ペントレ誕生のきっかけとは?宮﨑真佐子Pインタビュー『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』

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TBSでは、毎週金曜よる10時から山田裕貴主演の金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』を放送中。同じ電車の一両に乗り合わせた見ず知らずの乗客たちが、未来の荒廃した世界へワープし、生き抜くためにサバイバル生活を繰り広げる予測不能のヒューマンエンターテインメントだ。

物語が佳境に差しかかる中、今回は宮﨑真佐子プロデューサーに物語の誕生秘話などを聞いた。

企画のきっかけは毎日の満員電車

ドラマ誕生のきっかけは、宮﨑自身が毎日通勤で利用する満員電車の中だったという。
「満員電車の中ほど赤の他人と近くにいる場所はないと思ったんです。ふと周りを見ると、老若男女、いろいろな乗客がいて、その一人一人に人生がある。まさに社会の縮図を感じたんです。しかもそのほとんどが、片手にあるスマートフォンの小さな画面の世界に没頭しているじゃないですか。もしその画面がなくなったとき、この人たちはどうなってしまうのだろう。どこか別の世界に飛ばされて、サバイバル生活を送ることになったら、いろいろなドラマが生まれるんだろうな、と思ったのが、このドラマをつくりたいと思ったきっかけです。赤の他人だからこそ生まれる人間ドラマを観てみたい。通信ツールでなく、直接、人と人とが関わる大切さをメッセージにしたドラマをつくりたいと思いました」

『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』Pインタビュー『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』Pインタビュー

登場人物それぞれが自然と生き始めた

本作はオリジナル脚本。宮﨑は、脚本家の金子ありさ氏とともに、それぞれの登場人物について“こういうときは、こうなる人だろう”と、幾度となく推敲を重ね、物語を紡いできたという。
「その結果、現場で自然と生まれるお芝居が最高にいい。どんな人でも、何かしらの悩みや背負っているものがあって、それは表面上やちょっと接したぐらいでは分からなくて。でも、本気でぶつかりあうと分かってくる。それを、一見対極にある直哉(山田)と優斗(赤楚衛二)というキャラクターに表したいと思いました。例えば直哉は、第6話で『一番弱いやつ』と山本(萩原聖人)から言われますが、それを『やめろ』とかばうのは優斗で、人間誰しも弱い所があると分かっているし、直哉自身も自分の弱さを分かっていて、そういう直哉を分かっているのが、最初は対立していた優斗で。実は『やめろ』はアドリブだったのですが、二人の関係性が表れた名シーンだと思います」
また、直哉を演じる山田裕貴について尋ねると、「こちらの想像を超える役に仕上げてくれる、お世辞抜きに、すべていいシーンにしてくれる俳優さん」と笑顔で答えた。
「特にそれを強く感じたのは、第3話で直哉の過去を描くシーン。まだ撮影が始まって序盤だったのですが、直哉ってこういう人なんだと教えてもらった気がしました。直哉が美容師の資格を取得して美容師になった日、真新しいハサミを見るというシーンです。台本には“真新しいハサミを手にする”“笑顔になる”としか書かれていなかったのですが、山田さんはハサミを握り締めて、うれし涙を流したんです。ただ合格してうれしいという感情だけではなく、これまでの苦労が報われた瞬間の直哉の心情を見事に表現したシーンになりました」

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撮影を見守ってきた中で印象に残ったシーンとは?

宮﨑曰く、山田と赤楚など、本作で初共演を果たしたキャストが多いことが、第1話、2話の撮影を行うにあたり、利点となったそうだ。
「ギスギスした中で共同生活をはじめた乗客たちが、第3~5話で団結していく、というストーリーに重なるように、キャストの皆さんの連帯感も生まれました。皆さんの仲が深まるにつれ、お芝居にも阿吽の呼吸のような一体感を感じたんです。たとえば第3話で描かれた、ようやく5号車の乗客全員で食事をするというシーン。田中弥一(杉本哲太)が毒を入れたかもしれないと騒然となり、直哉と優斗が意見をぶつけ合う場面がありましたが、第1、2話を経験しているからこそ、台本で描かれていた以上に、強く熱いぶつかり合いに昇華したと思います。また加藤祥大(井之脇海)と米澤大地(藤原丈一郎)のコンビも、仲良くなる設定は最初から考えてはいましたが、撮影現場では台本以上の友情が感じられました」
俳優一人一人に、自分の役が深く染み込んだからこそ撮れた場面として挙がったのは、「第7話で、元の世界に帰れるかもしれないとなったときのみんなの表情。直哉は、自分でもどうしたらいいか分からない、優斗はみんなを戻したい。玲奈や小春は戻りたくない…と、セリフがなくても伝わるお芝居を皆さんがしてくれていたんです」
そして第6話での大乱闘も印象に残っているそうだ。「同じくワープした6号車の乗客と戦うべきか、仲良くすべきかを議論するうち、6号車の面々が5号車に乗り込んできたシーンです。米ちゃんが5号車の上で、涙ながらに“戦うのはやめよう!”と訴えかける場面には、胸が熱くなりましたね」

Official髭男dismには”乗客の青春ソング”とオファー!?

主題歌を担当するOfficial髭男dismへのオファーは、企画を思いついた段階から行ったそう。
「Official髭男dismの皆さんと打合せをしたときには、“乗客たちがサバイバルな環境で出会ったのでなく、もし普通に出会い、青春を送っていたらそのシーンに合う曲を”とオーダーしました。こちらからお渡ししたのは、企画書と第1話と第2話の台本のみでしたが、予想を遥かに上回る曲が送られてきました。初めて聞いたとき、脚本の金子さんと『私たちより直哉の気持ちを分かっているんじゃない!?』と、感激しました」

『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』Pインタビュー『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』Pインタビュー

第8話では“究極の選択”が描く

サバイバルシーンの連続で、撮影は常に過酷。「その影響からか、キャストもスタッフも、地面が平らな場所での収録は、逆に落ち着かない…と笑いながら話しています。感覚が麻痺してきました(笑)」とのこと。
そんな過酷なドラマの第7話終盤、直哉たちは元の世界に帰れるかもしれない手がかりを見つける。しかしまだそれも仮説の段階。確実でないうえに、もしかしたら死んでしまうかもしれないし、元の世界ともまた違う世界にワープしてしまうかもしれない、という状況に陥る。

最後に第8話の見どころを聞いた。
「イチかバチかの賭けで帰るのか、それともここに残って命を繋ぐのか。今までずっと協力して生き延びてきた5号車の乗客たちは、ここでもう一度、自分の命を賭けた究極の選択を迫られます。果たして彼ら1人1人がどんな答えを出すのか、ぜひ最後までご覧ください!」

■番組概要
[タイトル]
金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』
[放送日時]
毎週金曜よる10時~10時54分

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