【ネタバレ】『ドラゴン桜』"毒親"と夢の先、平手友梨奈が見せる強い眼差し

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【ネタバレ】『ドラゴン桜』"毒親"と夢の先、平手友梨奈が見せる強い眼差し
【ネタバレ】『ドラゴン桜』"毒親"と夢の先、平手友梨奈が見せる強い眼差し

高校生はまだまだ精神的に未成熟な部分がある。だからこそ親や両親は子どもが自立する道を指し示さなければならない。だが、その親や両親が"毒"だったら...というのが『ドラゴン桜』第2話であった。

大学の推薦が決まる試合に挑むのは、将来を有望視されるバトミントン部の楓(平手友梨奈)。試合中、ダブルスのパートナー、利恵(吉田美月喜)と接触し、楓が必死に隠していた膝のケガが発覚する。右ひざの半月板に損傷があり、完治するには2年。しかも必ずしも選手として復活できる保証はない。しかし、楓のケガが露見しても選手生命のことばかり気にして、娘のケガをまったく心配さえしない両親。自分たちの果たせなかったオリンピックの夢を娘に託しているのかもしれないが、桜木が「滑稽」という気持ちもよくわかる。「本人がどうしたいか、そこが一番大事じゃないか?」と楓の両親に言った桜木の言葉が、第2話を集約しているといってもいいだろう。

そういえば、2005年版の『ドラゴン桜』で特進クラスに入った水野(長澤まさみ)と楓は、まったく立場が逆だった。小料理屋を経営している母親に水野はまったく期待もされておらず、「うちの子に東大なんか入れるわけはないでしょ。筋金入りのバカなのよ、この子は」と言われるほど。一方、楓の両親は自分たちの果たせなかったオリンピックの夢を娘に託している。状況は違えど、子どもの意思はそこにはない。しかし、未来の道を選ぶのは子ども自身だ。どちらも"毒親"と言えるだろう。

そんな楓にさらに襲い掛かるとんでもない真実。試合中の接触事故は利恵が意図的に画策したものだった。しかもコーチは楓の膝のケガを知っており、あえて膝に負担のかかる激しい練習に追い込んでいた。利恵は大学の推薦を得るため、コーチをそそのかし、2人で共謀して楓を陥れたのである。さすがにここまでひどい部活のコーチはなかなかいないだろう。だからこそバトミントン一筋で生きてきた楓が東大を目指す動機となる。そして、すべてを知って途方に暮れる楓に桜木は言い放つ。「お前の道はお前が決めろ」。これは楓だけでなく、視聴者に向けたメッセージにも見えた。

また忘れてならないのが瀬戸(髙橋海人)。第1話で桜木を陥れ、悪役顔を見せた生徒である。これからどれだけの悪役っぷりを見せるのかと思いきや、そこまで悪人ではなさそう。学園内の放火事件で自分が火を付けたと自白した瀬戸だったが、実は楓をかばってしたことだった。学校の裏で牛耳る悪人というと、たいていは学力優秀な模範生徒というのが、学園ドラマのパターン。しかし、瀬戸は偏差値28で学年最下位ということで最初からそうではなかったのかもしれない。

最後、桜木に「私を東大に合格させて」という楓。これまで両親の思惑に流されてきた楓の表情とは一変していた。「オリンピック選手になるよりも、東大に入るほうがはるかに簡単だ」と言う桜木に「やるからには負けないから」と、楓の目には強い思いが込められている。そこには楓を演じる平手が初主演を飾った映画『響-HIBIKI-』を彷彿とさせる強い意思が感じられた。映画では少し長めな前髪と眼鏡をしていたため、まったく忘れていたが、この芝居を見てようやく楓と同一人物だと筆者は思い出したほどである。

第1話では桜木の破天荒ぶりに驚かされ、学園ドラマを逸脱した面白さがあった。今回は生徒たちにスポットを当て、桜木はフォローに徹している(そのフォローがあまりにも格好良過ぎる)。とはいえ、常識にとらわれないぶっ飛び具合は変わらない。学園ドラマとしては危ない領域に足を踏み込んでいるのも事実。楓の万引きや放火は、言ってみれば犯罪。だが、ここまでやらなければ、今の時代の視聴者には伝わらないのだ。楓の抱えていた"思い"はそれほどに深いということ。オリンピックを目指すということで物語的にドラマチックにしているが、親からのプレッシャーの大きさは子どもにとって関係ない。そこを分かってほしいがために、万引きや放火までを扱った制作サイドの"覚悟"が見て取れる。次回の予告では、ついに桜木の授業がスタート。学力アップをはかる"桜木メソッド"に期待したい。

(文・MAIMAI/イラスト・たけだあや)

【第3話(5月9日[日]放送)あらすじ】

東大合格者を見送るシンボルとして、桜木(阿部寛)が校庭に桜の木を植えた。龍海学園の龍をとって「ドラゴン桜」だ。
そんな中、東大専科には天野(加藤清史郎)、菜緒(南沙良)、楓(平手友梨奈)に続いて、偏差値が学年最下位の瀬戸(髙橋海人)も加わった。
水野(長澤まさみ)は早速ミニテストを行うが、中学レベルの問題にも苦戦する専科メンバーに、桜木はSNSを活用した勉強法を打ち出す。
一方、理事長の久美子(江口のりこ)は専科に生徒が集まり始めたことに焦っていた。
もしも東大合格者が5人出たら辞任しなければならない。早めに専科をつぶそうと、対抗する難関大コースを新設し、理系トップの秀才・藤井(鈴鹿央士)を引き入れる。
東大専科を見下す藤井に、桜木は「お前に東大は無理だ」と断言。
反発した藤井は東大の過去問を使った「東大専科」対「難関大コース」での勝負をもちかけ、負けた方のクラスは即廃止!存続を賭けた勝負は3週間後。果たしてその行方は...!?

◆放送情報
『ドラゴン桜』
毎週日曜21:00からTBS系で放送中。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」で配信される。
2005年放送『ドラゴン桜』も配信中。