「同棲を解消したい」
「今は一人になってゆっくり考えたいんだ、ごめん･･･」
突然幕を閉じた堤司部長（竹財輝之助）とのお試し同棲に続き、残業三昧の社畜OL "まるちゃん"こと丸山真由美（中村ゆりか）に今度は仕事面で大きな変化が訪れた『部長と社畜の恋はもどかしい』（テレビ東京ほか）第10話。
営業アシスタントのまとめ役として、いきなりマネージャーに大抜擢されたまるちゃん。アシスタント業務には一切タッチしてはならないというお達しに、もちろんすぐに持て余してしまったまるちゃんは「堤司部長にも仕事にも見捨てられた」と思わず嘆く。"社畜"がゆえに堤司部長から愛想を尽かされたと思い込んでいる彼女からすれば、その"社畜"として活躍できる場さえ奪われ、自分には何もないかのような気分になってしまったのだろう。
しかし、「会社がお前に何を求めてるのか、そこんとこよく考えてみろ」という拝島（佐野岳）からの喝もあり一念発起。2人の同期同盟はやはり素敵だ。早速「全員定時退社プロジェクト」を立ち上げ、仕組みづくり、ルール整備に乗り出す。アシスタント業務をまるちゃんが一括で引き受け、そこから各アシスタントに業務を振り分ける。さらに、即日対応〆切の仕事については午後4時までと受付時間を設定。まるちゃんマネージャーの旗振りの下、プロジェクトは早々に軌道に乗り成果を出す。
しかし、これも実は堤司部長のシナリオ通りだったのだ。
「丸山なら絶対に良いマネージャーになる。なぜなら彼女は根っからの社畜だから。会社のためなら絶対にその職務を全うする。彼女が変われば昭和脳な営業部全体の雰囲気も変わる」
人事部長の諌山（丸山智己）にまるちゃんをマネージャーにレコメンドした堤司部長の先見の明と適材適所の配置が功を奏したのだ。"社畜"ゆえ全てを失ったと思っているまるちゃんからすれば、その"社畜"ぶりを認めてもらい、上手く活かそうとしてくれている堤司部長の本音に触れて込み上げてくるものがあっただろう。
そして本当にまるちゃん自身、見違えるように変わった。諌山に残業代がカットになる分アシスタントの昇給を提案し「真の働き方改革」にまで着手し始める。ここまではさすがの堤司部長でも予想できていなかったのではないだろうか。
"お試し同棲"を解消した今、堤司部長が今自分にできる「社畜の真由美を応援する」ことは、彼女の能力が最大限発揮される形で労働環境を整えることだと思ったのかもしれないし、それこそが今後自分とまるちゃんがわだかまりなく、2人がそれぞれらしく交際を続けられる唯一の方法だと考えたのかもしれない。
今話では"残業の鬼"だったかつての営業部のエース・堤司が、なぜ突如総務部に異動をしたのか、その理由が明かされた。なんと堤司部長が異動を志願したのは、他の誰でもないまるちゃんのためだったのだ。営業部時代の堤司のかつての部下で会社に来られなくなってしまった根津（上川周作）のように、自分自身がまるちゃんを壊してしまうのが怖くて営業部を去ったのだという。
なるほど、彼が第1話から"社畜"を徹底して忌み嫌うのは何より自分自身への戒めだったのだ。せっかく自分が離れた後も相変わらず社畜を続けるまるちゃんの姿を見るのは何とも歯痒かったことだろう。ということは、今回"お試し同棲"の解消を切り出したのも、きっと当時と同様に自分が近くにいることでまるちゃんに良からぬ影響を与えてしまいかねないと思い至った部分もあっての判断なのかもしれない。１人で抱え込みすぎながら決断する堤司部長が切なくも思える。
付き合うずっとずっと前から自分のことを見守ってくれていた堤司部長の想いに気づいたまるちゃんは、彼の元へ駆け出す。そこに届いた通知が何と「外出自粛要請発令」。遂に『シャチ恋』の世界線にも謎の感染症がやってきたようだ。
（文：佳香（かこ）／イラスト：月野くみ）
【第11話（3月16日[水]放送）あらすじ】
堤司（竹財輝之助）が異動したのは自分のためだと知り、走り出す真由美（中村ゆりか）。復活愛を遂げた二人だったが、そんな最中、謎のウイルス流行により、リモートワークを余儀なくされることに。二人がリモートデートで愛を育む一方で、三森（小野莉奈）は推しアイドルのコンサートも軒並み中止となり、働く意味を見失っていた。拝島（佐野岳）もまた、足で稼ぐことができない今の状況に自信を失う日々･･･。そして、ようやくパンデミックが収まり集まった営業部。しかし、想像以上に苦境に立たされていて･･･！？
◆番組情報
ドラマParavi『部長と社畜の恋はもどかしい』
毎週水曜深夜0：30からテレビ東京ほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」で前週水曜日の夜9時より毎話独占先行配信中
