【ネタバレ】『着飾る恋には理由があって』川口春奈&横浜流星が迎えた最高の結末

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【ネタバレ】『着飾る恋には理由があって』川口春奈&横浜流星が迎えた最高の結末
【ネタバレ】『着飾る恋には理由があって』川口春奈&横浜流星が迎えた最高の結末

ついに最終回を迎えた『着飾る恋には理由があって』(TBS系)。とりあえず感想を語る前に、これだけは、これだけは言わせてください。

シャチ最高!!!!

葉山は、真の足長おじさんだった

どんなに前回で距離をつめたと思っても、次の回になったらゼロリセットされていることでおなじみの葉山さん(向井理)。先週、「笑ってくれないと、困るよ」とくるみ(川口春奈)を抱き寄せ、世にシャチ派を急増させたと思いきや、最終回が始まったらいきなりもう普通にお茶してる。「少し落ち着いた?」とか聞いてる。

そこで落ち着かせちゃダメよ、葉山! これが、作・北川みゆき先生なら、確実に部屋に連れ込んでる。既成事実をつくってる。でも、葉山はそんなことしない。紳士だから。

「俺じゃダメか」と後ろから抱きしめたり、「俺にしなよ」と壁ドンしたりしない。あくまでお茶するだけ。しかも、対面。ソーシャルディスタンスもばっちり。せめてカウンターで横に座ってほしい。ちょっとは密着してほしい。でも、葉山はそんなことしない。紳士だから。

そして、わかってる。そんな紳士な葉山だから、私たちも夢中になったのだと。

最終回でも、くるみが駿(横浜流星)と一緒にいると知るや、「そっか。なら、いいや。じゃ」と爽やかに電話を切る。そして、こっそりと岩切工房との契約をまとめてきたりする。知らん間になんでもしてくれるとか、靴屋の小人か。

違うわ、向井理だもの。これが本当の足長おじさんだわ。

そんな足長おじさん葉山は、何の予告もなくシェアハウスを去る。去り際まで潔すぎて、いじらしいをこえて、もはや不憫! そして、そんな葉山を追いかけるくるみ。

「この7年、どこまでご存じかわかりませんが、7年間、社長への片想いをバネに頑張ってこれました」

今の自分をつくってくれたのは、葉山だった。息を切らしながら、そうくるみは感謝の気持ちを伝える。それを聞いている葉山の表情がせつなくて色っぽくて。ちょっと長くなった前髪が目に少しかかっているところも、白いシャツも、胸を衝かれたような表情が、小さく息を吐いて、いつものように柔らかく綻ぶところも、全部が心をえぐりとってくる。

「ひとつだけ間違ってることがあるな。片想いじゃなかったよ」

こんなん言われたら、自分なら絶対に時間を巻き戻したくなる〜〜〜〜!!!

くるみにとって、葉山は憧れの人だった。葉山にとって、くるみは信頼できる部下だった。憧れと、信頼。それはいつ恋と名前を変えてもよかった。だけど、2人はそれを恋にするタイミングを逃してしまった。そして、時はもう戻らない。

「気づくのが、ちょっと遅かったかも」

そうはにかむところも、手を離した瞬間にキャリーケースがガラガラと転がるところも、完璧。てか、あのガラガラは偶然? それとも計算? わざとだとしたら、ほんまにプロすぎひん? こんな告白のタイミングまで、おっちょこちょい感を演出できるなんて、日本でいちばんあざといのは、田中みな実でも松本まりかでもなく、向井理なのではないだろうか・・・?(確信)

くるみに見送られながら、葉山はタクシーに乗り込む。そのうつむいた横顔は、さっきまでくるみに見せていた余裕のある表情とはまったく違っていて。ちゃんと失恋をした男の顔になっていた。どこかで何かが違っていたら、くるみと結ばれていたのは自分だったのだろうか。そんな後悔も、きっとある。

だけど、やりきれない想いを吐き出すように、上を向いて、「頑張りますか」とつぶやく。そうやって葉山は今までいろんな失敗や後悔を乗り越えてきたんだろう。葉山は、強い。強いからこそ、そばにいてあげたくなる。

とりあえず今、「トルコに行きたい!!!」とパスポートを握りしめている日本の女性たちがたくさんいると思うので、現地に着いたら住所を教えてください!!!!

