【舞台の裏側】『DCU』海上保安庁はテロや爆発物も想定し、日夜訓練!

公開: 更新: TBS Topics


TBSで放送中の日曜劇場『DCU』は、水中の捜査に特化した架空の組織「DCU(Deep Crime Unit)」を舞台にしたオリジナルドラマ。水にまつわる事件・事故とそこに隠された謎に迫るウォーターミステリーだ。海上保安庁に設置された「DCU」では、隊長の新名(阿部寛)を中心に、さまざまな事件に対応してきた。テロリストの暗躍や死んだはずの成合(吉川晃司)が生きていたりと、ますます目が離せない展開に。これまで2回にわたって、本作の撮影にご協力いただいている海上保安庁の仕事について紹介してきたが、今回はより具体的な仕事内容をフィーチャー。事件やテロリストに対して実際どのように対応し、訓練しているのか、各部署の担当者に話を聞いた。

必要があれば、陸上において捜査することも

――海上保安庁で事件の捜査をする方々は、どのような部署に所属しているのでしょうか?

全国に11箇所ある管区海上保安本部警備救難部や各地の海上保安部署の陸上職員に加え、各海上保安部署に所属する巡視船艇や航空機の職員など、多くの職員が昼夜を問わず捜査にあたっています。主な捜査部門として船舶の衝突、海上への油の排出や廃棄物の投棄、密漁事件などを担当する「刑事課」と覚醒剤など薬物の密輸、船舶を利用した密航事件などを担当する「国際刑事課」があります。
海上保安庁の任務には“海上における犯人の捜査及び逮捕”があります。そのため、密漁の取締りや海中に隠匿された証拠物の捜索など、海上で起きた事件に関する海での捜査はもちろんですが、犯人の家宅捜索など必要があれば、陸上において捜査することもあります。
このほか証拠物の鑑定等を行う「海上保安試験研究センター」という組織もあります。

「DCU」のメンバー「DCU」のメンバー

――海上保安庁では殺人事件を捜査する場合もあると伺いました。実際に海上保安庁で犯人を逮捕した殺人事件がありましたら可能な範囲で教えてください。

例えば船内で発生した窃盗や暴行事件なども捜査しますし、殺人事件について捜査することもあります。ハワイの沖合の日本漁船の中で外国人乗組員同士のトラブルから殺人にまで発展した事件では、捜査員をホノルルに派遣し、犯人を逮捕しました。

――ドラマの中で「DCU」のメンバーは拳銃や手錠を所持していました。海上保安庁の捜査員も拳銃を使用することはありますか?

警察機関ですので、拳銃や手錠を持っていますし、犯人の逮捕や逃走の防止、自己又は他人に対する防護等のためにやむを得ない場合には使用することができます。そういった場合に備え、日頃から射撃訓練をしています。

――第2話では密漁者と戦う地元漁師が殺される事件が発生しました。海上保安庁では、どのようにして密漁者を取締まっているのでしょうか? 

以前、警察と合同で指定暴力団員が主導する密漁グループの取締りを実施しました。密漁グループが船を使い潜水器密漁をしていた事件です。当庁捜査員と警察は密漁船の入港後、密漁グループを急襲しました。急襲時の画像をご紹介します。

『DCU』海上保安庁の捜査員が密漁グループを急襲『DCU』海上保安庁の捜査員が密漁グループを急襲

(写真提供:海上保安庁)

『DCU』海上保安庁の捜査員が密漁グループを急襲『DCU』海上保安庁の捜査員が密漁グループを急襲

(写真提供:海上保安庁)

海上保安庁では悪質な犯罪に対しても粘り強い捜査を行い、法と証拠に基づき厳正に対応しています。

――第3話では犯人が領海を越えて他国へ逃げるシーンがありました。実際に犯人が日本の領海を越えようとした場合、どのような対応をされるのでしょうか?

日本の領海内で外国船舶の違反を認めた場合、その違反した外国船舶が逃走し日本の領海を越えたとしても、他国の領海に入るまでは当該外国船舶を継続して追跡し、取締りを行うことが国際ルールで認められています。

「DCU」のメンバー「DCU」のメンバー

――ドラマには「ブラックバタフライ」というテロリスト集団が登場します。実際に海上保安庁がテロリストに対応する場合もあるのでしょうか?

海上保安庁ではテロの未然防止やテロ発生時の対処のため、日頃から警戒や訓練等を実施しています。具体的には、原子力発電所や石油コンビナート等の重要インフラ施設に対して、銃や爆発物等を積んだ不審な船舶によるテロ活動が行われることなどを想定しています。
そのほか、ソフトターゲット(不特定多数の人たちが集まる各種イベントや施設など)についても、テロの標的となる傾向にあり、これらに爆発物等が仕掛けられることなどを想定し、巡回や訓練を実施しています。ソフトターゲットへのテロについては、日常の身近なところで発生する可能性があり、これらへの対策には国民の皆さまの理解と協力が不可欠となっています。このため、海上保安庁では、民間団体と連携したテロ対策の推進に力を入れており、臨海部のソフトターゲットである旅客ターミナルやフェリー等施設の運営者等とともにテロ対策を進めています。

ドラマと同様、実際に事件やテロリストに対し、さまざまな対策を進め、日々の安全を維持し続けている海上保安庁。
3月6日(日)放送の第7話では、水族館に爆弾が!? そして瀬能(横浜流星)に接触した成合に新たな動きが。今まで以上にスリリングな展開が予想される今後を楽しみにしていただきたい。

海上保安庁の以前の記事はこちら
【裏側】「DCU」が所属する海上保安庁は“海のなんでも屋”!?
【裏側】『DCU』海上保安庁の潜水士には厳しいルールがある!?

■番組概要
〔タイトル〕

日曜劇場『DCU』
〔放送日時〕
毎週日曜よる9時~9時54分

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