ヤングマガジン及びwebで連載された気鋭の漫画家・Gino0808による同名漫画を原作に据え、ジャニーズWEST・重岡大毅が主演を務める『雪女と蟹を食う』（テレビ東京系）の第2話が7月15日に放送された。
人生に絶望した北(重岡)は、人生最後の日に北海道で蟹を食うと決め、セレブ妻・彩女(入山法子）を尾行して家に押し入る。しかし、彩女が自分も蟹を食べたい、旅費は全部もつと言い出したことから、二人の旅が始まる。
強盗に押し入られた女性が運転させられ、逃避行する点では、黒沢清監督の映画『トウキョウソナタ』とも通じるものがあるが、強盗に入った側が女性にリードされて旅をするのは、なかなか不可思議な展開だ。しかも、北はすぐに誘拐の罪になるのではないかと不安になる。しかし、彩女が自分を放っていけば警察に駆け込むと言ったのだから「これは脅迫だ」と、自身の不安を打ち消す。死ぬことを決め、強盗にも入ったくせに、どこまでも小心なのだ。
気づくと、そこは日光で、修学旅行で風邪をひいて行きそびれたことを思い出す北に、彩女は「行ってみます？」と寄り道を提案する。さらに、中禅寺湖で風景を満喫し、コンビニで買ったガイドブックを眺め、翌日は会津若松に行くことを決める。「大人の夏休み」をしようと言い、ワクワクしてきたと笑う彩女。ご当地グルメや観光地などを楽しむ様子は、傍から見れば単なる旅行だが、大きな違いは最後に「死」が待っていることだ。
しかも、旅を純粋に楽しむ彩女を見るうち、肌を重ねるうち、北の心の中に彩女を愛おしいと思う感情が芽生えてくる。しかし、その愛おしさは、行きつく場所のない、何もない「むなしさ」だ。一方、無邪気に旅を楽しんでいるように見える彩女だが、「来るわけのない」夫（?）の幻影にとらわれているようで･･････。
二人が次に選んだ寄り道の場所は、山形の銀山温泉だ。共に翌日、8月8日が誕生日だとわかり、今夜二人でお祝いしようと嬉しそうに言う彩女を見て、出会った頃より明るくなったと言う北。すると、彩女は言う。
「享楽に耽ることでしか救われないことがある。それがこの頃、ようやくわかったんです」
それを教えてくれたのは北だったと言い、蟹を食べたくて盗み働くという発想は自分にはなかった、すごいバカ、とても良いバカと笑う。さらに、彩女の意味深な言葉が突き刺さる。
「倫理なんて考えず、快楽を素直に享受できる人間だけが幸せをむさぼれる。少し前まではそんな人間を、指をくわえて見ていただけでした」
突飛な発想と衝動で行動する北が、死に向かっているはずなのに、生に拘泥しているのに対し、彩女は死の淵から生に向かって歩み出したように見える。
日付が変わった瞬間に、日本酒で乾杯する二人。日本酒が苦手な北の分も飲んだ彩女は、そのまま北に口移しし、世の中には理不尽なことや自分ではどうにもならないことが多すぎるから、お酒を飲んで忘れるのだと言い、「一緒に溺れましょう」と誘う。
彩女にはいったいどんな秘密があるのか。
翌日、朝風呂を楽しむ北の傍らで、鍵付きの手帳に何かを書き込み、涙ぐむ彩女の姿があった。第1話でも手帳に何やら書き付けるシーンがあったが･･････大きなダイヤの指輪をくれた夫とは？
そんな中、外していた指輪を再びつけた彩女が、高熱で倒れる。旅館のスタッフが救急車を呼ぼうと言っても、「大丈夫、慣れてますから」と拒否し、どうしても今日銀山温泉に行かなければいけないとこだわる彩女。
体調の悪い彩女にかわり、ペーパードライバーの北が運転をする中、北の心に猛烈なむなしさが再び襲って来る。帰る場所のある彩女と、死ぬしかない自分と――今ここで死ねたら、彼女をダンナのもとに返さなくて済むという衝動から、アクセルを強く踏み込が、そこでもやっぱり思いとどまる北。しかし、彩女が再び倒れてしまう。
小心で、思考回路もシンプルな北と、ますます謎が深まる彩女。二人が無事、目的地にたどり着けるかも怪しい展開になってきた。
（文：田幸和歌子）
【第3話（7月22日[金]放送）あらすじ】
死ぬ前に蟹を食べるため北海道へ向かう北（重岡大毅）と同行する謎多きセレブ人妻・彩女（入山法子）は山形・銀山温泉を次の目的地に、北上していた。そんな中、体調を崩した彩女を目の前にした北は、ふと自分の辛い過去を振り返る。銀山温泉に到着し、彩女の看病をする北だったが、彩女が婚約指輪を付けていることに気づき複雑な気持ちに。さらに翌日、道中で書店に寄った北は、偶然彩女の夫・雪枝一騎（勝村政信）の小説を見つけ･･･。◆番組情報
ドラマ24『雪女と蟹を食う』
毎週金曜深夜0：12からテレビ東京系で放送
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信
（C）「雪女と蟹を食う」製作委員会
