【ネタバレ】『クロサギ』胸にヒリヒリと突き刺さる平野紫耀の好演

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【ネタバレ】『クロサギ』胸にヒリヒリと突き刺さる平野紫耀の好演
【ネタバレ】『クロサギ』胸にヒリヒリと突き刺さる平野紫耀の好演

「お前には全てを失ってもらわないとね」

「お前って人間は誰かの金や誰かの命で出来てる。もう誰も騙せないお前は何にもないちっぽけな存在のまま死んでいくんだよ」

早くも "クロサギ "こと黒崎(平野紫耀/King & Prince)と宿敵・御木本(坂東彌十郎)の直接対決が観られ、怒涛の展開が繰り広げられた『クロサギ 』(TBS系)第4話。

今回のクロサギの標的は「ヘッドハンティング詐欺」だが、その先には御木本がグループ全体で仕掛ける大掛かりな「M &A詐欺」が控えていることがわかる。ヘッドハンティング詐欺で声を掛けた優秀な社員を会社に居づらくし退職に追い込む。それからその会社に、融資をする代わりにこちらが推薦した企業と合併することを条件として提示するのだ。もちろん合併先の会社は御木本の息のかかった所有物だ。追い詰められて生き残りに必死な会社に狙いを定め、頭の切れる優秀な社員は追い出した上で、乗っ取りを企てていく。

黒崎は"特別なシロサギ"白石(山本耕史)に相談をし、最終兵器"まほうのどうぐ"なるものを作成。御木本に乗っ取られる前に、その会社の親会社を設立し、そちらに資産も社員も移してしまう。御木本が合併で得た企業は社員も資産も何もないもぬけの殻状態。さらには、この一連の御木本による会社乗っ取りの実態をその他に彼がM &A話を持ちかけている企業に報告する。徹底的に完膚なきまでに御木本を打ちのめそうとする黒崎の気概が滲む。

さらに黒崎の先回りはこれだけに留まらない。これほど大掛かりな詐欺を仕込んでいたということは物騒な連中からもお金を借りているに違いないと睨み、御木本の会社の本社が上海にあることを掴むとある作戦に打って出る。M &A詐欺が全てダメになり上海に逃亡するであろう御木本が詐欺界のフィクサー・桂木(三浦友和)のマネーロンダリングルートから金をせしめると見た黒崎は、あえて御木本に桂木を裏切らせるような完璧なシチュエーションを作り出す。実際、御木本は上海で桂木の名前を使って有力者から20億もの巨額な資金を集めていたようだ。

一度は神志名(井之脇海)ら警察に逮捕された御木本だが、桂木の差し金によって釈放されるも、それは桂木が彼に与えた猶予期間だったのだ。桂木からのいわば厚意を反故にした御木本を喰うように、黒崎にお達しが入る。これぞ黒崎が狙っていた通りの展開で、桂木に隠れて御木本を喰うのではなく、桂木のお墨付きを得て正々堂々と宿敵との完全決着の場を手にしたわけだ。かなり良い具合に御木本に食らいつけているように見える黒崎だが、この決着の行方はどうなるのだろうか。

御木本と対峙すればするほど、自分の父親の顔さえ覚えてないとなじられ、標的にしたのも「餌に食いついたカモだったからだ、意味なんてない」と言い捨てられる。黒崎を"クロサギ"にした張本人ながら「お前の親父は幸せだな。期待に応えてやったじゃないか。息子が"クロサギ "という特別な存在になった」と、人にあらずな発言ばかりが飛び出し、黒崎の心は激しく抉り続けられる。

自分の家族や自分自身のこれまでの血を吐くような悔しさや努力、犠牲を全否定されたような気持ちになるだろうし、あまりに性根が腐り切っている相手の場合、復讐すればするだけ同時に行き場のない虚しさが募るだろう。後味の良い結末なんてどうやったって待ち受けていないのだし、復讐が完遂したところで家族も、これまでの黒崎の時間も返ってはこないのだから。

氷柱(黒島結菜)はその黒崎の様を「普通の幸せを放棄してるように見える人」と形容し、氷柱の父・吉川(船越英一郎)は「行ったきりにさせるのは良くない気がするんだ。誰もいない世界に。たまにはこちらに引き戻したくなるんだよ」と伝えた。

家族と自分の全てを狂わした諸悪の根源・御木本と向き合う時、この空虚さの先に何があるのだろうかとついそんなことが頭をもたげそうになった時、「あなたのことを気にしている人間が少なくとも1人はここにいる。あなたは1人じゃないから」という氷柱の言葉がきっと黒崎の心の拠り所となるのは間違いない。

黒崎役の平野の演技にヒリヒリと胸を刺されながらも、舞台を上海に移して展開される次話もまた必見だ。

(文:佳香(かこ)/イラスト:月野くみ)

【第5話(11月18日[金]放送)あらすじ】

御木本(坂東彌十郎)を追って上海に飛んだ黒崎(平野紫耀)。突如現れた早瀬(中村ゆり)とともに、黒崎は御木本に騙された有力者たちと顔を合わせていた。

上海の詐欺業界では、マフィアの二大勢力がしのぎを削り合っている。その片方「レッド・ドラゴン」という危険な組織から利子の返済を迫られている御木本は、新たな詐欺を仕掛けていた。

桂木(三浦友和)の名前を使って詐欺を働いたことで、もう日本には戻れない御木本。部下の垣根(金井勇太)と共に金策に奔走する。

そして、黒崎は中国人有力者たちに向かって、御木本に騙し取られた金を取り戻すと言い放ち、最終決戦の火蓋が切って落とされた――!!

日本では、黒崎の飼い猫・クロを預かっている氷柱(黒島結菜)の元を神志名(井之脇海)が訪ねてくる。黒崎を気にする氷柱に対し納得のいかない神志名だったが、黒崎が海外へ行ったと聞き、何かよくないことが起こっているのではと後を追う決意をする。

海を越えてなお届く桂木の思惑に翻弄されながらも、命を懸けて御木本を喰いにいく黒崎。そして桂木の息の掛かったレッド・ドラゴンと敵対するマフィア「キング・タイガー」も登場し、黒崎の復讐劇は怒涛の結末へ!!

◆放送情報
『クロサギ』
毎週金曜深22:00よりTBS系で放送。
地上波放送後に動画配信サービス「Paravi」で配信中。

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