TBSで10月10日(日)からスタートする日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』(毎週日曜よる9時放送)。原作は1973年に刊行された小松左京による不朽の名作「日本沈没」。刊行の翌年にはTBSでテレビドラマ化され、それ以降も映画やアニメ、漫画など様々な形で語り継がれてきた。この原作に大きくアレンジを加えてお届けする今作は、2023年の東京が舞台。「見出していく希望」をテーマに主人公を含めオリジナルキャラクターが、沈没という目に見えない危機に立ち向かっていく姿を描く。今回は1974 年に連続ドラマで放送された『日本沈没』の大ファンであり、今作で週刊誌・サンデー毎朝の編集長・鍋島哲夫として出演する伊集院光をインタビュー。前作の魅力と本作の見どころを語った。
――再びドラマ化される『日本沈没―希望のひと―』に出演オファーがあったときのお気持ちから教えてください。
藤岡弘さんが主演の映画版(1973年)も、さらに新しくなった草彅剛さんが主演の映画版(2006年)も好きなのですが、やはり毎週見ていた連続ドラマの『日本沈没』(1974年)がすごく好きで。DVD-BOXも持っていて、1話1話あらすじが言えるくらいなので、また連続ドラマで放送されると聞いてワクワクしました。生意気に聞こえたら申し訳ないのですが、いつもはドラマのお話をいただいたときに、本職の役者さんではないし迷惑をかけたくないという気持ちがあって、出演のお誘いは躊躇してしまうんです。でも、今回は「ご迷惑をおかけするかもしれませんが、ぜひ出演したい」という気持ちが強かったですね。実は台本は自分の役に関係があるところだけしか把握していません。役者さんではないので、全体のあらすじを把握しているのに知らない演技はできないんですよね。監督さんと相談した結果、僕周辺の事以外台本を読んでいないので、ほぼ皆さんと同じ気持ちで作品を楽しみにしています(笑)。
――1974年に放送されたドラマの魅力はどんなところにありますか?
放送当時は小学校の低学年でリアルタイムで見ていました。作り物だとは分かっていましたが、「日本が沈没してしまうかもしれないんだ」と思いながら震えながら見ていました。父親がSF好きで、小松左京さんがすごく好きだったので一緒に見ていたんですけど、放送がよる8時で時間帯が浅かったこともあり、物語はバリバリSFマニアに向けたものではなかったと思うんですが、「もしも日本が沈没するとしたら」という壮大なifをぶつけられた時の人間ドラマが描かれていて、大人になってみると、それが斬新で面白かったんだなあと。主人公が日本沈没から人々を救うために全国を飛び回っていて、恋人とすれ違ってなかなか会えなかったり。ほかにも少女が避難しなくてはいけないのに、飼い犬を置いていかなければいけなくて苦悩するとか。
科学的には矛盾することもありましたが、SF要素があって、人間ドラマも描かれていてという全部入りの感じがすごく好きですね。今だったらゾンビがはびこる世界を描いたドラマが普通に受け入れられているじゃないですか。なぜゾンビになってしまったのかはもう気にしていなくて、その世界でどう生き抜くかという物語が人気なのと似ていると思います。
――今回は政治を舞台に日本沈没に立ち向かう人々の物語です。
前作の時は子どもでしたし、政治についてそこまで細かくは描かれていなかったので、政府がどう動いているのかはあまり考えたことがないですね。今回、政治を舞台に描いているのは思い切ったなと。それだけ今は皆さんが危機に対して政治がどう動くのかにすごく関心が出てきているのだろうと思います。そして、その部分は、今回の日本沈没の見どころだと思います。
――今回の作品で注目しているところはどこですか?
原作のキャラクターが田所博士しか残っていなくて、全く新しい物語になっているところです。前作の放送当時とここまで世の中が変わってしまうと、単純な焼き直しだとうまくいかないことだらけだと思うんです。主人公と恋人のすれ違い劇が中心ではスマホがある現代では難しいですもんね。個人的には、SNSが発達して、流言飛語の飛び交い方も激しい時代をどう反映されるのか気になります。
前作の時代と比べると、今は大きな地震や災害、異常気象を肌で感じることもあって、皆さんの危機意識も高くなっていると思います。一方で科学知識もそれなりに上がっていて、日本だけが沈没することにそこまでのリアリティはないかと。この時代の感覚だけ考えても、前作を完全にコピーすることはできないと思います。しかも、53歳の僕にして、前の作品のことをすっかり美化しちゃってる面もある(笑)。僕みたいな人がたくさんいるから、復活させることに尻込みするところを果敢に挑戦していくのは大変なことだと思いますが、前作とどう比較されるのか楽しみです。出演者でありながらファン目線で申し訳ないのですが、「ちょっとお手並み拝見」でいいと思うんですよ。やはり見ないと始まらない。とりあえず見て、いろいろな人と意見を交わしていただきたいです。そして交わしたいです。
■番組概要
〔タイトル〕
日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』
〔放送日時〕
10月10日(日)スタート 毎週日曜よる9時~
※初回は25分拡大