アプリの"視聴率"測る「AppApe」、仕掛け人は高専生の星

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アプリの"視聴率"測る「AppApe」、仕掛け人は高専生の星
アプリの"視聴率"測る「AppApe」、仕掛け人は高専生の星

「スタートアップ」が未来を創る――。番組がオフィスに足を運び、話題のスタートアップや、イノベーティブな起業家をいち早く取り上げる「ビジネスにスグ効く」経済トークショー『日経STARTUP X』。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

「AppApe」はさまざまなアプリの利用状況が把握できる分析ツール。アプリ開発会社だけでなく投資家なども注目するフラーの事業の柱だ。同社を立ち上げたのが長岡高専出身の渋谷修太CEO。筑波大編入後、グリーを経てフラーを創業するまでの歩みを振り返りつつ、同社社員の45%を占める高専出身者が秘める底力について聞いた。

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瀧口:今日は実際にサービスを見せていただけるということで。よろしくお願いします。

渋谷:こちらが「AppApe(アップ・エイプ)」というサービスです。スマートフォンのアプリってたくさんありますが、これはどのアプリにどのくらいユーザーがいるか調べることができるツールです。テレビだと視聴率という概念があって「"月9"は視聴率何%だった」なんて言ったりしますが、アプリになるとデータがブラックボックスになっていてどのアプリにどのくらいユーザーがいるかみんな知らないんです。そこに目を付けて作ったのがこのサービスです。

具体的にお見せすると、例えば皆さんご存じのインスタグラム。このアプリを日本でiOS端末に入れている人は何人くらいいるのか、マンスリーアクティブユーザーと言いますが月間の利用者が何人くらいいるのかなどがわかります。端末に入れていても使っていないアプリってたくさんありますよね。実際に使っているのか、使っていないのか、あとはどんな人が使っているのか。性別や年齢の構成、何時に使っているのかなども把握できます。

瀧口:性別もわかるんですね。実際インスタグラムは何人くらい使っているんですか?

渋谷:iOSの月間アクティブユーザー数が1000万となっているのでAndroidも合わせると月間2000万くらいですかね。

奥平:今1,089という数字が出ていますね。

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渋谷:これはあくまで推定の値なんですが、やり方としてはテレビの視聴率と一緒で何パーセントという概念なんです。視聴率と同じようにいわゆるパネルの皆さんがいて、その方々がいつどれを使っているかというデータを送っていただいているんです。これが日本でいうと数万から数十万人。

奥平:サンプル調査をしているんですね。

渋谷:そうです。その数万人いる方達の何人使っているかでパーセンテージが出るので、拡大推計という統計的な処理をして日本の国民の数、スマートフォンを持っている人の数、iOS、Androidを持っている人の割合を掛け合わせて数字を出します。ぴったりの数ではないんですけど傾向値としては正しくて、伸びているのか下がっているのか。またAとBという2つのアプリがあって、どちらがユーザーが多いのかを調べる時などはかなり正確になっています。

奥平:このサンプル調査に協力している人はどうやって集めているんですか?

渋谷:僕ら自身で集めたり、パートナーさんと一緒に集めたりしています。データというのはセンシティブなので創業時からずっと気を使っていて、ユーザーから勝手に取らないということを大事にしています。僕らの取り方は、一番最初に説明が出てきて、グラフィカルに表示しているんですけど、こういうデータを取得していて、何のために使うというのを理解していただいて、ユーザーさんに性別や年齢を入力してもらう感じです。

奥平:携帯のキャリアの会社などはラーメンのアプリを出して、電波の届きやすさを調べるために活用することもありますけど、コンセプトは似ていますね。

渋谷:そうですね。このサービスがある前と後で比較すると、無かった時はアンケートを取るしかなかったんです。例えば「LINEを使っていますか?YES/NO」みたいな。それで何人くらい使っているか見るんですけど、アンケートって難しくてスマートフォンの中の活動ってみんな無意識にやっているので、「1日にLINEを何回使っていますか」と聞かれても覚えていないですよね。

奥平:これまではアプリを出している当事者しかわからなかったものが誰でも使えるようになったと。

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渋谷:そうですね。あとはアンケートより正確なログデータを取得しているので、本当に何時何分にどれを使っているのかというのが入力しなくてもわかって、正確な分析ができます。このランキングは並べ方を変えたりすることもできまして。

奥平:地域が選べるんですね。

渋谷:そうです。アメリカなどのデータも僕らは持っていて、例えばiOSを選んでインスタが何人とかがわかるんでけど、アメリカのiPhoneを使っている人にとって、どれが人気なのかというのも簡単にわかります。

奥平:カテゴリごとにも絞り込みもできるんですね。