1996年4月から放送を開始し、今春放送25周年を迎えた『世界遺産』(毎週日曜午後6時)。番組では4月に放送25周年スペシャルの特別企画として「空から見る京都 四季の絶景」を放送。続く10月の放送では空海の開創から1200年以上の歴史を刻む「高野山の四季」をお届けした。
そして2022年の幕開けを飾る、年明け最初の放送となる1月9日(日)は、4K8K特別編「富士山の四季」を放送25周年スペシャルとしてお届けする。
太古の時代から日本人にとって大きな存在であった富士山。そんな日本を象徴する独立峰・富士山は2013年に「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として世界文
化遺産に登録された。
今回、この日本一の山を、現在最高の画質で記録すべく、全編を高精細の4Kカメラと8Kカメラで撮影(地上波放送のため、映像はフルハイビジョンに変換して放送)。1年かけて四季折々の絶景を捉えた。さらに富士山の噴火によって形成された富士五湖の中でも透明度の高い本栖湖を、初めて8Kカメラで水中撮影。湖底から地下水が吹き出す様子を捉えた、貴重な映像を公開する。こうした富士山周辺の伏流水が生み出す、豊かな自然が今回の大きなテーマだ。
また富士山は文化遺産として世界遺産に登録されたが、日本人がこの山を聖地とし、いかに信仰してきたかも描いていく。
放送内容/みどころ
◎珍しい富士山の絶景!
富士山の山体をすっぽり覆うほどの、直径2kmにもなる巨大な笠雲(かさぐも)。年に2回しか見ることが出来ない、山頂真ん中から朝日が昇る「ダイヤモンド富士」。夏の赤く見える富士山中腹の宝永火口のドローン撮影映像など、1年を通して時間をかけないと撮影できない様々な珍しい富士山の絶景が登場する。
富士山の伏流水が生んだ湧水池「忍野八海(おしのはっかい)」がある忍野村では、春の満開の桜を撮影。夏の青木ヶ原樹海と赤い富士山など、四季折々の美しい映像も見どころだ。
◎8Kカメラで捉えた富士山の伏流水の世界!
富士山に降る雨や雪は年間24億トンにも及ぶ。富士山はその水を吸収するいわば“巨大なろ過装置”。大量の水が溶岩の大地にしみこんで伏流水となり、それが麓に湧き出し、周辺に独特の自然環境を作っているのだ。
今回、番組では紅葉まっさかりの名瀑「白糸の滝」を8Kカメラで撮影。ここは川が生む滝ではなく、溶岩の隙間から直接伏流水が吹き出して滝となった。高さ20m、幅150mの湾曲した絶壁から流れ落ちる数百の滝は古くから絵画にも描かれてきた絶景だ。
また富士五湖のひとつで水深が最も深い本栖湖を初めて8Kカメラで水中撮影。日本有数の透明度を誇る湖の底で、富士山周辺の伏流水が湧き出す大きな穴に到達。吹き出す水の方が湖よりも水温が低いため、そこだけ揺らめいて見える様子を高精細で記録した貴重な映像をお届けする。
◎日本人が信仰の対象とした富士山
噴出した溶岩が巨木を飲み込み一瞬で焼き尽くすと、木の形をしたトンネルが残る。これを溶岩樹型といい、富士山麓の無戸室浅間神社(むつむろせんげんじんじゃ)には全長70mに及ぶ巨大な溶岩樹型「船津胎内樹型」が残る。日本人はこのトンネルを胎内に見立て、巡ることで再生すると信じ、神社となった。
また北口本宮冨士浅間神社は、鳥居の向こうに富士山が来るように作られた神社。富士山そのものがご神体である。江戸時代からこの神社を出発して富士山に登り祈る「富士講」が盛んになり、最盛期には年間2万人もの人が、信仰のための富士登山に挑んだという。こうした富士講の人々を迎えたのが「御師の宿坊(おしのしゅくぼう)」。参拝者の案内や世話をしたりする人を御師といい、御師が宿坊として提供していた住居である。一晩に100人以上が泊まることが出来る、奥行きのある独特の作りの家が今も残っている。
<ナレーション・杏コメント>
今回の番組を通じて、富士山は自然と文化、そのふたつが融合した存在だと感じました。富士山をご神体とする古い神社を見ると、大昔から日本人の心の原風景だったことが分かりますし、美しくも厳しい自然もあり、さまざまな味わい方ができる所だと思います。驚いたのは、富士山麓の本栖湖の水中撮影です。本栖湖は川にはつながっていなくて、富士山の伏流水が湖の底から湧き出しているのが映像で分かります。私は富士山はまだ登ったことがないのですが、一度は登って御来光を見てみたいです。
<担当ディレクター・三浦 上コメント>
今回の目玉は8K撮影です。白糸の滝ではミラーレス一眼カメラを大型ドローンに搭載、高精細最高画質で鮮やかな紅葉の撮影に成功しました。滝にかかる虹をフォローするという離れ業です。
透明度を誇る本栖湖では、やはりミラーレス一眼を水中ハウジングに入れ、日本ではまだ珍しい8K水中撮影を敢行しました。そして湖底から湧き出る冷たい水とその周囲の水の温度差によるサーモクラインという水のゆらぎを撮影することができたのです。
<プロデューサー・堤 慶太コメント>
「一富士二鷹三茄子」と、初夢に出てくると縁起が良いものでも一番の富士山。これほどお正月にふさわしい世界遺産はありません。1年がかりで撮影した中から選りすぐった、とにかく見ていて気持ちの良い映像ばかりとなっています。新年最初の放送にふさわしい番組になったと思います。地上波放送なので、4Kと8Kの映像をフルハイビジョンに変換して放送しますが、映像の美しさは存分に楽しめると思います。
番組概要
[タイトル]
『世界遺産』
[放送日時]
毎週日曜 午後6時~6時30分
[出 演]
ナレーション 杏
[スタッフ]
プロデューサー
堤 慶太
神保泰歩
担当ディレクター
三浦 上
[『世界遺産』番組公式サイト]https://www.tbs.co.jp/heritage/
[『世界遺産』公式 YouTube チャンネル]
https://www.youtube.com/channel/UCiBzP94GzT4C_aZ6-lw8zSA/featured?view_as=subscriber