【コラム】熊川哲也 Kバレエカンパニーが贈る心を揺さぶる名作「ロミオとジュリエット」

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【コラム】熊川哲也 Kバレエカンパニーが贈る心を揺さぶる名作「ロミオとジュリエット」
【コラム】熊川哲也 Kバレエカンパニーが贈る心を揺さぶる名作「ロミオとジュリエット」

熊川哲也といえば多くの人がご存知だろう。1972年北海道生まれ、15歳で英国の名門ロイヤルバレエ学校に留学。1989年に、世界中から才能ある若きダンサー達が集いその後のスターたちを生み出しているローザンヌ国際バレエコンクールで日本人初のゴールドメダルを受賞した。さらに、同年2月には英国ロイヤル・バレエ団に東洋人として初めて入団し、1993年には最高位であるプリンシパルに昇進。1998年に退団するまで、様々な大役を踊り、高い評価を得た。

翌1999年1月に日本で自らが率いるKバレエカンパニーを創立。「白鳥の湖」や「ジゼル」など多数の作品を自ら出演すると共に演出・振付も手掛け、世界のスターダンサー達を客演に招いてもいる。2017年には完全オリジナルの全幕作品「クレオパトラ」を発表、好評を博した。

動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で配信されているKバレエカンパニー公演の1つは、「ロミオとジュリエット」。シェイクスピア原作の、2つの敵対する家に生まれた若い男女が宿命的な恋に落ち、悲しい結末を迎える・・・あまりに有名な物語だ。

シェイクスピアといえば、そのストーリーの面白さと共にその台詞、つまり言葉の巧みさでも知られているが、バレエは言葉のない世界。ストーリーを、そして登場人物の喜怒哀楽すべての感情を、音楽や衣裳、セットや照明の力を借りながら、ダンサーたちの踊りによって観客に物語を伝える。

例えば、ストーリーの冒頭ではロミオ(熊川哲也)はロザライン(松岡梨絵)という別の娘に恋をしていて、何とか彼女に近づこうとしている。ロミオを適当にあしらうロザライン。そしてヴェローナの街の陽気な喧騒、キャピュレット家とモンタギュー家の小競り合い。ロミオと2人の親友(橋本直樹、井坂文月)が忍び込むキャピュレット家の舞踏会、そこでのロミオとジュリエット(ロベルタ・マルケス)の運命的な出会い。

出会った2人はまだ自分達に何が起こったのかもわからないけれど、ただ視線も身体も互いに引き寄せられずにいられない。そんな登場人物たちの喜びや怒り、切なさや心のざわめきが、言葉よりも雄弁に見るものに伝わってくる。

熊川哲也といえば、その美しい回転や高いジャンプで知られるテクニシャンだが、彼のロミオが素晴らしいのはその卓越した回転やジャンプがそのままロミオの若さや元気、恋に酔う歓喜を表現していることだ。そして可憐でありながら凛としたジュリエット、友人思いで熱血の2人の親友、ロミオや友人達を敵対視するキャピュレット家のティボルト(遅沢佑介)ら、他のキャストも見ごたえ十分の熱いパフォーマンスで熊川に応えている。

舞台は生で見るのが一番と言われているが、映像には映像の、得がたいメリットがある。まず、繰り返し見られること。そして生では望めない、ダンサーの表情や動きをアップで見ることができること。また、バレエをまだ観たことがないという方も、見放題配信であれば気軽にその世界に触れることができる。

この夏は、パラビでKバレエカンパニーの熱いパフォーマンスを予習し、できれば生のホンモノに触れて、またその余韻を楽しみに配信へと戻ってきてみてはいかがだろうか。

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