【ネタバレ】藤井流星の裏切りが示した、『DCU』のテーマとは?

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【ネタバレ】藤井流星の裏切りが示した、『DCU』のテーマとは?
【ネタバレ】藤井流星の裏切りが示した、『DCU』のテーマとは?

横浜流星藤井流星の"W流星"が話題となった日曜劇場『DCU』第5話。それは、このドラマの骨格がはっきりとした回だった。

瀬能にとって、信じるべき人とは誰なのか?

海上保安庁の協力のもと、DCUという架空の組織による潜入捜査を描いてきた本作。そのスケールや、メインキャストが3話で死亡するといった大胆な展開に注目が集まっていたが、この5話は『DCU』が描きたいことがクリアになった回だったと思う。

このドラマの骨格は、"信じられるのは誰か"ということ。もともと主人公である新名正義(阿部寛)自身が黒幕かもしれないという疑惑から始まり、2話の漁師殺人事件には刑事が悪に手を貸すという裏切りがあり、3話の成合隆子(中村アン)の死は信じたはずのロペス(フェルナンデス直行)に裏切られたことが引き金となっていた。このドラマは常に信頼と裏切りが入れ替わるようにして顔を覗かせている。

そして、第5話の国土交通省副大臣の長男・木下裕司(三浦獠太)が誘拐された事件も、その裏には瀬能陽生(横浜流星)の学生時代の先輩・中林守(藤井流星)の裏切りがあった。

こうした構造を幾重にも連ねていくことによって浮かび上がってくるのが、"信じられるのは誰か"という命題だ。ダイバーは必ず2人1組で行動する。万一のことがあったとき、自分を助けてくれるのは相棒であるバディだけ。バディは、ダイバーにとって命綱。本当に信頼できる相手しかバディは務まらない。

こうしたダイビングの鉄則が背景にあるからこそ、"信じられるのは誰か"というテーマがより強く響く。同時に、信じるべき人を間違ったとき、その身は危険に瀕するということも。

今回で言えば、瀬能は信じるべき人を誤った。中林を慕うあまり、敵の術中にはまってしまった。まだ若く視野の狭い瀬能は、信じるべき人を見抜く目が育っていないのかもしれない。

だとしたら、このドラマは直情的で未熟な瀬能が信じるべき人を見つけ、その手をつなぐ成長物語になるのではないだろうか。

この第5話は、そのためのフックのような回だった。あらかじめ中林に疑惑の目を向かせておきながら、秘書の日村翔平(栁俊太郎)という囮を登場させることで、視聴者を撹乱させたのは、シナリオ的にもうまかったと思う。また、これまで新名を疑い続けてきた西野斗真(高橋光臣)が新名を信じたことで解決の道が開かれるという筋書きも、テーマに合っている。

おそらく瀬能の信じるべき相手とは新名だろう。きっとまた新名か、瀬能か、あるいはDCUそのものに致命的な危機が訪れる。

そのとき、瀬能が新名を信じることによって、絶体絶命のピンチが形勢逆転のチャンスに変わる。そんなドラマになることを予感させる第5話だった。

また、この構造を踏まえて言うと、成合淳(吉川晃司)もまた信じるべき人なのではないかなと思う。現状の成合は怪しさしかない。瀬能の父はテロリストであり、成合はそのスパイだったという新名の説は一定の説得力がある。だからこそ、そんな新名の疑いを覆す謎がまだ隠されていて、成合はその真実を追い続けていると考えた方がドラマティックだ。

ずっと疑い続けてきた新名が、もう一度成合を信じたとき、最強のバディが復活する。これは、新名にとってもまた信じるべき人を見つけるための成長物語なのかもしれない。

ただそうなってくると、成合以外の誰かが裏切り者となるわけで、当然、その疑いの矛先はDCUの誰かに向くわけだけど、誰が裏切り者かという点も含め、ハラハラさせてもらえたらドラマとしては納得だ。

藤井流星が咲かせた悪の華と、横浜流星の正義の華

第5話は、木下の誘拐に焦点が絞られ、見やすくすっきりした内容になっていた。学生時代の思い出の象徴であった腕時計が裏切りの証拠になるという仕掛けも皮肉が効いていたし、中林に手錠をかけるタイミングでアラームが鳴る演出もなんともやるせなかった。ハタの食べ方に関する何気ない会話が、成合がその場にいた痕跡となるのも伏線の組み方としてよかった。

藤井流星の低くてしゃがれた声は悪人らしくて魅力的だったし、横浜流星のアクションシーンも相変わらず華がある。"W流星"対決もさることながら、藤井流星は『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』で最凶ギャンブラー、横浜流星は映画『嘘喰い』で天才ギャンブラーを演じており、そんなギャンブラー同士の駆け引きもメタ的な視点でニヤニヤした。

大友裕也(有輝土佐兄弟)が航海士の資格を有しており、船の構造に詳しいという設定も、DCUメンバーの個性を表す上では重要な部分だと思う。現状、DCUメンバーの能力の違いが、神田瑠璃(趣里)以外はなかなか見えてこないので、2話で披露した森田七雄(岡崎体育)のメカ捜査など、それぞれ自分の専門性を捜査に活かす場面がどんどん出てくると、チームとしての魅力がもっと出てくると思う(まあ、船に関してはフェイクだったわけだけど・・・)。

とりあえず隆子が単独行動で命を落としたのに、ガンガン単独行動をするDCUにはちょっとヒヤヒヤしますが、どうかみなさん無事に最終回を迎えてほしい。

(文:横川良明/イラスト:たけだあや)

【第6話(2月27日[日]放送)あらすじ】

溺死した身元不明の女性の遺体が横浜の港で発見された。被害者が身につけていたダイヤの指輪が盗まれずにいたことから自殺も疑われたが、遺体の肺の中に残されていたのはオホーツク海に生息するプランクトン。死後約1日しか経っていないことからも、自殺に見せかけた殺人事件として、DCUが捜査に乗り出す。

調べを進めるうち、殺害現場は水族館であることが分かった。さらに、身元不明だった被害者は、魚サプライヤーの木見一郎(加藤雅也)の婚約者と判明。新名(阿部寛)は瀬能(横浜流星)らと捜査を進めていく。不審な動きを見せる水族館プロデューサー・根岸那由(明日海りお)と木見を怪しく思いつつも、その証拠はどこにもなく・・・。

◆番組情報
日曜劇場『DCU』 毎週日曜日21:00からTBS系で放送中。 地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」でも配信中。