『VIVANT』福澤克雄監督インタビュー「自分がおもしろいと思ったものを一生懸命つくる」

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TBSでは、7月16日(日)よる9時から日曜劇場『VIVANT』(読み:ヴィヴァン)がスタート(初回は108分SP)。堺雅人阿部寛二階堂ふみ松坂桃李役所広司ら豪華俳優陣が集結した、限界突破のアドベンチャードラマだ。

作品に関する内容が事前にほぼ公開されていない本作。今回は、そんな“閉ざされた”作品の原作・演出を務める福澤克雄監督に話を聞いた。

日曜劇場『VIVANT』日曜劇場『VIVANT』

これまでに観たことがないドラマをつくる冒険へ

――日本の連続テレビドラマ史上、かつてない壮大な規模、そして内容のドラマとのこと。『VIVANT』を制作しようと思われたきっかけを教えてください。

今回の企画は、3年ぐらい前の深夜に車内で聴いたラジオがヒントになっています。
これまでにない規模の海外ロケを敢行しようと決めたのは、ドラマ上で起こる大きな出来事を表現するため。日本ではなく、どうしても海外の景色が必要だったんです。
“砂漠”や“ラクダ”など、日本の非日常を取り入れることで、それをひと目で理解していただける画づくりができると考えた結果、今回はモンゴルでのロケを決断しました。
さらに、海外の風景や人物に触れることで、改めて日本の素晴らしさ、日本人の寛容さを思い直したいという意図も含まれています。

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――第1話の中でお気に入りのシーンを教えてください。

第1話では、さっそく一番撮影で苦労したシーンが登場します。それはCGも使えない、どうなるかも分からない、動物たちが登場するシーンです。羊や山羊の大群が暴走するシーンは、撮影は大変でしたが、今までに見たことのない、見応えのあるシーンになっていると思います。
今回は、放送前にほとんど内容を明かさないまま初回放送を迎えます。皆さん、どんな想像をしていただいていますか。堺雅人さんや阿部寛さんが持つイメージから、“企業モノだ”と思っている方もいると思いますし、二階堂ふみさんが白衣を着ている写真をご覧になって、“医療モノなんじゃない?”という推察をしている方もいらっしゃるのでしょうか。謎が多いまま始まりますが、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

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――2か月以上にわたったというモンゴルロケ。印象に残っている滞在中のエピソードを教えてください。

とにかく雄大でした。モンゴルには人間と動物が共存するという文化があります。その様子を目の当たりにして、崇高さを感じました。
砂漠は、“昼は暑くて、夜は寒い”というイメージですが、正直疑っていたんですよ。でも本当でした(笑)。日中では日差しが強くTシャツ姿で十分なのに、夜はダウンを着るほどの寒さ。驚きでしたね。また砂漠とひと言でいっても、いろいろな“表情”があります。時には、一晩で景色が変わってしまうこともあります。砂漠の中のどの場所でロケをすればシーンをより表現できるか、さらにスタッフ、キャストが安全に撮影に臨めるか、時間をかけて探しました。
砂漠に限らず、今回我々が行った場所は、モンゴルの撮影隊ですら慣れていない場所ばかり。撮影を円滑に進めるため、去年の7月ごろからずっと滞在している日本人スタッフもいたほど。
それぐらい海外らしさのある画にこだわりました。第1話を見ていただければ、僕たちがモンゴルで撮影をすることにこだわった理由も、感じていただけると思います。

――出演者の方々の印象はいかがですか?

一番難しい役をお願いしたのはやはり堺さんです。ここではあまり多く言えないのですが(笑)、言うなれば今までの堺さんとは違う面をたくさん見せてくださっているのではと思います。
また、阿部さんとも今回またご一緒できて嬉しく思っています。真剣に演じている姿にクスッと笑える、阿部さんが演じるキャラクターには毎回それがあるんです。今回のストーリーを描くにあたり、そんな阿部さんのキャラクターはなくてはならなかったんです。
二階堂さん、松坂さん、役所さんなど、魅力的な俳優さんたちが、それぞれのキャラクターを、魅力的に演じてくれています。
さらに今回、モンゴル国内や世界で活躍されている俳優さんたちも多く参加していただき、この物語を盛りあげています。特にモンゴル人の俳優さんたちは、3度にわたるキャストオーディションを行って決定しています。彼らのお芝居にもぜひご期待ください。
国内外、そうそうたる俳優の皆さんを含めた『VIVANT』チームの共通認識は、視聴者の皆さんに、より自然にドラマの世界に没入してもらいたい、ということ。
たとえば状況を説明する場面こそ、どういうセリフ回しなら、テンポ感を崩さず、すんなりと起きている状況や物事を視聴者に伝えられるかを考えてくださって、いろいろな提案をしてくださいました。結果、人間同士のよりリアルな会話を撮影できたと思います。

 

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――第1話の見どころを教えてください。

僕は映画『スター・ウォーズ』シリーズの大ファンなのですが、やっぱり物語は主人公が“冒険”をしていないとおもしろくない、作品を観て夢中になれないと思うんです。
たとえば、連続ドラマの初回は、主人公はどんな性格で、どんな職業に就いているかなどのキャラクター説明を丁寧にしてしまいがち。でも今回は、そういう細かいことは一切考えず、“おもしろい” “あっという間に観ることができるドラマ“を目指しました。
どうなるかわからない“冒険”をぜひ一緒に楽しんでください。

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――本作における福澤監督の“冒険”とは?

「これまで観たことのないドラマをつくること」。
それには、思い切りが必要だと考えています。
世の中には数多くのヒット作と呼ばれるものがあると思うのですが、視聴者の皆さんは、そのはるか上を期待してドラマを観てくださってると思うんです。だからこそ、成功したパターンをなぞっているだけではいけないし、観る側の期待が上がったなら超えていくしかない。言うのは簡単ですが、具現化することは難しいのですが。
だから僕には、“自分がおもしろいと思ったものを一生懸命つくる”ことしかできないなと思ったんです。そしてそれを継続する。それが今、僕にとっての “冒険”だと信じています。

■番組概要
[タイトル]
日曜劇場『VIVANT』
[放送日時]
7月16日スタート
毎週日曜よる9:00~9:54
※初回は108分スペシャル

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