【ネタバレ】『最愛』もはや考察ではなく嘆願。犯人が大輝は嫌です!

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【ネタバレ】『最愛』もはや考察ではなく嘆願。犯人が大輝は嫌です!
【ネタバレ】『最愛』もはや考察ではなく嘆願。犯人が大輝は嫌です!

終わった瞬間、「大ちゃん!?」と変な声が出た。

過去最大級の爆弾を落とした『最愛』(TBS系/毎週金曜22:00~)第9話。衝撃のラストを経て、すべての謎は最終回へと持ち込まれた。

もしもこれで犯人なら、大ちゃんは杉村春子賞を獲れると思う

もはやこれは考察でもなんでもないです。ただの嘆願書。どうか大ちゃん(松下洸平)は潔白で、ラストは梨央(吉高由里子)とのハッピーエンドでお願いします。そのためだけに書いている。

すべての始まりは、15年前の嵐の夜。康介(朝井大智)は死に、その遺体は達雄(光石研)の手によって山中深くに埋められた。しかし、体格のいい康介の遺体をひとりで運ぶのは困難。他に誰か協力者がいたのではないか。そして、その協力者は藤井(岡山天音)ではないか、と思っていた。

しかし、大輝と対面した藤井は言う。

「15年前、あの台風の夜、本当は事件の現場におりましたよね」

巷でも、大輝が怪しいという説は何度も流れていた。特に反響が大きかったのが、第5話。康介の遺体を運ぶ際、南京錠をかける手が左利きであったことから、左利きの大輝が協力者として挙げられていた。このインターネット上の考察がいよいよ現実味を帯びてきたことになる。

・・・・・・え、嫌だ!

実際よく考えてみてほしい。これで本当に大輝が協力者となると、大輝は多重人格レベルの偽善者ということになる。だって、5話で高速バスに乗り込む優(高橋文哉)を目撃し、「朝宮優です」と報告したときも、優に「なんもできんかったなあ」と詫び、「今度は必ず力になる」と誓ったときも、大ちゃんの顔に嘘はなかった。あれがすべてを知っての演技なら、大ちゃんは今すぐ警察を辞めて芸能界に入った方がいい。たぶん杉村春子賞とか獲れます。八郎沼とかできます。

なので、この煽りは最終回に向けたフックだと思い込みたい。そもそも前回だってさんざん加瀬(井浦新)犯人説を煽っておいて、今回の冒頭であっさりそれを覆した。うまいんですよ、『最愛』チームは、ドラマを盛り上げるのが。

おそらく大輝が現場にいたのは事実なのだろう。だが、それは達雄が大雨の中、車に何やら良からぬものを運んでいるのを目撃しただけ。それが何であるかは、確証がつかなかった。

では、達雄の協力者は誰なのか。すみません、ここは藤井にさせてください。今のところ出番が少ないこともあって一番クロであっても心理的ダメージが少ないのが藤井なのです・・・。

第1話で練習中に足を痛めた藤井に「大丈夫、大丈夫」と梨央が励ますシーンがあった。梨央はいろんな人にとって太陽のような存在だったのだろう。藤井が梨央に想いを寄せていたとしても不思議ではない。

あの夜、打ち上げからひと足先に帰ってきた藤井は、裏口でうずくまるようにして優(柊木陽太)を抱いている達雄を見た。そして、事態を把握した藤井は隠蔽に力を貸した。キービジュアルにいない13人目の登場人物=藤井こそが達雄の協力者なのではないだろうか。

藤井の「最愛」は誰なのか。その答えが、ブラックボックスを開く鍵となる

では、昭(酒向芳)としおり(田中みな実)を殺したのは誰か。今のところ真っ黒なのは梓(薬師丸ひろ子)だ。アリバイもなく、「最愛」の娘を守るためという動機も十分。ただ、これはメタ的な発想になってしまうけど、梓が犯人だとしたら、明るみに出るのが1話早い。最終回を残したところですべての謎が事実上解決したことになる。クライマックスに向けて盛り上がりをつくるには、あともうひとつどんでん返しをつくらなければならない。

