TBSテレビ制作の『ケイゾク』『SPEC』に続く待望のシリーズ最新作「SPEC サーガ完結篇『SICK'S』」。三部作からなる本シリーズの第二作目「SPECサーガ完結篇『SICK'S 覇乃抄』~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~」の配信が、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて配信スタートした。国家や権力者、宗教団体などの対立に巻き込まれながらもSPECの存在に疑問を抱く御厨静瑠役を演じる木村文乃、そして、警視庁公安部を退職し、御厨とコンビを組む高座宏世役を演じる松田翔太にインタビュー。「覇乃抄」の見どころ、そして現場でのエピソードを聞いた。
――木村さんは出演が決まっていかがでしたか?
木村:確実に大変なことになるという予感はありました。これまでのシリーズを通して、たくさんのファンがいらっしゃる作品で、しかも完結篇となる物語と銘打った作品なので、嬉しいんですが嬉しくもなりきれない(笑)。のしかかるものも大きいので、えらいことになってしまったなと思っていました。実は、堤さんと『神の舌を持つ男』(TBS)でご一緒させて頂いた時に、「次は真面目な作品でやりましょう」と言われていたんです。なので、お話を頂いた時に「真面目な作品がきた!」って思ったんですが・・・この作品、真面目なんですかね(笑)?
――松田さんは、改めて本シリーズに出演することが決まった時はいかがでしたか?
松田:大興奮でした。と、同時に、どうなるんだろうっていう怖さもありました。SPECホルダーになれるのかと思ったら警察官だったんですよ(笑)。これは大変だぞっていうのはありましたね。
――『ケイゾク』や『SPEC』はご覧になっていましたか?
松田:『ケイゾク』は母親(松田美由紀)が出演しているから、あまり観ていなかったんですが、『SPEC』は面白く拝見しました。
――『SICK'S 恕乃抄』から時を経て、ご自身の役柄に対しての思いや捉え方に変化はありましたか?
松田:高座自身としての変化はないんですが、御厨のことをより身近に感じています。高座は、御厨のことを女性としてとか仕事の仲間というよりは、SPECに侵されて悩んでいる人だと思っていて、理解を深めていっていると思います。キャラクターとしては、高座は、変わらず、バカがつくほど正直なやつだと思いますが(笑)。
木村:私も捉え方は変わっていないのですが、掘り下げていっている感じです。ただ、弱音を吐いたり、心の内をポロっと話すようになった。そこ、は変わったところでもあるかなと思います。御厨本人は弱音とは思ってないでしょうが。
――堤監督が本作の舞台挨拶で「今回ほど、気合と根性に立脚したSPECの演出はない」とおっしゃっていましたが、それだけにSPECが発動するシーンの撮影は大変そうですね。
木村:堤組の撮影をしているとみんなが、「大変でしょう?」っておっしゃってくれるんですが、大変じゃないことなんてないですから(笑)。その大変さの上に何かが積み重なっていくものだと思っています。堤さんは、あまり言葉で説明をされる方じゃないので、「これ、どういう攻撃をしているんですか?」って聞いても「何かを守ってる」としか返ってこなくて、そういう面では大変ではあります(笑)。
松田:真面目な会話の最中に、ギャグ的な要素だったり、普通の時間軸じゃない堤ワールドが挿入されて、お芝居の間(ま)が切断されるんですよ。それで、また真面目な会話に戻るから、脳の切り替えがすごく難しい。もちろん、真面目な会話だけで終わらない、監督ならではの良さがそこにはあるんだけど、体力的なこととはまた違う大変さがある現場でもありますね。
木村:さっきまでキャッキャって話していたと思ったら、急に真面目になって・・・。切り替えは大変ですね。
松田:御厨は特にそういうシーンが多かったもんね。
木村:ボケなのかツッコミなのかよくわからなくなりますよ、自分でも(笑)。
――そういう時、感情をどう持っていって演じるんですか?
木村:強制的にという感じです(笑)。
松田:だから、現場以外で感情面を考えて準備をするということはないかな。現場で、どういうことなのかを理解するのが最優先です。
――それでも堤監督の作品に出演されるということは、それだけの魅力があるからですよね。
松田:それはもう、世の中の人もよくご存知だと思います。とにかく、作品が面白いですから。監督の作品には独特の間(ま)や独特の空気感があるので、それを作り上げる大変さはありますが、だからこそ、面白い作品が出来上がるんだと思います。
木村:苦労した分、ね。
松田:うん。絶対に面白い作品が出来上がるという安心感がある。
――出来上がったものをご覧になっていかがでしたか?
木村:「恕乃抄」を撮影していた時は、CGがどうなるかとか、どういう意図のあるシーンなのかということが何もわからない状態で演じていたので、「こうなるんだ!」って感動が大きかったですね。
松田:僕も、リアクションの限度っていうのがわからなかった。高座は普通の人間だから、どうなったら致命傷を負うのかとか、どこまでやっていいのかという、ニュアンスの理解がすごく大変だったので、出来上がった作品を観て、その加減がやっとわかりました。だから「覇乃抄」では、そのあたりは気にせずにやれていると思います。例えば、熱いものに触れたシーンでは、普段はどれだけ熱いかを考えて、その熱さによってリアクションを変えるんだけど、今回は熱いことが伝わればいいんだって、楽観的に考えて演じられるようになったかな。
――では、改めて「覇乃抄」の見どころを。
木村:「覇乃抄」は、私は友情や愛情のお話でもあるなって思っているんです。誰かのためを思って動くことに境界線はなくて、やるかやらないかの違いだけなんですよ。『SICK'S』はシリーズ通して、それをやろうとする人がもがいているお話なので、ぶっ飛んだファンタジーでエンターテインメントではあるんですが、やっていることは人間同士のお話。情に厚い話になっていると思います。
松田:それから、新しいSPECホルダーが、また手強いんですよ。だから、彼らに対して2人がどう戦っていくかも、見どころの一つですね。御厨が持っているSPECの名前も明らかになっていくので、そこにも注目してほしいですね。
木村:御厨の人格の名前と病名も明らかになります。実はこれも過去の作品とリンクしていて・・・。観てくださっている方が疑問に思っていた部分と繋がっていくので、そこも楽しみにしていただければ。
松田:それから(黒島結菜が演じるニノマエ)イトが強すぎるくらい強いんですが、彼女の秘密も明らかになっていきます。
――今回も、厳しい戦いが多そうですね。
松田:厳しすぎる!高座なんかは、銃を持っている意味がほとんどないよね。
木村:ないですね。実弾なのにこれだとプラスチック弾と同じですよね(笑)。
――最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
木村:パラビでは深夜帯に配信がスタートしますが、深夜だからこそ面白いと思える作品だと思うので(笑)。ナチュラルハイになって観ていただければいいなと思います。
松田:こっそり観て、クスッと笑う・・・そういう楽しみが満載なので、ぜひ深夜に観てください。ちょっとドキドキして、見ちゃいけないものを見ているような、そんな堤ワールドを楽しんでくれれば嬉しいです。
「SPECサーガ完結篇『SICK'S 覇乃抄』~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~」は、動画配信サービス「パラビ」にて配信中。
(C)Paravi