旧ジュリアナが新事業の"お立ち台"に QUANTUM高松CEOに聞く

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旧ジュリアナが新事業の"お立ち台"に QUANTUM高松CEOに聞く
旧ジュリアナが新事業の"お立ち台"に QUANTUM高松CEOに聞く

「スタートアップ」が未来を創る――。話題のスタートアップや、イノベーティブな起業家をいち早く取り上げる「ビジネスにスグ効く」経済トークショー『日経STARTUP X』。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

東京・田町駅の芝浦口から7分ほど歩くとボウリング場や倉庫、オフィスが入居する「第3東運ビル」が姿を現す。この1階には1990年代前半、ディスコ「ジュリアナ東京」があった。若い女性が「お立ち台」で踊り、日本中が熱狂したバブルの象徴となった場所だ。このビルの9階にあるのがスタートアップスタジオ。シルクを使ったスキンケア商品、ガスバーナーなどの音を使ったブランディングなど、ここで生まれたプロジェクトは30を超えるという。スタジオを運営するQUANTUMの高松充CEOを訪ね、新事業創出の極意を聞く。

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瀧口:さて、今日は東京芝浦のある場所に来ておりますが、奥平さん、ここが何の場所か分かりますか? ある一定以上の年齢の方には懐かしい場所なんですが。

奥平:ボウリングのピンがあるということは、ボウリング場があるんですね。

瀧口:そうなんです。というのはこちら。実はディスコ「ジュリアナ東京」の跡地なんです。この1階にジュリアナ東京が入っていたんですね。

奥平:写真でしか見たことないですね。

瀧口:奥平さん行かれたことはないんですか?

奥平:ジュリアナ世代よりは気持ち年齢が下ですね。

瀧口:気持ち下ですか(笑)。ではこのジュリアナ東京の跡地がスタートアップの拠点になっているということなので、今回お話を伺ってまいりたいと思います。

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瀧口:さて、今日はスタートアップスタジオのQUANTUMにお邪魔しています。CEOの高松充さんとQUANTUMの社内起業家の安藤紘さんにお越しいただきました。よろしくお願いいたします。

高松・安藤:よろしくお願いします。

瀧口:まずこのQUANTUM、そしてスタートアップスタジオがどういうものかお聞かせいただけますか?

高松:スタジオと聞くと(アメリカの)ハリウッドを連想する方も多いと思うんですけど、ハリウッドの映画スタジオが次々と映画を生み出すように、スタートアップスタジオも新規事業を次々と生み出していく所です。ハリウッドの映画スタジオが魅力的な映画を作り続けるためにディレクター、脚本家、プロデューサー、あと特殊映像の技術のようなノウハウを持っているのと同様に、スタートアップスタジオも新規事業を生み出すのに必要な専門人材とノウハウをたくさん備えています。

瀧口:それがスタートアップスタジオなんですね。ではQUANTUMさん自体はどのようなことをされているんでしょうか?

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高松:今世界に約200のスタートアップスタジオがあると言われています。その中でQUANTUMの特徴としては二つありまして、"クリエイティブダイバーシティ"と"生活者発想"。クリエイティブダイバーシティというのはまさにQUANTUMに集まっている多様な人材が生み出す価値を表す言葉です。そして生活者発想というのは我々が何をもって事業を作るのか、その原点を表している言葉で、QUANTUMが目指しているのは世の中を明るく、生活を豊かにする新しい製品やサービスを作っていく。そのためには生活者のことを良く知り、生活者が求めているものを作る。これが私たちの発想の原点です。

奥平:基本的にはBtoBよりもBtoCにフォーカスされているんでしょうか。

高松:そうですね。結果的に"BtoBtoC"になるケースもありますが、我々の売りは生活者を知っているということなので、BtoCの事業が多いです。

瀧口:QUANTUMさんの今までの実績を教えていただけますか?

高松:我々が新規事業を作る時には三つの方法があります。一つ目は企業さんと一緒に開発をするパターン。二つ目はQUANTUMの中で事業として立ち上げるパターン。社内起業家と呼んでいますけど、QUANTUMの社内起業家が考えたアイデアを事業化するというパターン。そして最後はスタートアップの方との共同創業。元々やろうと思っていた事業を立ち上げているスタートアップの方に時には出資をしたり、あるいは彼らの成長につながるような施策を一緒に実施したり。

この三つのパターンで新規事業を興しています。2016年の創業から3年ほど経つんですけど、一番多いのは企業さんと一緒に事業を立ち上げるパターンです。これまで3年間で約50社の企業さんと一緒に立ち上げました。

瀧口:そんなにあるんですか。

高松:もちろん中には一緒に事業を興そうと準備をしてきましたが、残念ながら志半ばでプロジェクトが終了してしまったものも多々ありました。基本的に世の中に対して発表している製品やサービスは約10個。その内実際に事業として今でも続けているものが5つほどございます。