上川隆也 役のイメージは字面からインスパイア!?『ラストマン-全盲の捜査官-』インタビュー

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TBSでは現在、福山雅治主演の日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』を放送中。事故で両目の視力を失ったFBI特別捜査官・皆実広見(福山)と、そのアテンドを任された大泉洋演じる護道心太朗だ。本作はそんな2人が凸凹バディを組んで難事件に挑んでいく痛快ドラマである。

今回はエリート警察一家・護道家のサラブレッドであり、警察庁次長、そして心太朗の兄であり、泉(永瀬廉)の父親でもある護道京吾を演じる上川隆也に話を聞いた。

『ラストマン-全盲の捜査官-』上川隆也インタビューラストマン-全盲の捜査官-』上川隆也インタビュー

――台本を読んだ印象はいかがでしたか?

京吾の第一印象は尻尾の掴みづらい人物という感想でした。ヘタなさじ加減をしてしまうと、本来この物語が求めている“筋”を大きく違えてしまうことになりかねないと感じたので、台本にあるままに演じようと思いました。その中で僕がインスパイアされたのは、このキャラクターの「名前」です。「京吾」という名前の文字面を「吾京」→「わが街」という意味で捉え、さらに「護道」という苗字も含めて、「都の行くべき道を護る男」というイメージを京吾の役柄として受け止めました。そう考えたら、彼の見据えている方向を掴めたような気がしたんです。撮影では、京吾の方向性の幅を狭くするか広くするか、加減をしながら楽しく演じています。物語が進むにつれ、京吾にとって、そして護道家にとって、あぶり出されるべきでなかったものが、だんだんと目の当たりになっていくわけですが、それも含めて京吾は、「自分の街の一つの要素」として捉え、拒絶するのでもなく、黙って受け止めるのでもなく、自分と向き合い、自身に収めようとする人物なのだろうと僕は受け止めています。

――京吾を演じるにあたり、意識した点を教えてください。

名前から受け取る印象と同時に、京吾が持っている「家族愛」は大事に演じています。息子の泉に対してはもちろん、心太朗や父の清二(寺尾聰)や妻の汐里(森口瑤子)に対しても、京吾は、表現があからさまでないものの、内にある愛情はとても深い人物なのだと思っています。またその感情は組織に対しても裾野が広がっているようにも感じます。護道家自体が警察そのもの、警察の根幹を担ってきた一族なので、自分のパーソナリティと警察組織が分離するものではないという意識がある。京吾にとって、家族を守ることと組織を守ることは、同じロジックというイメージです。だからこその立ち居振る舞いや、物言いを意識しながら演じています。僕が役を演じるときは常に「演じる人間としての心境」と「個人としての心境」が同居している状態。なので、いろいろな感情を目の当たりにしながら、それをどう受け止めているのかを、役としても自分自身としても、心の動きを同時に味わいながら演じています。それがお芝居をしていくことの醍醐味でもあり、楽しみでもあると思っています。

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――息子役の永瀬廉さんの印象はいかがですか?

彼の持っているアジリティ、芝居における俊敏さは、ひとかたならぬものだと感じています。特に今回は “大泉洋”という人物もいるので(笑)。大泉さんは本番直前まで撮影現場のみんなを巻き込んで現場を笑わせ盛り上げてくれるのですが、それが相当シリアスなシーンの直前まで行われていても、廉くんはきちんと本番をこなすんですよ。これは廉くんのこれまでの経験に裏打ちされたものであるのでしょうが、その力を「日曜劇場」という大舞台で十分に発揮し、先輩俳優たちに気後れすることもなく、日々その実力を魅せていることは驚嘆に値すると思います。

――主人公・皆実を演じる福山さんの印象はいかがですか

福山さんとはドラマでは13年ぶりの共演。人としての懐の深さが格段に大きくなられているという印象です。その面がいい形で皆実というキャラクターにも活かされているように思えます。ちょっとした一言のあとに見せる笑顔のような、小さな表情の変化だけで人の心を捕えたり、一瞬で懐に入り込んでしまったりするキャラクター性は、実は福山さんご自身が持ち携えているもののように思えます。
これはもう、“愛され力”とでもいうのでしょうか。芝居をしているとき、ふとした瞬間に福山さんに引き込まれてしまいそうになる。だからこそ、京吾のキャラクターを僕の中でしっかり作ってから対峙するように心がけています。他の俳優にはない、福山さんが持つ大きな魅力だと思っています。

――共演回数の多い大泉さんについてはいかがでしょうか。

彼が撮影現場を和ませられる一因には、ある種のシニカルな目線があると思っています。物事を一側面だけではなく、揶揄するような目でも見ているからこそ、そこにある隙間や可笑しみを見出していけるのだと。そして、そのシニカルな目線が今回の護道心太朗という役にも反映されているように感じます。
おもしろさに転嫁しない心太朗の目線、大泉洋というフィルターを通さずにシニカルなまま受け止めた世界を心太朗に振り向けている。それが雑味なく表現されているところがまた、大泉洋という役者の持つポテンシャルなのではないかと思います。

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――京吾から見たドラマ終盤の見どころをお聞かせください。

物語が進み、心太朗が護道家と血の繋がりを持たない人物であることが明らかになりました。そして心太朗の実の両親の存在が明らかになるにつれ、過去の事件との繋がりも見えてきました。皆実と心太朗のバディが解く事件の醍醐味とはまた違った、もう一つの大きな流れの行き着く先を、どうか最後まで見届けていただきたいと思っています。
それに伴い、最初は皆実たちと反目していた佐久良班の面々との人間関係も変化していきます。泉と吾妻の関係も気になるところですし、京吾が皆実の敵なのか味方なのかも含め、どのように観ても楽しめる仕掛けになっていますので、それらの部分にも注目して、楽しんでいただきたいと思います。

■番組概要
[タイトル]

日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』
[放送日時]
毎週日曜よる9時~9時54分

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