残業三昧の社畜OL "まるちゃん"こと丸山真由美（中村ゆりか）のつれない態度に、定時上がりの総務部長・堤司治（竹財輝之助）がデスパレートに陥る様子が描かれた『部長と社畜の恋はもどかしい』（テレビ東京ほか）第4話。
自分の気持ちや2人の関係をはっきり口にするのを恥ずかしがっては避け、"言わなくてもわかるだろう"と高を括っていた堤司部長の言葉足らずが、思わぬ展開をもたらしてしまう。都合の良い女ではなく「堤司部長のちゃんとした彼女になりたい」と決意したまるちゃんは、彼からの食事の誘いを断り自分磨きに精を出そうとする。突然突きつけられたNOに、今度は堤司部長が「俺って都合の良い男なのか」という疑念を抱き始める。2人は既に互いを大切に想い合っているのに･･･ん〜、なんともじれったくもどかしい･･･！
理由はどうあれ、それが勘違いであったとしても残業三昧だったまるちゃんの帰宅時間がどんどん早くなり、さらには彼女の脳内メモリーに仕事以外のことが詰め込まれ始めているのは大きな変化だ。これまで周囲からの"お願い"に応えるばかりで仕事に忙殺されていたまるちゃんは、どこか仕事に逃げていた部分もあったのかもしれない。周囲と衝突せず波風を立てないで"いいよ、いいよのまるちゃん"でいた方が嫌われないし、自分の"本当にやりたいこと"を考えなくても済む。自身の本音と向き合う暇もなくただただ目の前の仕事をこなしていた方が気も紛れて楽だったのかもしれない。そんな彼女が堤司部長のおかげで、自分自身を見つめ直す絶好の機会を得たのだ。"頼まれたから"ではなく、自分の心の赴くままに、自分の心がときめくことを見つけて熱中するのは案外難しいことなのかもしれない。
「仕事以外の用事があるのってな〜んかすごいなぁ。帰ろうかな。でも帰っても一人だし。別にそんなの今まで何とも思わなかったけど。今は一人がとっても寂しい」
定時帰りの人たちが、次の予定に向けてや誰かと会う約束のために足早に通り過ぎてゆくのを、ベンチに座ってボ〜っと眺めるまるちゃん。"やりたいことを仕事に"なんていう風潮の高まりもあり、副業など働き方の選択肢も増えた今、それが見つかっていない人にとっては時としてそれは焦りをもたらしかねない。周囲が"やりたいこと"や"夢中になれるもの"を見つけ、趣味に推し活にとやけに充実しているように見え、ふとした瞬間に自分だけが取り残されているかのような疎外感、置いてけぼり感を感じる人も少なくはないだろう。
趣味を探そうにも、結局パソコン教室の前で足を止めて"もっとスキルをつければテキパキ仕事をこなせる"とどうしたって仕事に繋げてしまう自分のことを「趣味も何もないスカスカの人間」だとネガティブに捉えるまるちゃん。そんな彼女に堤司部長は「社畜になるほど仕事を頑張る丸山がスカスカのはずあるか」と一蹴した。アイドルオタクの後輩アシスタント・三森さとみ（小野莉奈）から指摘された通り、"仕事が推し"ももちろん素敵な１つのアイデンティティーであり、必ずしも"仕事以外"まで充実していなければならないなんてことは当然ないのだ。
そもそも彼女が仕事を頑張るのは"みんなの役に立ちたい"という貢献欲ゆえで、スカスカなんて自分のことを卑下する必要など全くない。今回も"堤司部長にふさわしい存在になるべく"自分磨きに勤しもうとするまるちゃんはどこまでも健気だ。しかし今回ばかりは何より「堤司部長の彼女になりたい」という自発的な彼女の願望、意志が反映されている。周囲にばかり向いていたベクトルを自分自身の内面に向け始めたまるちゃんのさらなる変化が楽しみだ。
次週はどうやら営業部のエース・拝島（佐野岳）が大阪出張を終え、本社に帰ってくるようで、何やら早くも三角関係の予感がしている。
（文：佳香（かこ）／イラスト：月野くみ）
【第5話（2月2日[水]放送）あらすじ】
真由美（中村ゆりか）を連れて堤司（竹財輝之助）が向かったのは、ホテル街!?...ではなく雑貨屋だった。そして、真由美にコーヒーカップを選ばせる堤司。やっとお付き合いが始まったと思っていた真由美だったが、堤司の「付き合って」という言葉は、買い物に付き合ってほしいという意味だったと知る。そんな中、都合のいい関係から脱出すべく、とある行動に出た真由美は、ひょんなことから堤司が缶コーヒーを買いだめしていることに気づいてしまい...!?
◆番組情報
ドラマParavi『部長と社畜の恋はもどかしい』
毎週水曜深夜0：30からテレビ東京ほかで放送。（※2月2日は深夜0：40から放送）
動画配信サービス「Paravi」で前週水曜日の夜9時より毎話独占先行配信中
