【裏側】日曜劇場『DCU』装備のすごさを徹底解剖!

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TBSでスタートした阿部寛主演の日曜劇場『DCU』。水中の捜査に特化した架空の組織「DCU(Deep Crime Unit)」を舞台にしたオリジナルドラマで、水にまつわる事件・事故とそこに隠された謎に迫るウォーターミステリーだ。第1話では新名(阿部)をはじめとするDCUメンバーが水中を捜査する姿が印象的だが、今回は使用している機器に注目し、それらのすごさを紹介。新名と瀬能(横浜流星)が潜水する際に使用するリブリーザーと、森田(岡崎体育)が水中捜査に使う水中ドローンの仕組みなどについてお届けする。

新名たちのような使い方ができる人は現実でも日本では数名しかいない

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 空気を充填したシリンダーを使う一般的なダイビングとは違い、非常に長時間潜ることができるリブリーザー。夢のような機器だが、使い方を間違えたり、急なアクシデントに対応できないと死に至ってしまうため、使える人が限られている。今回、話を聞いたのは機材協力をしている株式会社オケアノス代表取締役の池田芳昭氏と、撮影ではリブリーザー監修を務め、自身も世界中の深海を潜ってきたテクニカルダイビングインストラクターの田原浩一氏。

――リブリーザーを使ったダイビングと一般的なダイビングの違いを教えてください。

空気を充填したシリンダーを使う一般的なダイビングでは、空気を吸って、吐いた息は泡となって水中に排出されます。実はその時、吸った空気中の酸素はわずかしか使われていません。残りの酸素のほとんどが水中に排出されてしまうんです。一方リブリーザーを使うダイビングでは、吐いた息を水中に放出しないで回収し、含まれる二酸化炭素をフィルターで取り除いて、使った分の酸素を足すことで呼吸に再利用します。酸素を無駄なく使うことができるので、長時間潜ることが可能になります。メーカーによっても違いますが、劇中で使用しているAPDというメーカーのものだと、酸素量という点では装備している小型シリンダーだけで10時間ほど呼吸が可能です。

――劇中では新名と瀬能、西野(高橋光臣)しか扱えない設定ですが、どれくらい取り扱いが難しいものなのでしょうか?

使う際の手順がいろいろあって、それを間違えたり、機器の故障などのアクシデントに冷静に対処できなければ命を落としてしまう可能性があります。講習に受かれば一般の人が趣味のダイビングなどで使用することもできますが、DCUメンバーが任務で行っていることは難しさのレベルが違うと思います。

新名たちは第1話で水深120メートルまで潜りましたが、それは最上級の難しさです。深く潜るほどに水圧が高くなり、酸素の割合が21%の通常の空気を呼吸すると酸素中毒になって痙攣発作を起こして死んでしまう可能性が高くなります。ですから、リブリーザーで水深120メートルに潜る場合は、浅い水深で使う希釈用の空気とは別に、酸素の割合が7%程度の希釈ガスが必要になります。実際に呼吸に使うガスの酸素濃度は水深に合わせてリブリーザーが自動で調整してくれますが、途中から窒素酔いを防ぐためにヘリウムガスを加える必要があるため、水深に応じて自分で希釈用のガスを空気から酸素濃度が低くてヘリウムを加えたガスに切り替えなければなりません。万が一替え忘れると酸素濃度が高くなりすぎることに加えて、正常な判断や活動が出来なくなる窒素酔いも起こり非常に危険なんです。

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※基本的にリブリーザーは酸素シリンダーと空気シリンダー、二酸化炭素をろ過して酸素を追加する装置から構成。潜る深度に合わせて、ヘリウムガスが含まれたトライミックスなど別のシリンダーも持っていく。

また、水面に近づき水圧が低くなったときに酸素濃度が低いままだった場合、気を失ってしまいますから、器材に異常が起きた場合は、自分で酸素分圧が表示される計器を見ながら酸素分圧をコントロールしなければいけない。異常はアラームが知らせてくれますが、それにも気づかないと大変なことになります。アクシデントが起きなければ無事に終わりますが、水中では何があるかわかりません。命に係わることですし、深い場所に潜るほどにリブリーザーを使いこなす能力が必要です。

――DCUメンバーのすごいところはどこでしょうか?

