【ネタバレ】『ペンディングトレイン』動き出した三角関係と不穏な6号車

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【ネタバレ】『ペンディングトレイン』動き出した三角関係と不穏な6号車
【ネタバレ】『ペンディングトレイン』動き出した三角関係と不穏な6号車

5号車と共にペンディングしてしまった"6号車"の人間との遭遇が描かれ、元いた世界に戻れるかもしれない可能性が出てきた『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS系)第5話。

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"6号車"のリーダー的存在・山本(萩原聖人)によると、彼らがペンディングしたのは2060年の未来の世界のようだ。民間企業がこぞって宇宙開発に着手したことで運用できなくなった人工衛星や打ち上げ用のロケットの破片からできたスペースデブリ(宇宙ゴミ)が溜まってしまい、小惑星探査機と衝突。その結果小惑星の軌道を逸らしてしまい、そのまま地球と衝突してしまったのだという。

2026年に起きたこの人災の結果が、彼らが今身を置いている荒れ果てた地なのだ。未曾有のパンデミックに遭遇し異常気象に見舞われ続けている現実社会を思っても、この作中の"まさか"が現実のこととならないとは限らないと思えてしまう。

"戻れる方法があるに違いない。人類の未来を知った自分たちが帰ってこのことを大事な人に伝えなければ"という山本に対して、「未来は変えられる、それが俺たちの使命」とする優斗(赤楚衛二)。これにリアリストの直哉(山田裕貴)は「俺は信じない。帰れるなんて思ってない」「もし帰っても皆元の生活に戻るだけ、会うことなんてない」とどこまでも現実的でにわかに湧いた希望を寄せつけようとしない。

同じく、"戻れるかもしれない"という希望に懐疑的なのはネイリストの玲奈(古川琴音)だ。利己的で"自分さえ良ければ"という側面全開の彼女のことに誰よりも真っ先に元の世界に戻りたがっても不思議はないのに、何やら焦ったような複雑そうな表情を見せる。

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直哉にも通ずるところだが、玲奈もずっと何かに対して不満と怒りを滲ませ続けていた。彼らは本人の努力や希望だけではどうやったって抜け出せない現実があることを嫌というほど突きつけられ、夢見ることや大切な守るべき存在がいることが人を必ずしも強くするばかりではなく時に脆く弱くしてしまうことを身を持って経験してきたのだろう。抜け出したい現実・断ち切れない生活があり、そこから這い上がるためには手段を選ばずやってきたのだ。

自分は生活のために、成り上がるために必死にガールズバーで働いている中、その稼ぎをネイルなどのプラスアルファの美容代に充てている同僚を見て"お気楽なあの子たちとは違う"と自ら線引きすることで、自分の身に起きている不運に絡め取られないようにもがく自爪の玲奈。しかし、そうやって腹立たせながら、自分とは関係ないと寄せ付けないようにしながらも実は無性に憧れていたネイルを生業にした玲奈は、もし元の世界に戻れても皆と会うことなんてないと言いながらも夢の中では紗枝(上白石萌歌)と自分が働く美容院で再会を果たしている直哉とどこか似ているのかもしれない。直哉も"一番しんどかったのは期待して裏切られた時"と言っていたが、最初から夢なんて見なければ叶わなかったと傷つかなくても済むのだから。

そしてそんな直哉がまた切ない役回りを担おうとしているではないか。優斗には元いた世界に大切な人がいて、その大切な人が働いているのが自分と一緒に行く約束をしたお好み焼き屋であることがわかり落ち込む紗枝。そんな彼女に直哉が掛けた言葉が「その相手、過去の人なんだろ?(中略)今そばにいるのはあなたなんだから時空超えて落ち込むんじゃないよ」だったが、そりゃあそうだ。見ず知らずの相手で今ここにいない存在にショックを受ける紗枝に対して、直哉は気になる人が今まさに自分の目の前で自分も知っている相手のことで悩んでいるのだ。やるせなさすぎる。

しかし、ここで生まれる佳代子(松雪泰子)と直哉の年代もライフステージ等も超えた掛け合いが素敵だ。直哉から紗枝へのその感情を"恋"だとズバリ言い当て、生きてるだけで必死な状況であっても「ただただ生きてる中にそういう感情って含まれるんじゃないの?むしろそれが生きてるってことなんじゃないの?」とさらりと言ってのける佳代子が格好良い。

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さて、ラストは今話も怒涛の展開に見舞われた。金髪の男の死体が埋められているのが見つかったが、これはおそらく一緒にペンディングした連続刺殺事件の犯人で、金髪に黒色のキャップ帽という情報からも加古川辰巳(西垣匠)なのだろう。

加藤(井之脇海)を刺したのも加古川ではないだろうか。死体を発見してしまった玲奈と紗枝は、どこからかやってきたいかにも危ない男たちに囲まれてしまい、逃げ損ねた紗枝は自ら崖から飛び降りる事態に。

紗枝の身に迫る危険を聞いて真っ先に駆け出したのは直哉だ。そして優斗が後に続く。紗枝の運命は。そして紗枝を巡る三角関係はどう転がるのか。

(文:佳香(かこ)/写真:(C)TBS)

【第6話(5月26日[金]放送)あらすじ】

紗枝(上白石萌歌)と玲奈(古川琴音)は樹海を歩く中で、死体が埋められているのを見つけてしまう。唖然とする2人の前に6号車乗客の矢島(鈴之助)らが現れ2人を捕まえようとするも、紗枝だけが逃げ遅れてしまう。逃げてきた玲奈から事情を聞いた5号車の面々は、米澤(藤原丈一郎)の先導で護身用の武器を作ることに。加藤(井之脇海)を刺し、紗枝を危険な目に遭わせている6号車の人々を、5号車の一同は敵と見なしつつあるのだった。

一方紗枝を探して6号車へ辿り着いた直哉(山田裕貴)と優斗(赤楚衛二)は、乗り込んだ車内である衝撃的な光景を目撃し、山本(萩原聖人)を問い詰める。すると山本は、タイムワープ当日に起こった"事件"について語り始めて・・・。

◆放送情報
金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と
毎週金曜22:00からTBS系で放送中。
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」でも配信。
また、Paraviオリジナル「ペンディングトレイン~終電後トーク~」も独占配信中。