「スタートアップ」が未来を創る――。話題のスタートアップや、イノベーティブな起業家をいち早く取り上げる「ビジネスにスグ効く」経済トークショー『日経STARTUP X』。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。
外食産業の人手不足が深刻化している。主な原因は厨房などの長時間労働や重労働だ。その作業負担を和らげたいと、調理ロボットのソフト開発に取り組むのがコネクテッドロボティクスの沢登哲也社長。「テクノロジーで飲食業に革命を起こす」との志をかかげる。職人ばりの手さばきをみせるたこ焼きロボ。愛くるしいソフトクリームロボ。実用化が進む機種の開発秘話は? なぜこの業界に身を投じたのか?
瀧口:さて、今回のお客様は調理ロボットを開発しているコネクテッドロボティクスの沢登哲也社長です。沢登さん、よろしくお願いします。
沢登:よろしくお願いします
瀧口:そして今日ご一緒いただくのは、日経ビジネス副編集長の原隆さんです。よろしくお願いします。
原:よろしくお願いします
瀧口:原さんは何度もこの番組にご出演いただいていて、スタートアップXファミリーと言っても過言ではないですが、これからも定期的にご出演いただく予定ですので、よろしくお願いします。ということで、先ほどからいい香りがしてますね。目の前になぜかたこ焼きが置いてあるんですけど。
沢登:こちらは当社の研究室でロボットが作ったたこ焼きです。
瀧口:ロボットが焼いたんですか? 普通のたこ焼きと一見変わらないように見えますけど。
原:これ食べちゃいけないんでしょうか。
瀧口:食べてもいいですか?
沢登:どうぞ召し上がってください。
瀧口:原さんが待ちきれなくて(笑)。あったかいですね。お味はどうですか?
原:おいしい。
瀧口:おいしいですね。やわらかい。これロボットが作っているんですか? 人が作るのとあまり変わらない感じですけど。
原:どこまでロボットが作るんですか?
沢登:具や生地の準備以外は全てロボットが最初から最後まで作っています。
瀧口:実際どんなロボットが作っているのか、VTRがあるので見てみましょう。
瀧口:もともと混ぜてある生地を入れているんですね。
沢登:これはタンクにある生地をピッチャーに充てんして、それをロボットが2回に分けて入れています。
原:むちゃくちゃかっこいいですね。男の子からするとアームが出てきて。かっこいい。
沢登:子供にはウケますね。たこ焼き器の方を振動させて、回転をサポートするんですが、それだけだと回らないのでロボットがどんどん回していきます。特にたこ焼きがひっくり返っているか、ひっくり返っていないかというところや、たこ焼きの焼け具合によってロボットの行動を変えているという、いわゆるAIを使っています。
瀧口:動きが思ったよりスピーディーで機敏ですよね。ちょうどこの秋からお店に導入されたということですね。
沢登:(千葉市の)イトーヨーカドー幕張店で稼働しています。
瀧口:評判はどうですか?
沢登:やはりお子さんたちが集まってきて珍しそうに見ていますね。たこ焼きの売り上げも結構良いということで、我々も子供たちが喜んでいるところを見るのが楽しいです。
瀧口:たこ焼きの焼き加減や焼き方のノウハウというのは、どうやってロボットに教えるんですか?
沢登:我々自身でロボットのカメラを通してどのように焼けるかというのを見たり、我々の知識だけでは足りないところもあったので、プロのたこ焼き屋さんを呼んで、どういう焼け具合がいいか、どういう風にひっくり返したらいいのか、そういった知識を結集させて作っています。今後さらにいろいろなセンサーを使って、もっとおいしいたこ焼きを作っていきたいと思っています。
原:昔、大阪の人をたこ焼き屋に連れていったら「表面がパリッとしているたこ焼きはたこ焼きじゃない!」って怒り出しちゃって。たこ焼きって結構流儀があるじゃないですか。ああいったものも再現できるんですか?
沢登:我々もいくつか試していまして、レシピによって外がカリカリのものもありますし、外側もやわらかいものなどいろいろあります。
瀧口:先ほどのたこ焼きはやわらかいものでしたね。
沢登:あれは我々のレシピで、やわらかいタイプですね。
瀧口:やわらかいたこ焼きのレシピを学習させたと。大阪人好みのたこ焼きですね。
原:たこ焼きにはうるさいですもんね(笑)。
沢登:地域によっても味や食感の違いにこだわりがありますからね。そういったものもロボットで再現できるようにしています。
瀧口:飲食業界で働く方って本当に重労働で大変なイメージがあるんですけど、こういうロボットが導入されると働く方にとっても楽になるということですよね。そうすると人間は必要ないということになるんでしょうか。
沢登:そこは結構重要な論点であると思うんですけど、我々として注目すべきところって人間がやっていて大変なところ。例えばたこ焼き器って200℃くらいになるんです。そこにずっと立ってたこ焼きのお世話をしていると熱くて大変ですし、鉄板に手が触れて火傷することもあります。そういった危なかったり苦痛が大きかったりする仕事を我々はサポートしていきたい。人間の仕事がなくなることはないと思います。その中でロボットができることはロボットに、人間ができることは人間がチャレンジしようとなってくると、ロボットをトレーニングする身としてもうれしいなと思います。