私には私がいるから平気。だけど、寂しくるときもある

シェアハウスの住人たちも、それぞれの道を歩き出した。夫婦になった陽ちゃん(丸山隆平)と羽瀬ちゃん(中村アン)も良かったし、個人的には香子さん(夏川結衣)と礼史(生瀬勝久)のエピソードにグッと来てしまった。

1人で生きることを選んだ香子さんの「私には私がいるから平気」は、寂しさに揺れるたくさんのシングルを勇気づけてくれた名言だし、礼史の「君の緊急連絡先は僕だから」もなかなかの胸キュンワードだったと思う。

そこからの「こちら、緊急連絡先です」というフレーズもオシャレで、こういうウィットに富んだやりとりは、落ち着いた大人の2人だからできること。どんなに「私には私がいるから平気」と言っても、寂しさを感じるときはあって。それは、1人でいるときじゃなく、幸せいっぱいな人たちに囲まれている瞬間だったりする。そんなとき、素直に電話をできる相手が、礼史だったこと。そして、それを礼史が優しく受け止めてくれたこと。

恋人とか、夫婦とか、家族とか、もう名前をつけなくてもいいのかもしれない。並んで座った2人には、1席分のスペースが空いていた。でも今は、これくらいの距離感がちょうどいい。人生100年時代。50歳を迎えたとは言え、まだまだ2人は人生の折り返し地点に立っただけ。これからどんなふうに年を重ねていこうか。そんな温かい未来をイメージしたくなる結末だった。

私が着飾る理由は、あなたです

炎上騒動に巻き込まれ、SNSが怖くなってしまったくるみ。「もともと大変だったしね、毎日追われるように更新してたからさ」とInstagramを辞める理由をいくつも並べる。どこかで見たことのあるシーン。そう、それはくるみが好きなのは葉山なんじゃないかという猜疑(さいぎ)心にかられ、「俺はもういいよ。そもそもこだわんないから。誰が来て、いなくなっても」と強がったあの日の駿と同じ。

それに「黙れ」と口をふさぐのも同じ。価値観が正反対のように見えたくるみと駿だったけど、案外根っこは似た者同士なのかもしれない。臆病で、弱虫で、傷つくことを恐れてすぐに強がったり嘘をついたりするけれど、でも夢にまっすぐで、こうと決めたら譲らない。そんな2人だから惹かれ合った。そんな2人だから本音を見せ合えた。

確かに葉山はカッコいいし、好きにならずにはいられない。だけど、くるみの隣にいてしっくり来るのは駿なんだと。この2人だからいいんだとうなずける、可愛くて男前なやりとりだった。

最終的に、SNSを否定的に描かなかったことも、このドラマの美点のひとつだと思う。どうしても創作に登場するSNSは、暴走する承認欲求とか、幸せマウント合戦とかネガティブに描かれがち。だけど、もはやSNSは人々の生活にもっとナチュラルに溶け込んでいて、そこで救われることもたくさんある。

もちろん今回のような炎上リスクは常にあるし、どこから誹謗中傷の矢が降ってくるかはわからない。

だけど、見返してみれば、Instagramにアップされた写真は、どれも大切な思い出で。単に告知のためだけにやっているわけじゃない。くるみにとっての日常の記録だし、かけがえのないアルバムになっている。そのことが、あの廊下の床いっぱいに広がったホーム画面から伝わってきた。あの演出は、すごくオシャレだし、エモーショナルだった。

