Plus Paraviが注目する人物にフィーチャーする「オシダン!plus」。今回は、毎週火曜深夜24:58からTBSで放送中のSUMIRE主演のドラマ『階段下のゴッホ』に平光也役で出演する倉悠貴にインタビューした。
『階段下のゴッホ』はアートが題材のドラマ。本作の主人公は、とある絵画に出会ったことで一念発起し、画家になるという夢を叶えるべく東京藝術大学を目指すことにした"高収入バリキャリ女子"である鏑木都(SUMIRE)。仕事と美術の道の両立への挑戦を試みる都が、意を決し美術予備校に入学し、格差も壁も乗り越え自分らしく生きるヒューマンラブストーリーだ。 都が美術予備校で出会い衝撃を受けたのが、6歳下の絵画の天才・平真太郎(神尾楓珠)。そんな真太郎だが、ある葛藤を抱えており・・・。真太郎に最も影響を与えたのが兄・光也の存在だ。そんな真太郎の兄・光也を演じる倉が、現場の様子や本作の魅力について語ってくれた。さらに、俳優を目指したきっかけなどを聞いた。
――俳優を目指したきっかけは?
僕は大阪出身なのですが、高校生の時に大阪で雑誌のスナップ企画に出たんです。それを見た事務所の方が大阪まで会いに来てくださったのが、デビューのきっかけでした。芸能界は華々しい世界というイメージがあって、心のどこかで羨ましいなと思う気持ちはあったんですけど、当時は自分が芸能界に入ることは全く想像もしていませんでした。その時のスカウトをきっかけに、2018年に事務所に所属して、2019年からお仕事を始めさせていただきました。
デビューしてからは、映画に出演させていただくことが多かったんですが、お芝居をやらせていただくなかで、 自分が役を超えるような瞬間を体験したんです。すごく不思議な瞬間だったんですが、それが気持ちよかったんですよね。それと、皆さんに作品を見てもらって、いろいろな方に何かを感じていただくことも、すごくうれしくて、光栄なことだなと思ったんです。俳優として活動させていただくなかで、どんどん芝居の面白さを感じて、見てくださった方々の反響も含め、「うん、やっぱり、このお仕事楽しいな!」と思えるようになりました。
――これまでの作品でご自身の中で、転機になった経験は?
今年の5月ぐらいまで、カナダのバンクーバーで撮影をしていたんです。日本人以外の方が多い環境でお芝居をさせていただいた時に、言語を通さずに伝わるものがあるんだなっていうことを感じたのが、僕の中では発見でした。それと、自分の意見を言うことの大切さは感じましたね。日本だと言わないことが美徳とされるところもあると思うのですが、海外だと意見を言わないと、意見がない人に思われるんですよね。そういうことを学ぶことができて、すごく刺激になりました。
――帰国後も出演作が続きましたが、改めて本作『階段下のゴッホ』の脚本を読んでいかがでしたか?
僕が演じる光也は作品のキーパーソンというか、すごく大切なキャラクターだなと思いました。
――光也を演じる際に意識されたことは?
この作品では、やっぱり光也と、弟の真太郎の関係性が物語の鍵だと思うので、しっかり描きたいなと思っていたんです。なので、1シーン1シーン、丁寧に楓珠とコミュニケーションを取りながら演じていました。小牧(桜)監督と楓珠と、絵を描くときの所作や、「ここって、どうだと思う?」みたいな芝居の相談を3人で話しながら、探っていくこともたくさんありましたね。光也と真太郎、それぞれソロでのシーンも多かったので、お互いがお互いのシーンでやったことを伝えていました。例えば、僕がペン回しをしたら、楓珠もそれをやってみる、ということもありました。
――役作りでされたことはありますか?
特別な役作りはせずに、光也と真太郎の関係性から自然と生まれてくるものを大事にしていましたね。お互いに意識している関係性だからこそ、光也の中での真太郎、真太郎の中での光也というものがそれぞれあるんですよね。楓珠や小牧監督は、光也のことを"概念"って言ってたんですけど(笑)。
――"概念"ですか?
はい(笑)。真太郎がリードキャラクターとして物語が進んでいく中に光也の"影"があるというか・・・。逆に、光也の中にも真太郎がいるんです。光也から見える真太郎像をちゃんと持っていれば自然に成立するような作品だったので、演じやすかったなと思います。
――ご自身から見て、光也と真太郎の関係はどう感じていましたか?
すごくいい兄弟ですよね。光也は真太郎に対して愛があるし、それは真太郎も同じで・・・お互いに尊敬できる関係なんですよね。そうした関係性のなかで、光也は弟に対しての嫉妬や焦りみたいなものを感じてしまうんです。でも、それはきっと誰にでもあることだろうなと思いました。
――光也は人間味を感じるキャラクターで、だからこそ共感させられるんだなと思いました。
僕も兄貴がいるので、光也と真太郎には、自分の兄弟の関係と照らし合わせて考えたりしました。兄弟どちらかがうまくいって、どちらかがうまくいかない状況って絶対あると思うんですけど、そういう時に感じていた自分の気持ちを思い出しましたね。
――劇中で絵を描いてみていかがでしたか?
もともと絵を描くことはなかったんですけど、絵を描いてる時って、すごくむき出しになるというか・・・自由で落ち着くし、心地よい時間だなと思いました。楽しかったですね。
――改めて、倉さんが思う本作の魅力や見どころは?
都を見ていると、「夢を追いかけるのは、今からでも遅くない」ということを感じます。努力して報われないこともあるけど、やっぱり報われる人は努力しているんだなと思ったりもするし・・・本当にいろいろな人が共感できるメッセージがたくさん詰まったドラマだと思います。光也と真太郎の関係性にも、注目して観ていただきたいです。
(取材・文/齊藤恵)
◆放送情報
ドラマストリーム『階段下のゴッホ』
毎週火曜深夜24:58~25:28
動画配信サービス「Paravi」にて1話から最終話まで先行有料配信中。
(C)「階段下のゴッホ」製作委員会