秩父で発見された海獣
1972年、埼玉県秩父地方の山岳地帯で、全長およそ2.5mもの大型哺乳類の化石が発見されました。その動物の名は、「パレオパラドキシア」。“太古の矛盾”を意味します。

復元された全身骨格を見ると、頭部はジュゴンやマナティなど海に生きている哺乳類に近い特徴を持つ一方で、胴体は陸にいるようながっちりとした骨格をしており、一見矛盾した形をした生き物であることから、そう名付けられたそうです。

また、手には「水かき」があったとされており、浅瀬で生活していたと考えられています。

実は、かつて秩父には海が存在していました。
秩父に「海」!?
2500万年前、日本列島は存在しておらずアジア大陸の一部でした。その後、プレートの移動により次々陸地が切り離され、島が誕生。その一つが、現在の秩父地方にあたる“秩父島”でした。1500万年前には、島の東側に“古秩父湾”という遠浅の海があったそうです。

当時の秩父が分かる崖が秩父郡小鹿野町にあります。高さ100m・幅400mにわたって露出した岩肌は、「ようばけ」(“日の当たる崖”の意味)と呼ばれています。こちらでパレオパラドキシアの化石が発見されました。

ほかにも、絶滅したムカシエンコウガニの甲羅をはじめ、チチブホタテ、イルカの仲間など様々な海の生き物の化石が発見されています。
パレオパラドキシアのような大きな生き物の化石が見つかるということは、それらを支えるだけの食糧があったということ。とても豊かな海だったことが分かります。
海のない埼玉に、かつて海があったとは驚きですね。
世界ふしぎ発見!
土曜よる9:00~