また、梓はマスコミに向けた緊急会見で「娘も、真田家の人間も、誓って殺人には関わっておりません」と断言した。薬師丸ひろ子の演技力のせいかもしれないけど、あの言葉は嘘じゃない気がしたのだ。梓が示す真田家の人間とは、梓、政信(奥野瑛太)、梨央、加瀬の4人。母親らしくないと自分で認める梓が何度も繰り返し口にしてきた「真田ファミリー」。この4人は犯人候補から除外してもいいと思う。

もちろん「最愛」の家族をかばった嘘ともとれるけど、同じかばうのであれば、達雄と同じように梓もまた全部自分がやったと罪を引き受けるはず。そうしないのは、真田家の人間が手を汚していないことを知っているから。逆に言うと、梓は犯人を知っている可能性がある。

そうなったとき、再び浮かび上がってくるのが藤井だ。今回、大輝は梓と藤井が接触していたところを目撃した。まったく無関係に思えた2人には何かしらの接点があったようだ。

これまでも行方不明になった優や後藤(及川光博)の居所をあっさり掴むなど、梓の捜査能力はずば抜けている。おそらく非合法の手を使っているのだろう。そう考えると、同じような手段を用いて事件の真相にいち早く辿り着いていたとしてもなんら不思議ではない。

それによって、梓は藤井にコンタクトをとった。藤井が達雄の葬儀前に朝宮家を訪ねた理由は依然として明かされていないままだし、ここに来て最も手札がめくられていないのが藤井となっている。

前回、優の記憶が飛んだ原因が明かされないままなのも気がかりだ。優は強い興奮状態に陥ると記憶が飛ぶ。もし優が誰かに会い、それが引き金になったと仮定したとき、それほどのショックを与えられる人物となると、やはり15年前のあの事件に関わっている誰かと考えるのが自然だ。上京してきたタイミングも含め、藤井がなんらかの理由で優に接触したとも十分考えられる。

大輝と梨央が電話していると知ったとき、「へえ・・・仲良くしとるんですね」と藤井は言った。口調は訝しむような、からかうようなものだったけど、そこにはひっそり嫉妬のニュアンスも混じっていた。

大輝が一途に梨央を想い続けたように、加瀬が一途に梨央を支え続けたように、藤井もまた15年間ずっと梨央の幸せを願っていたとしたら。薬をつくるという梨央の夢の妨害因子となる昭としおりを手にかけたとしても筋書きは通る。

本作は、タイトルの通り「最愛」がキーワード。キービジュアルに登場する12人の「最愛」を考察すると。

梨央:大輝と優
大輝:梨央
しおり:幸せだった頃の自分
桑田(佐久間由衣):不明
優:梨央
政信:梓
梓:真田ファミリー
達雄:梨央と優
昭:康介
山尾(津田健次郎):不明
後藤:真田グループ
加瀬:梨央

捜査側である桑田と山尾は一旦除外するとして、残る9人の「最愛」の対象は明らかとなった。では、13人目の登場人物である藤井の「最愛」の相手は誰なのか。13は昔から不吉な数とされている。北欧神話では、13人目の客であるロキの奸計によって光の神バルドルが殺された。裏切り者のユダが最後の晩餐で座ったのも、13番目の席だ。

物語の中で登場するブラックボックス。封印されたその箱の鍵を持っているのは、藤井なのだろうか。

「そんな変わらんもんですよ、人間」

藤井はかつて投げやりにそう言った。もしそれが、15年の月日が流れても、報われない想いを抱き続ける愚かな自分に対しての台詞だとしたら、なんだか最終回が終わったあと、藤井スペシャルと題して、この15年を藤井目線で描いたスピンオフをつくってもいいくらいに感情移入できそうではある。

「真相は、愛で消える」

それが、このドラマのキャッチコピー。はたして真相を闇に葬ったのは、誰の愛なのか。早く時間が過ぎてほしいようで、このまま金曜が来ないでほしいような、長くて複雑な1週間が始まった。

(文:横川良明/イラスト:まつもとりえこ)

【最終話(12月17日[金]放送)】

ついに、すべての真実が明らかに・・・!
それぞれの最愛・・・そして梨央が下す決断とは――?

◆番組情報
『最愛』
毎週金曜日22:00からTBS系で放送中。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」でも配信中。