ノルウェーの世界遺産「ヴェガ群島」の一つ、「ローナン島」。毎年ここに現れる“ある渡り鳥”は、人々にプレゼントを残していくそう。一体どういうことなのか、順を追って紐解いていきます。
渡り鳥の到来に合わせ、島に戻る人々
ローナン島には、毎年5月になると、渡り鳥の“ホンケワタガモ”がやってきます。

現在は定住する人がいない島ですが、鳥たちの到来に合わせ、島に戻る人もいるそうです。
その理由は、ホンケワタガモの産卵にあります。
島の人々が用意した小屋の中で、母ガモたちは、およそ1か月間ほぼ何も食べずに卵を温め続けるとのこと。

その際、母ガモは胸の毛をむしり、自身の下に敷いて卵を温めます。

実はこの毛こそ、カモから人々へのプレゼント。世界最高級のダウンの原料になり、この羽毛で作られた布団は、なんと100万円以上の値が付くそうです。
人間とカモの、1000年続く助け合い
羽毛は、カモたちが去った小屋に残ったものなどを集めたもの。
保温性に優れ、弾力も抜群で、“羽毛の宝石”と呼ばれるダウンです。

羽毛を集め、細かいゴミを丁寧に取り除いていくと、一つの巣で取れる羽毛はわずか17gほどしかないそう。
約1000年前のヴァイキングの時代には、黄金と同等の価値があるほどの貿易品だったといい、今も人々の貴重な収入源となっています。

カモたちが到来するローナン島を含む「ヴェガ群島」は、自然と共生する文化が認められ、2004年 世界遺産に登録されました。

北欧の小さな島々で、1000年続く人とカモの助け合い。温かく優しい物語が、これからも長く続いて欲しいですね。
世界遺産
日曜よる6:00~