そして、着飾ることに疑問を投げかけながら、最後は着飾ることの素晴らしさを描いてくれたことも良かった。

「やっぱり会ったら、素敵って言ってほしい。あなたが、その理由」

好きな自分になるために着飾ることも素晴らしいし、好きな人に可愛いと言ってもらいたくて着飾ることも素晴らしい。特に後者の感情は、近年「モテ」や「媚び」を良しとしない風潮から、なかなか口に出しづらくなっているけど、別に可愛いと言われたい気持ちだって、ごく自然なものなんだと。人の中にある2つの本音を、どちらも肯定してくれた。それが、すごく心地よかった。

人と会う機会が格段に減ったこの1年余り。洋服を買う回数は格段に減った。今年の春も結局新作は買わなかったし、衣替えした夏服はどれも見飽きたものばかり。どうせ外に出ることもないし。そうちょっと適当になっていたけど、なんだかくるみを見ていたら、無性に着飾りたくなってきた。

自分に「いいね」をしてあげたいし、誰かに「いいね」と言ってもらいたい。そんな欲張りな気持ちが毎日を輝かせるんだと、『着飾る恋には理由があって』は教えてくれた気がする。

どんなに世の中が暗くても、レベル10の自分でいたい

川口春奈は感情表現が素直で、特に怒った顔の愛らしさがくるみの魅力を最大限に引き出していたと思う。そして、ドラマ終盤で何度か見せた泣きの演技はいつも瑞々しさがあって、今その瞬間、心から感情が溢れ出て、それが涙となって瞳からこぼれ落ちているようだった。

最後まで決して葉山に傾かないところも、ウジウジフラフラしないヒロインとして応援できた。駿に対してもいつも強気で、サバサバしているのとはまた違う、チャーミングさを持ちながらハンサムなところが、とっても今っぽかった。もっともっと川口春奈で恋愛ドラマが見たいと思わせる、等身大のヒロイン像だった。

これまでのイメージを覆すような明るいキャラクターを演じた横浜流星も、俳優としての引き出しの多さをここできちんと証明できたと思う。「一生付き合ってください」の台詞もいいけど、個人的には「好きだよ、くるみ」と抱きしめたときの笑顔がたまらなかった。本当に幸せそうで、あの笑顔のおかげでこの最高にハッピーなクライマックスがより多幸感のあるものになったように感じられた。

駿はバランスを間違えると、自分の価値観を強引に押しつけてくる男性になってしまうキャラクターで、そのさじ加減は難しかったように思うけど、横浜流星が駿の脆さと、愛する人を想う一途さをしっかりと表現してくれたおかげで、視聴者の多くも駿に感情移入できたんじゃないかなと思う。

個人的に選ぶ最終回の駿の見どころは、香子さんとの料理対決。いいはっちゃけ感があって、そうそう、こういう屈託のなさが駿の魅力なんだよなと再認識させられた。

全話を通して感じたことは、このドラマは手が届きそうで届かない夢の世界だったということ。表参道であんなオシャレな生活は無理だけど、でもまったくのファンタジーではない。最終回に出てきたあの木造のチャペルが素敵すぎて思わず調べたし、北海道フェスでビールをあおるくるみたちを見て、友人とこの夏はビアガーデンに行く約束をした。

そんなふうにちょっとだけ夢を見させてくれること。生活を楽しく彩ってくれること。それが、ドラマの役目のひとつだと思うから。

世の中はまだまだ暗いニュースばかりだけど、そこで気持ちまでふさがってしまうのではなくて。お気に入りのシャツにリネンのパンツを合わせて。この夏もレベル10の自分でいこうと、ひそかに決意した。

(文・横川良明/イラスト・まつもとりえこ)

◆配信情報
『着飾る恋には理由があって』
動画配信サービス『Paravi』にて全話配信中。
Paraviオリジナルストーリー『着飾らない恋には理由があって』も独占配信中。

(C)TBS