AIウォーズ ニッポン復活の未来戦略~グーグル、FBに勝つ秘策~(第3回):日本逆転の秘策

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AIウォーズ ニッポン復活の未来戦略~グーグル、FBに勝つ秘策~(第3回):日本逆転の秘策
AIウォーズ ニッポン復活の未来戦略~グーグル、FBに勝つ秘策~(第3回):日本逆転の秘策

日経電子版、日経産業新聞と連動してイノベーティブな技術やベンチャーを深掘りする、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」オリジナル番組の「日経TechLiveX」。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

日本のAI研究をリードする松尾豊・東京大学特任准教授と気鋭の経済学者、安田洋祐・大阪大学准教授が初顔合わせしてAIについて徹底討論する「スペシャル企画」。第3回は、米中が先行するAIウォーズが激しくなる中、日本逆転の秘策を考える。

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瀧口:こんにちは。日経CNBCキャスターの瀧口友里奈です。そして、私と一緒に司会進行していただくのは、日本経済新聞編集委員の奥平和行さんです。奥平さん、よろしくお願いします。

奥平:よろしくお願いします。

瀧口:さて、今回も前回に引き続き、テーマはAIということで、『AIウォーズ ニッポン復活の未来戦略~グーグル、FBに勝つ秘策~』の3回目をお送りしていきたいと思います。

奥平:4回シリーズの3回目ということですね。

瀧口:前回はAIと人間の違いとは何か、というお話で盛り上がりましたね。

奥平:「シンギュラリティ」という言葉も出てきました。この言葉で思い出すのはシリコンバレーでの出来事です。AIをめぐって電気自動車のテスラCEOイーロン・マスクさんとFacebookのマーク・ザッカーバーグさんが論争を展開していました。これについて、松尾さんが、一言おっしゃりたいことがあるそうですが?

松尾:僕は、(AIによる侵害を)本気で心配している人と、立場上言っている人というのがいると思うんです。先日、亡くなったホーキング博士は、いろいろなことを考えて心配していました。僕は(テスラCEO)イーロン・マスクさんについてはポジショントークだと思っています(笑)。

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瀧口:それは(テスラの)ライバルのFacebookやグーグルを牽制するという意味でしょうか。

松尾:(テスラは)随分AIの開発をしていますしね。何を言ってるのかな、と思います。

奥平:たしかに(テスラの進める)自動運転はAIの一事業ですよね。

松尾:(テスラは)AIとロボットだけで生産するような製造工程を作ろうとしていたりしますからね。

安田:シンギュラリティまでいきませんが、大きな懸念事項としてAIの進展によって雇用が奪われてしまうということはよく論争にあがりますね。経済学者はおおむね、奪われる雇用の量はそこまで多くないのではないかと言っています。要はAIができることによって新しい職も同時に生み出されるので、それほど急激に減ることはないのではないかということです。一方でAIの進展により格差が拡大するという議論がありますが、おそらく放っておくとそうなるだろうと言われています。バラ色ばかりの未来ではないけれど、そこまで悲観すべきかどうかもまだ分からないところだと思います。

奥平:オックスフォード大学のオズボーン先生もおっしゃっていましたが、アメリカの仕事の・・・。

安田:47%ですね。アメリカの仕事の半分近くがこの先20年くらいで自動化されるのではないかと言われていますね。

奥平:安田さんのご見解からすると、あの数字はやや悲観的すぎるということですか?

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安田:難しいですね。悲観的なのか楽観的なのかと言うことも難しいです。AIが得意なことは定型化されたルーティンワークとされています。本来、人間がやる必要がない仕事をAIがやってくれて、代わりの時間によりクリエイティブなことを人間がやればいいんだと考える人からすると、(AIに仕事の)半分が置き換えられるというのは遊ぶ時間が増えたり、クリエイティブな時間が増えるという良い発想もあります。

ここで気を付けなければいけないのは、今我々はクリエイティブな仕事を能動的にやるから楽しいわけですよね。AIが雑用をやってくれるから、お前はクリエイティブなことをやらなければいけない、と言われた時に、果たして(我々は)楽しみながらクリエイティブなことが出来るかというのは、また別途、社会を考えていく上で議論が必要な点かもしれません。

瀧口:そして人間対AIという構図もありますし、日本対アメリカ・中国といった構図も見えてきますね。

奥平:ここは、非常に大きな議論があるところだと思います。外形的なデータから、論文の数やスタートアップの数で見ていくとAI関連は米中が席巻という状況だと思うのですが、この状況に(日本は)どう競っていくべきか。(米中と)真正面からぶつかるべきでしょうか。

松尾:米中はすごいですよね。普通に考えたらどうやっても勝てない。

安田:論文数等のデータがありますね。

瀧口:見てみましょう。