東大を目指す"東大専科"に天野(加藤清史郎)、菜緒(南沙良)、楓(平手友梨奈)に続き、偏差値学年最下位の瀬戸(髙橋海人)も加わり、いよいよ桜木(阿部寛)の授業がスタートした『ドラゴン桜』第3話。今回も心に刺さる桜木の名言がてんこ盛りだ。
最初の授業は基礎からの学び直し。中学生の参考書を全教科、3週間で5回。意外と普通かと思いきや、天野と瀬戸には「お前ら、YouTuberになれ!」、菜緒と楓には「お前らはTwitterだ」と言い放ち、「自分たちの何気ない日常を英語で全世界に配信しろ」と指示。まさにイマドキの勉強法とも思えるが、なぜSNSの活用が受験に役立つのか!? ワクワク感たっぷりのオープニングである。
ちなみに勉強を始めるにあたり菜緒は「それってもしかして、地獄の特訓的なやつ?」と聞くが桜木は「いつの時代だと思ってる」と一蹴。確かに2005年版では東大を目指す"特別進学クラス"では10日間の合宿で勉強時間は1日16時間と地獄の特訓だった。勉強法も時代とともに変わってきているのである。
だが、そんな東大専科を潰そうとするのが、理事長の久美子(江口のりこ)。もし、東大合格者を5人出したら辞任しなければならない久美子は東大専科に対抗し、難関大コースを新設。このコースに引き入れられたのが理系トップの秀才、藤井(鈴鹿央士)である。東大専科のメンバーをバカにしきった態度を見て、とんでもなく嫌なヤツと思った人も多いだろう。ここまで人に対して厭味ったらしい態度を取れる人間も珍しいほど。なんにでも迎合する人間が多い今の時代、ある意味、貴重ともいえる存在。
そんな藤井に「1年後、東大に受かるのはお前じゃなく、ここにいる東大専科の生徒たちだ」と桜木は断言。反発した藤井は東大専科の生徒たちと勝負を持ち掛け、理事長の久美子も立ち会うことに。しかも負けたら東大専科は解散。この勝負の流れ、何か思い出さないだろうか? 主人公は弱い、仲間、修行、強い敵キャラ、そうバトル漫画のパターンである。バトル漫画となったら土壇場での逆転勝利により、東大専科が勝つことは推測できるが、おバカな東大専科の生徒たちがどうやって勝つかが見どころとなってくるという展開。
東大専科に授けた桜木の勉強法は3つ。互いに教え合うこと、即行動、水野から出したお題を解くこと。勝負までは3週間しかないが、これで東大の過去問を解くことが出来るのか!? 大事なのは考え方。東大が一番求めている能力は「どれだけ本質を考える力があるか」という桜木。英単語ひとつをとっても、ただ詰め込んで覚えるのではない。語源を調べ、派生する単語を考える。「東大生はな、日常目にするものすべてに対して、"なぜ"を考え、本質を見ようとする。お前たちがやるべきなのは、その思考法を学ぶことだ」。やっと出てきた具体的な勉強法。これって東大受験だけじゃなく、勉強する人、働く人にとってもめちゃくちゃ役に立ちそうである。常に自信満々な桜木が言うことで、さらに説得力が増しているのも間違いない。
ついに特別模試当日。出題された問題は2問。結果、藤井は東大専科の誰にも勝てなかった。1問目は2012年の東大入試問題。「もし他人の心が読めたらどうなるか、考えられる結果について記せ。複数の文を用いてかまわない」という英語問題。藤井の解答は論理性に欠け、難しい単語を使いすぎるためスペルミスも多い。これに対し東大専科の解答はシンプルな解答ばかりだが、シンプルな答えほど難しくなる。そこで役に立ったのが、毎日議論したり勉強し合ったり、伝える力を養うこと。YouTubeやTwitterで養った力がここで発揮されたのである。
2問目の地理の問題で問われているのは人の気持ちを想像できるか。藤井は行政側の視点しか答えられなかったため、半分しか得点できなかった。実は問題をセレクトしたのは理事長だが、桜木によって東大専科に有利になるよう誘導され、問題を選んでいたのである。つまり桜木は十分な勝算をもって勝負に挑んだのだ。王道マンガの流れを作り、それを上回る発想で勝負に勝つ展開に持っていくストーリーは、さすがというほかない。
そして勝負に負けた藤井をはやし立てる生徒に桜木は名言する。「国はな、お前らにはバカのままでいて欲しいんだ。それが本音なんだ。何にも疑問を持たず、何にも知らないまま調べない。ただひたすら働き続け、金を払い続ける国民であって欲しい」。馬車馬のように働いたほうが国にとっては都合がいい。そうならないためには勉強するしかない。なぜ勉強しなければいけないのか? 力強く訴える言葉を聞くと、確かに勉強がとても必要なことだと分かってくる。これは2005年版の『ドラゴン桜』から常に言っていること。最後、ついに桜木の「バカとブスこそ東大に行け!」という言葉も飛び出した。
家庭の事情で今回の特別模試に参加できなかった瀬戸、そして文系1位なのに受験には興味がないという小杉麻里(志田彩良)、昆虫が好きな生徒・健太(細田佳央太)の今後も気になる!
(文・MAIMAI/イラスト・たけだあや)
【第4話(5月16日[日]放送)あらすじ】
瀬戸(髙橋海人)が学校を休んで3日。水野(長澤まさみ)や東大専科の仲間は心配するが、桜木(阿部寛)は勉強に集中するように告げ、ITを活用した勉強法を伝授する。
一方、専科に負けて難関大コースを廃止した理事長の久美子(江口のりこ)は、新たに一流大コースを設立。理系トップの藤井(鈴鹿央士)を再び取り込んで専科に対抗心を燃やしていた。
瀬戸のことが気になる菜緒(南沙良)と楓(平手友梨奈)と天野(加藤清史郎)が学校帰りに「ラーメン瀬戸屋」に立ち寄るも、瀬戸に冷たくあしらわれる。闇金から店への嫌がらせを隠そうとする瀬戸だが、そんな窮状を桜木と水野に知られてしまう...
そんな中、菜緒と天野は東大を目指して勉強していることが母親にバレる。
抗議にやって来た2人の母親に、桜木は「受験生の家庭の10カ条」を打ち出し、さらにある伝説の特別講師を呼んでいた──
◆放送情報
『ドラゴン桜』
毎週日曜21:00からTBS系で放送中。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」で配信される。
2005年放送『ドラゴン桜』も配信中。