけが「プレコンセプションケア」
授かった命、たった一度の人生で、どのような選択するか。そこには何のルールもありません。人によって何を幸せととらえるかは異なりますし、自分自身で決めることだと思います。そこにはきっと十人十色、オリジナルストーリーがあっていいと思います。
そのうえで産婦人科医という立場でできることは、「プレコンセプションケア」や「婦人科検診」の意義や大切さを広め、検査を受けやすい環境をつくること。また検査を通して、自分自身の身体を理解することで、どんな人生にしたいか、どう幸せをつくっていくか…そんなことを考えるきっかけをつくることのお手伝いです。その際、寄り添える存在として産婦人科医がいることを理解していただけたらと思います。
今「将来、いつか子どもが欲しい」という思いや、「我慢しているけれど、本当は生理痛がきついな…」などの悩みがある方がいたら、ぜひ産婦人科医に相談をしてみてください。
ドラマの「医療監修者」という仕事とは?
医療機器の使い方や患者さんとの向き合い方など、医療技術の指導を行っています。また本作はオリジナルストーリーなので、医療場面の治療の流れや主人公たちが向き合う状態や疾患の設定、また薫先生のセリフについての提案も初期段階からさせていただきました。
これから夢に向かって期待いっぱいに進む18歳で妊娠が分かった有栖を通して、成人することの意味や若年妊娠、性教育、中絶などについて知っていただきたいと感じました。一方、まっすぐ一生懸命歩んできたらあっという間に40歳を迎え、年齢の壁を知った瞳子を通して、キャリアや結婚、妊娠出産、検診、卵巣機能、婦人科疾患などについて考えていただけたらと感じています。
産婦人科医として、どう役に立つことができるのか。私自身も自分にできることを探しながら、全力でお手伝いさせていただきたいと思っています。
「瞳子と一緒になって有栖の身体を心配したり、親友の恋愛を応援したりする薫先生のように、人々のハッピーをお手伝いし、人生を笑顔で送ってもらえるようにエールを送ることが私の人生の役割で、幸せ」と話してくれた野間氏の笑顔がとても印象的だった。
■番組概要
[タイトル]
火曜ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』
[放送日時]
毎週火曜よる10時~10時57分