全国から希望者が集まる、人気の秘密とは
全国から入園希望者が集まるという、私立認可保育園「小俣幼児生活団」(栃木県足利市)。人気の理由である、“子どもの自主性を育む”という独自の保育法を紹介します。
① 子どもが自由に時間を使える
園には決められた時間割はなく、子どもたちが自由に時間を使うことができます。「たけのこ掘りをしたい」といった行事や予定も、園児たち自らの提案で決めるそうです。

こうした取り組みを可能にしているのが、園の環境です。
園庭は野球グランド一面分に相当する、約3000坪もの広さ。大きな池や果樹園、冬にソリ遊びができる斜面などがあり、四季の移ろい豊かな里山すべてが遊び場になっています。

自分の興味により、さまざまな場所で遊ぶ子どもたちを、保育士が手分けして見守っています。
② 給食はバイキング形式
園の給食は、子ども自ら取り分けるバイキング形式を導入。保育士が手伝うところから始めて段階を踏み、2歳から自分で行うそうです。

子どもたちは経験を積むうちに、自分の食べられる適量がわかるようになるといいます。
また、何を食べるかも園児の判断に委ねており、時にはイチゴとご飯のみを選ぶ子どもが出る場合もあります。

しかし、保育士は「食事が嫌じゃないって育った子の方が、食べてみようという気持ちは育つと思う。そういうところを大事にして、無理強いしない」と見守っています。
③ 保育士はケンカの仲裁に入らない
大ケガの危険がある場合を除き、保育士がケンカの仲裁に入らないのも特徴です。
たとえば年長の子どもたちの場合、保育士は「話はできるので、きっと彼ら同士で解決できるんじゃないか」と考え、落ち着いた頃合いを見て声をかけることも。

一方、コミュニケーションを取るのが難しい1歳児同士の場合は、「『貸して』って言った方がいいんじゃない?」などと声をかけ、助言に徹して見守ります。
こうした接し方は「ケンカするのでも自分が起こしたことだから。最後まで責任を持つ」という考えから。

保育士は「何もしないわけじゃなくて、何が必要かを考える。長い目でその子の人生を考えたうえで、その瞬間がどうかっていうのを考える」ようにして、先回りしない保育を実践しています。
70年以上支持される、“奇跡の保育園”
独自の保育法から“奇跡の保育園”と呼ばれ、70年以上にわたって支持される「小俣幼児生活団」。年代を問わず、卒園生からの手紙が届き、園を訪ねてくる人もいるそうです。

園長先生は「『隣の家の子より、うちの子の方が掛け算九九が早くできた』、そんな幸せではないんです。子どもが幸せになることが保育の純粋な姿」と信念を語ります。「子どもたち一人一人が、幸せな人生を全うできるように」という願いのもと、今日も子どもたちを育んでいます。
TBSで毎週土曜日に放送されている『バース・デイ』では、さまざまな“人生に刻まれた 忘れられない大切な一日”に注目し、紹介をしています。
バース・デイ
土曜ごご5:00~