TBSで放送中の毎週火曜よる10時から橋本環奈主演の火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』。原作はわたなべ志穂による同名漫画で、大好きな家族を守るべく結婚を選んだ“ド貧乏なシンデレラ”と、業績不振の結婚式場を立て直すため、好きでもない女との結婚を選んだ“ツンデレ御曹司”が繰り広げる胸キュンラブコメディだ。
本作に欠かせないもののひとつが美術デザイン。以前、主人公・羽田綾華(橋本)が家族とともに暮らす羽田家のセットについて紹介したが、今回は美術デザイナーの雨宮里美氏に、ツンデレ御曹司・新田東郷(山田涼介)が、綾華とともに暮らす部屋のセットについて話を聞いた。
アートが好きな東郷らしい部屋になりました
――東郷の部屋のコンセプトについて教えてください。
山田涼介さん演じる新田東郷は、桁知らずのお金持ちである新田ホールディングスの御曹司。初めて東郷の部屋を訪れたとき、綾華も弟の陸(長尾謙杜)も、思わず驚きの声を上げたほど。そんな“夢のある空間”“ファンタジー感”のあるものになるよう心がけました。
インパクトのある広さを演出するために、まず、部屋はあまり間切りせず奥行きを持たせることにしました。ダイニング、リビング、そして奥のトレーニングスペースやシャワールームやサウナまで、すべてをドンっと一目で?見渡せるほうが、空間が広く感じられると思い、リビングとトレーニングスペースの間を躯体(建物を支える骨組み)で間切りするだけにとどめています。

また高級感を演出するため、天井を実際より高く見せること、そして曲線をたくさん使うことにも意識しました。特にポイントとなるのは、曲線の躯体。通常の住宅に使うとやや値段が張りますが、新田家の御曹司の自宅らしく、お金に糸目をつけずにふんだんに用いています。曲線をふんだんに使った部屋は、東郷を演じる山田さん自身が持つ、しなやかさや柔らかさ、優しさにもぴったりだなと感じています。
東郷は、感激したときに“ブラビッシモ!”(イタリア語で「素晴らしい」の意味)と叫ぶなど、イタリア語が堪能で、留学経験もあるというキャラクターなので、プロデューサーと相談して“アート好き”という一面を持たせることに。マンションの一室に住んでいるのですが、東郷が壁紙や躯体、大理石の床など、すべてにこだわって改装したことが感じられる部屋になりました。

――広いリビングに置かれたカラフルなソファはひときわ目を惹きます。
ソファやテーブルはもちろん、ラグやテレビの両脇に置かれたスピーカーなど、ひとつひとつにこだわって、スタッフが集めてきました。素材やデザインなど見た目が個性的なことに加えて、すべてが高級品。御曹司の東郷なら、家具や装飾品にも、お金に糸目をつけず、好きなものを選んだに違いないと想像して、美術チームとしては東郷の部屋にかなり予算をかけています(笑)。
作成に時間がかかったのは、テレビの後ろの壁。タイル数種類と木目調の壁紙をコラージュしたものですが、切り方や組み合わせ方にも、すごくこだわりました。特に木目調の壁紙は、全部45度にカットして組み合わせました。
2人でテレビゲームをするシーンもありますし、よく壁も映るんじゃないかなと思って力を入れています。
ちなみに綾華と一緒に羽田家の愛犬・ネギも引っ越して来ると決まっていたので、リビングの大理石に見える床は、タイルカーペットにしています。ネギの足腰に優しいように、そして俳優さんたちが直に床に座っても冷たくないようにしました。

――羽田家と違って、物は多くてもすっきりした空間ですね。
東郷は几帳面な性格。潔癖でもあるので、厳選されたものだけを置いている、無駄なものは一切ない空間づくりを意識することで、羽田家との差別化を図りました。
ちなみにリビングの一角に置かれているサウナは、日本にまだ2台しかない、貴重なものをお借りしています。

――ベッドルームや玄関から続く廊下も個性的ですね。
東郷は周りから、“キング”と呼ばれている人物。そんなキングが住むにふさわしい空間にするべく、寝室の壁紙はディープグリーン、玄関からリビングに続く廊下はオレンジなど、普通の住宅ではなかなか使うことがない個性的な色味を選びました。特に東郷のプライベート空間への入り口である廊下の壁には、アート好きな東郷が選んだ絵を所狭しに飾って、東郷の部屋のコンセプトでもある“夢の国”や“ファンタジー感”を演出しています。
先ほども話したように、山田さん自身が持つ、柔らかさを生かして、ワイルドな男性の家というより、ポップさや優しさを意識した空間になりましたので、楽しい画角を楽しんでいただけたらと思っています。
――2人の結婚が“メリット婚”だとバレないよう、綾華もこの家に引っ越してきました。
第2話の終盤、引っ越してきた綾華に東郷は、倉庫として使っている玄関横の納戸とベッドマットを提供します。東郷にとっては狭い部屋ですが、いままで弟や妹と一緒の部屋&敷布団で生活していた綾華にとっては自分だけの空間ができたことに。最初はただの荷物置き部屋ですが、今後は倉庫・納戸には見えないように、可愛くコーディネートしていきたいなと思っています。
この家での綾華の部屋の場所については、監督ともいろいろ話しました。結果、2人のベッドルームは壁一枚を挟んだだけの隣同士というよりも、2人の心の距離と同様、何かを挟んで距離をつくったほうがおもしろいんじゃないかということに。そこでウォーキングクローゼットを挟んでいるんです。
今のところ、東郷のパーソナルスペースで綾華のものが侵食している部分は冷蔵庫の中だけですが、今後2人の心の距離が接近するような展開があったときに、楽しい展開が生み出されるのではと思っています。
ファンタジー感あふれる東郷の部屋。次回のセット特集は、綾華と東郷が働く結婚式場「ラ・ブランシュ」のセットを紹介予定なので、お楽しみに!
■番組概要
[タイトル]
火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』
[放送日時]
毎週火曜よる10時~10時57分