シニア起業家の野望、成長へのさらなる一手

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シニア起業家の野望、成長へのさらなる一手
シニア起業家の野望、成長へのさらなる一手

日経電子版、日経産業新聞と連動してイノベーティブな技術やベンチャーを深掘りする、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」オリジナル番組の「日経TechLiveX」。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

メビオールの森有一会長、NILの佐藤幸蔵社長を起業に駆り立てた意欲は、いまだ衰えを見せない。いずれも化学の技術と植物が秘めた力の融合に新たな可能性を見いだしている。着々と資金を調達しながら、次の成長への一手を具体化しつつある。

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瀧口:こんにちは。日経CNBCキャスターの瀧口友里奈です。そして、私と一緒に司会進行していただくのは、日本経済新聞編集委員の奥平和行さんです。奥平さん、よろしくお願いします。

奥平:よろしくお願いします。

瀧口:この番組はこちらの日経産業新聞、日経電子版と連動して、革新的なテクノロジーや今後成長が見込まれるスタートアップ企業に迫る「日経TechLiveX」です。この番組はParaviのオリジナルコンテンツとしてお届けしています。

さて、今回のテーマですが前回に引き続き「経験は力なり!シニア起業家が挑む技術革新」と題してお送りします。ゲストをご紹介しましょう。まずはメビオール株式会社代表取締役で会長の森有一さんです。森さんよろしくお願いします。

森:よろしくお願いします。

瀧口:森さんは現在76歳。東レ・テルモ・アメリカのW.R.グレースなどの大企業を経て1995年に独立されました。

奥平:こちらが前回お伺いしました、土がなくても植物が育つ魔法のフィルム、アイメック農法です。しかしトマトで起業というお話にはびっくりしましたね(笑)。今回はここに至るまでの経緯を詳しく伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

瀧口:そしてもう一方ご紹介させていただきます。株式会社NIL代表取締役社長の佐藤幸蔵さんです。佐藤さん引き続きよろしくお願いします。

佐藤:よろしくお願いします。

瀧口:佐藤さんは69歳でいらっしゃいます。40年近く勤めた富士フイルムを4年前に退社されて、スタートアップ企業を立ち上げました。

奥平:こちら(SUNA BIOSHOT)は白髪が黒くなる、佐藤さんのロマンスグレーの素ということですね(笑)。こちらが誕生する経緯について今日はぜひお伺いしたいのでよろしくお願いします。

瀧口:シニア起業家ならではの経験と人脈が生み出したイノベーションということで、今回はお二人が歩まれてこられたヒストリーに迫っていきたいと思います。

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瀧口:キーワードに沿ってお話を進めていきますが、まずはこちらです。「壁を壊した"裃(かみしも)"と人脈」ということですが、まずは裃というのは何でしょうか?和服の裃のことですか?

森:はい、和服の裃です。正装ですね。

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瀧口:では森さんの経歴についてご紹介させていただきます。早稲田大学を卒業して東レに入社され、その後早稲田の大学院で博士号を取得。そして東レを退社後にテルモ、W.R.グレースと名だたる企業でキャリアを積まれました。

森:私が東レやテルモにいた時代は、(一般的に)一流大学を出て大企業に入って定年まで働くということが非常に良しとされていたわけです。

奥平:年功序列、終身雇用の日本型のシステムがまだ有効だった時代ですね。

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森:私の場合は東レが一番長かったのですが、テルモに入って、次にアメリカの会社に行った時に、アメリカの人達は大体2、3回転職しているんですね。その転職というのが(アメリカでは)非常にキャリアになっている。

その時に私も2、3回転職したのが良かったなと思いました。彼らと全く同じです。やはりアメリカはすごいという印象を受けました。皆さん自分の一番やりたいことを常に選んで企業を転々としている。

アメリカの会社を辞めた後、日米の大企業に勤めたのであと残るのはベンチャーしかないな、ということでベンチャーを作ったのですが、そうしたところ誰もサポートをしてくれない。それは(なぜかというと)、お前大企業を転々としているけれど、何か悪いことしたのか、と。

奥平:(周りは)そういうリアクションなんですね。

瀧口:アメリカとは逆の見られ方をするわけですね。

森:(複数回転職しているので)アメリカでは「お前結構能力があるじゃないか」ということで、とても居心地が良かったのですが、日本は全く逆なんです。日本でベンチャー起こしても、なかなか誰もサポートしてくれなかったんですよね。その時に「そうだ、やはり日本というのは裃が必要なんだ」と思いました。日本で一番強い裃は大学教授なんですよ。

奥平:なるほど。

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森:私は早稲田出身で、ちょうど早稲田大学の日本総合研究センターの客員教授を募集していたので、ここに入ろうと思いました。それで、入った途端に大企業さんと共同研究、それから国のプロジェクトに採用されました。ですからやはり日本は裃(が大事)。海外は全然関係ない、横から入っていい。そういったことを経験して、やはり日本でベンチャーがなかなか起きにくいというのはそういうことが(理由として)あるのではないかなと思いました。

瀧口:それで(ベンチャーを)始めた後、すぐに利益が出たんですか?

森:2013年まで赤字でした。そこから利益が出てまだ3、4年ですね。

奥平:実に20年近くにわたって利益が出なかったわけですね。

森:これ(共同研究)だからできたんですよ。全然お金がかからないですから。

瀧口:だから続けられたということですね。

奥平:大きな資本がなくても、ある種共同研究をやる中でうまく研究費が賄えたからできたというわけですね。逆にそれくらいのノウハウが詰まっていると、そう簡単には真似できない仕組みになっているんでしょうか。

森:これは全世界130ヶ国に特許が出してありまして、全部特許になっています。

瀧口:森さんに歴史ありということですね。