佐々木CEOが明かすNEXTユニコーンの雄「freee」の素顔

PlusParavi
佐々木CEOが明かすNEXTユニコーンの雄「freee」の素顔
佐々木CEOが明かすNEXTユニコーンの雄「freee」の素顔

「スタートアップ」が未来を創る――。話題のスタートアップや、イノベーティブな起業家をいち早く取り上げる「ビジネスにスグ効く」経済トークショー『STARTUP X』。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

ユニコーンとは評価額10億ドル以上の未上場スタートアップ企業のこと。クラウド会計ソフトサービスのfreeeは、そのユニコーン候補「NEXTユニコーン」の雄と目される。創業者でもある佐々木大輔CEOはなぜGoogleを辞め、あえて競争が激しいとされる「会計ソフト」の分野で起業したのか?新発想を生む独特の企業カルチャーはどのようにして生まれるのか?佐々木CEOにズバリ聞いた。

20181115_nikkeistx_02.jpg

20181115_nikkeistx_03.jpg

瀧口:『STARTUP X』1回目は、freeeさんにお邪魔させていただきました。『STARTUP X』では、番組がオフィスに突撃させていただきます。

奥平:(番組に)来ていただくのではなくて、我々がお邪魔するんですね。

瀧口:経営者の方のお人柄やこれまでのストーリー、会社のことなどを根掘り葉掘り伺います。

奥平:今、スタートアップが盛り上がっているので、ぜひそのスタートアップを今後始める人、スタートアップと付き合っていく人、ユーザーとして使っている人に気づきを与えられる番組にしていければと思っております。第1回ゲストは、佐々木さんです。

20181115_nikkeistx_04.jpg

佐々木:よろしくお願いします。

奥平:佐々木さんは、もともとは博報堂だったんですよね?

佐々木:新卒で博報堂に入りまして、その後PE(プライベート・エクイティ)ファンドに転職し、それからスタートアップのCFOになり、Googleに転職して。20代にたくさん転職をしました。

奥平:Googleは、起業家排出会社になっているというお話で。Googleの日本法人にいた方が、卒業されて起業されるケースが増えていますが、まさに佐々木さんもそのお一人ですね。なぜGoogleを辞めようと思われたんですか?

20181115_nikkeistx_05.jpg

佐々木:僕はGoogleで中小企業向けにオンライン広告を広めていくマーケティングの仕事をしていたんですが、やり始めた時、初めて仕事って面白いなと思ったんですよね。自分のやっていることに意味があることがわかって。世の中の中小企業の人たちは、オンライン広告を使うことによって経営の選択肢が広がるけれど、実はクレジットカードさえ持っていれば誰でも使えるということは皆さん知らない。それを広めていくということがとても面白くて。

成果も出てきて最初は日本、(最終的には)アジアパシフィック地域全体の責任者みたいなこともやっていたのですが、やっているうちに今度は日本の中小企業に新しいテクノロジーを活用した、新たな選択肢を見つけてもらえることをやりたいと思いました。そうするとオンライン広告だけでは限界だなと。もっと経営の根幹からテクノロジーを活用してもらわないと、本当の変化って起きていかない、と感じるようになりました。

瀧口:そこで最初に「会計」というところに目を付けられたわけですか。

20181115_nikkeistx_06.jpg

奥平:会計ソフトの世界って、パッケージがごまんとある世界ですよね。あえてそこに行こうとしたのはなぜですか?

佐々木:原体験があったからです。Googleに入る前にスタートアップでCFOをやっていました。やはり経理の仕事というのは一番手がかかる部分であって、自分の会社の経理の人間が、一日中入力の仕事をしていたんです。20~30人規模のそれほど大きな会社でもないのに、なぜこんなに入力をしなくてはいけないんだろう?ということを疑問に思っていたので、なぜ必要なのか一つ一つ入力の仕事を分析していきました。その結果わかったのは、確かに会社の資金繰りを管理しようとすると、これだけの入力が必要だということ。やり方は全く悪くなくて、悪いのは会計ソフトだということでした。

会計ソフトというのは、会計帳簿を作ることが主な目的として使われているのですが、帳簿を作ることしか目的になっていないので、経理業務全体でいうと本当に一部のことしかできないんです。それ以外にもやらなくてはいけない作業はたくさんあって、それぞれのシステムにいろいろなことを入力しないといけないので、入力が減らない。これらを全部つなげるソフトができれば、圧倒的に業務効率化できるのにと、当時思っていました。

そしてふと、中小企業向けの根幹に関わるようなテクノロジーの活用を進めることができないかなって思った時、そういえばあの時に思った経理の分野は何かイノベーションは起きたのかなと調べてみたところ、全く変化が起きてない。いまやソフトウェアはどんどんクラウド化しているのに、クラウド化の流れすら起きていない。これは全く進化がないという意味で、逆に面白いのかなと。もちろん伝統的な会社はたくさんあるけど、どこも何も進化していなかったんです。

奥平:会社を作られる時に旧来の会計業界から人を集めると、(旧来のものと)同じものができてしまうと思うんですが、どういったチーム構成を考えられたんですか?

佐々木:最初は2人で始めました。僕は企業の財務だったので、ユーザーの立場として使っていた側。もう一人は当時ソニーのエンジニアでした。

奥平:お二人とも会計ソフトのプロではなかったわけですね。

佐々木:プロではないです。どちらかというと親しみはあるという程度です。

奥平:ユーザー目線というのは面白いですね。自分たちの使いやすいものを作ろうと。

佐々木:当時いろいろな人にこういうビジネスをやろうと思っているんですけど、どうですか?と意見を聞くと、それは絶対失敗するよと言われました。

瀧口:そこまで言われるんですか。

佐々木:この業界は30年間変わっていなくて、挑戦した人もいたけどだめだったという話を聞いて、皆がうまくいかないって言ったり思ったりしていること自体が障壁になって、イノベーションが起こっていない業界なのではないかと思ったんです。

瀧口:この業界はうまくいかないだろうという噂で、常識が凝り固まっているということですね。さて、今回はNEXTユニコーン企業ということで、佐々木さんにお話を伺わせていただいているのですが。

20181115_nikkeistx_07.jpg

奥平:ユニコーンってよく聞くようになりましたね。シリコンバレーも数年前ですかね、ユニコーンと言い始めたのは。

佐々木:もう少し前からですかね。

奥平:日本はここ数年ですね。(ユニコーンは)いわゆる未上場だけど、企業価値の評価額が1000億円以上の企業。今年で言うとメルカリ上場があり、日本版ユニコーンという話がありました。freeeはNEXTユニコーン、もうすぐユニコーンということですが。

佐々木:そうですね。そうなんじゃないですかね(笑)。

奥平:経営者としては評価は大きい方がいいでしょうけど、ユニコーンという言葉は意識されますか?

佐々木:特に意識はしていないです。起業した時はシリコンバレーのニュース見てすごいな、と思うのはありましたけど、最近はそれほど意識する言葉ではなくなってきましたね。