レジャーのダイビングの場合は、リブリーザーの操作に集中できますが、新名たちは水中の捜査が仕事です。深く潜るには相当の体力が必要ですし、リブリーザーの操作と水中での作業の両方を行うにはバランスの取れた高レベルの注意力と集中力がないと危険です。このような能力を持つ人が、日本に実際何人いるかと聞かれたら、10人もいないと思います。

リブリーザーの講習では器材を正しく使えるかだけでなく、故障などアクシデントが起きたときにきちんとリカバリーできるかまでを確認しますから、講習に受かるのはなかなか大変です。一般的なスクーバ器材と違い、泡が出ず魚が逃げにくいため、海外の放送局では水中の撮影などで使われたり、レジャーのダイビングで使用されている方もいます。ただ、何十年ダイビング経験があっても適性がなければ使用はおすすめしていません。それぐらいリブリーザーは取り扱いが難しいんです。

水中ロボットが進化した水中ドローン

森田が捜査に使う水中ドローンは国内メーカー・FullDepthのDiveUnit300という製品。水中ドローンという言葉が出始めたのは数年前からで、その歴史は浅い。産業用に特化したこの水中ドローンは水中を撮影するだけでなく、さまざまな機能が備わっている。今回話を聞いたのは、株式会社FullDepth代表取締役社長の伊藤昌平氏。

水中ドローン水中ドローン

 ――水中ドローンの歴史は浅いということですが。

1960年代から水中ロボットというものがありましたが、我々がこの事業を始めた2015年後半は、国内で水中ドローンという言葉はありませんでした。海外でアンダー型ドローンという言葉が使われて始めていて、我々も水中ロボットか水中ドローンどちらで呼ぶか悩みましたが、水中ドローンと呼ぶことにしました。
DiveUnit300は水中ドローンとしては最大級ですが簡単に持ち運ぶことができます。

――DiveUnit300の機能を教えてください。

水深300メートルまで潜水が可能で、バッテリー満充電時で4時間稼働できます。水中ドローンで撮影された映像はリアルタイムで配信することができ、世界中の人と共有ができます。ほかにも濁っている水で視界が悪い時に、音波を使って水中の物体を確認するマルチビームソナーという機能や、水中から船と音響信号を送受信することでドローンの位置座標を測定することができるUSBL音響測位装置なども付けることができます。また、グリッパーという器具を装着すれば水中にある物体をつかんで持ってくることも可能です。

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 ――主にどんなことに使われていますか。

国内ではインフラの維持管理に使われることが一番多く、ダムや護岸、洋上風力発電所や養殖現場などの整備や点検に使われています。例えばダムのヒビを見つけて、大きさを調べたり。水中で行う仕事は多岐にわたります、基本的には人が潜って作業しているのですが、一部だけでも機械化するために水中ドローンが使われるようになりました。

水族館の深海調査などに使っていただくことも。DiveUnit300の試作機は水深1千メートルを潜行可能で深海を調査したこともあります。従来の調査は、大型船のクレーンで機材を水中に下ろす大規模なものが多く、費用も一回約1千万円ほどかかりますが、弊社の機材は簡単に持ち運べて宅配便での送付も可能です。費用もそこまでかからないので、水中の調査が日常的にできるようになっています。

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――2、3時間の練習で誰でも操作ができるそうですが。

操作は皆さんがお馴染みのゲームのコントローラーを使用するため、基本的な操作はできると思います。もともと誰でも使えるのが目標ですので、今後はさらに時間を短くしていきたいですね。

操作は誰でもできるのですが、水中で物を探すなど目的がある場合は、潜った経験がどれだけあるのか、水の中をどれだけ想像できるかが大きく関係してくるのかなと。水の流れを読んで物がある場所を推測できなければ、時間がかかってしまいますから。そう考えると現場を潜る潜水士や船の底を掃除する方など、現場の状況を普段から知っている方が水中ドローンを使ったら効率的なのかもしれません。ただ、我々も水の中を調べるという部分をゆくゆくは自動化したいと思っているので、ノウハウを蓄積していきたいと思っています。

――水中ドローンの中では唯一の国産品ですが、どんなところが強みですか?

産業用途の機械は、スペックやできることのほかに、使用するときに確実に動くことが大事です。水中の過酷な状況では、どんな製品でも壊れるときは壊れます。海外製品は修理に時間がかかりますが、弊社の製品は国内で開発・製造しておりますので、製品に精通したスタッフが迅速にサポートし、代わりの機材を用意したりとクイックに対応できるのが、弊社の製品の強みですね。

今回プロデューサーの伊與田さんからお話をいただいたときに、弊社の製品を選んでいただいた理由が、唯一の国産で下町にある会社の製品だから親近感があったからとお聞きして。うれしかったですね。伊與田さんは『下町ロケット』も作られていて、私も作品のファンだったので、協力させていただきたいなと思い参加させていただいています。

 

第2話は北能登の港で変死体が発見され、DCUメンバーたちが出動。今回はどんな活躍を見せてくれるのか。新名と15年前の出来事を思い出し始めた瀬能の関係も気になるところ。これだけのすごい機器も登場する作品、ぜひ細かいところまで今後も楽しみにしていただきたい。

■番組概要
〔タイトル〕

日曜劇場『DCU』
〔放送日時〕
毎週日曜よる9時~9時54分
※第2話は15分拡大